阿部龍太郎 『等伯』 ― 2013/04/03

長谷川等伯という画家には興味がありました。
能登で絵仏師をしていたのに、30歳を過ぎてから京に出たのは何故か。
このところがずっと疑問でした。
答えのひとつがこの本に書かれています。
この時代、30歳を過ぎるという事は、女では大年増。
新しいことをするなどという考えを持つ人は、なかなかいなかったでしょう。
仏画から水墨画・肖像画・山水花鳥画・襖絵や屏風など広範な画業を成し遂げた等伯は、日本を代表する絵師の一人ですね。

しかし、残念ながら感動までいかない小説でした。
まあ、等伯の人生を知るという意味においてはいい本なんでしょうが、ちょっと物足りなく感じてしまいました。
私としてはもっと絵のことを書いて欲しかったです。
この頃の絵師は政治と密接な関係があったので、絵のことよりもそちらを重視してしまうのも仕方ないのかもしれませんが。
読んでいて狩野派に興味を持ちました。
裏狩野が出てきていますが、裏で色々とやっていたんですね。
まあ、あれだけの権力を持てたということは、それだけ策も立てたということですよねぇ。
いつか等伯の故郷の石川県に行って、彼の描いた仏画を見てみたいと思いました。
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