山邑圭 『刑事に向かない女 黙認捜査』2020/10/01

警察行政職員試験を受けるはずが、何の間違いからか警察官試験を受けてしまい、警察官になった椎名真帆。
普通だったら、次の年に行政の試験を受けると思うのですが、警察官になっちゃうところが不思議です。
今は荻窪東署の刑事をやっています。
三作目になると、自分の適性がわかってきていますね。


解体中のビルの中で首を吊った男の死体が発見された。
一見、自殺かと思われたが、男は元警察官で強制わいせつ致傷罪で服役し、出所したばかりだった。
事件現場の状況から真帆は他殺を疑う。
班長にとりあえず他殺の線で捜査させてもらう許可を得、かつての相棒、吾妻健人の助けを借りて独自の捜査を始める。

一方、芦川裕也は警視庁副総監に呼び出され、ある人物を内偵調査するように命じられる。

真帆の行くところ、行くところに芦川が現れる。
彼の追う人物と事件の関係は・・・?

芦川に惚れていた真帆ですけど、残念な結果になりましたね。
彼女は刑事としての勘は持っているので、数多く現場を踏むといい刑事になっていくでしょう。
吾妻とは相棒の関係でいいですわww。


<今日のわんこ>


夫が家にいると何故か吠える弟。
仕方ないので、ワンチュールにサプリメントを混ぜて食べさせました。
効くと良いのですが・・・。

太田紫織 『櫻子さんの足下には死体がうまっている 蝶は聖夜に羽ばたく』2020/10/02

このシリーズも16冊目。
季節はずれですが、12月のお話です。


クリスマスが近付く旭川。

館脇正太郎の同級生の鴻上百合子は、担任の磯崎にパーティに誘われます。
櫻子の知り合いの千代田薔子に誘われたのだそうです。
それだからといって、なんで教え子を誘うのかしら?
薔子は旭川郊外に家を買い、そのお披露目ついでにパーティをするということでした。
それは画家が所有していた家で、庭を磯崎の好きなようにデザインして欲しいというのです。
食事の後、部屋を見せてもらうと、作品倉庫になっている部屋に連作の絵がありました。
その絵は奥の離れに飾ってあったというので、前のように絵を飾ってみると、絵に描かれていた蝶達は一方向を見ています。
そこにはドアがあり・・・。

百合子の友人の阿世知蘭香は百合子とのクリスマスパーティの前に正太郎へのプレゼントを買いに出かけます。
途中でお巡りの内海に会い、雪かきを手伝うことになってしまいます。
雪かき後、正太郎の家に送ってもらいましたが、正太郎は留守で、家の前に止めてあった車に乗っていた元警察官の山路が話しかけてきました。
彼は櫻子の弟を殺害した犯人が見つかり、亡霊達が正太郎に協力させ、櫻子に犯人を殺害させようとしていると言うのです。
彼らは一緒に櫻子と正太郎を探しに行きます。

正太郎は水谷好美の車に乗っていました。
好美は氷山神社で協力者と合流し、旭山動物園で動物資料展示室から展示物を盗むというのです。
展示室に行くと、櫻子が現れます。
彼らは櫻子と一緒に神居古潭へと向かいます。

櫻子は弟の復讐を遂げることが出来るのでしょうか。
正太郎はどういう行動を取るのでしょう。
物語はいよいよクライマックスへ・・・。

神居古潭が有名な心霊スポットだとは、知りませんでした。
この心霊スポットということが鍵になるのかしら?
私の予想は当たらないと思いますけど(笑)。

森晶麿 『黒猫と歩む白日のラビリンス』2020/10/03



いつもは一匹ずつのお散歩ですが、久しぶりに二匹でお散歩です。
昼間のお散歩は犬たちにはちょっと暑かったようです。
20℃以下になるといいお散歩日和ですが、昼間は25℃を超してますもの。
ママは朝が苦手なのです(恥)。
弟はママが気になり、いつも後ろを見て、ママがいるかどうかチェックしています。角でママが見えないと、歩くのを止めてママを待ちます。
弟が三回振り向くとしたら、兄は一回後ろを振り向きます。
こういう弟は可愛いんですがねぇ。



黒猫シリーズの最新作。
黒猫の付き人だった私と黒猫が、恋人同士になっており、たまに付き人が黒猫の部屋に泊まっていくようになっています。

ポーの短編になぞらえた5つの謎
1.「本が降ってくる奇妙な夢を繰り返し見る」女子学生の謎
2. 黒猫の姉の冷花がお葬式に着た服の謎
3.  <芸術の不発展>への脅迫事件の謎
4.  覆面画家が残した風刺画の謎
5.  フェルメールの贋作の謎
を付き人と黒猫が解いていきます。

美学というよりも美術系の話題が多くなったので、わかりやすいです。
そうそう、黒猫のお姉さん、冷花さんってデザイナーなのですね。
素敵な人です。
これから少しずつ黒猫の家族の秘密(なのかな?)が明かされていくのでしょうか。

本の中から気になる言葉を拾いました。

「感情って揮発性のもの」
「法律は人間を律するためにあるもので、芸術を律するためにあるものじゃない。芸術は、人間の世界から完全に切り離されていなくてはならない」
「人は死を意識して初めて生き始める」
「国のかたちも人次第」

黒猫って「結局人生は行動がすべてだと思ってる」とか言って、格好いいです。
でも付き人さんに「君のとなりで苺パフェを食べたい」と考えているとか言っちゃって。落差が可愛いです。
結局は彼にとって「大事なのは真贋以上に、誰とそれを共にするのか」なのです。
黒猫が付き人に渡した押し花のブーケってどんなものなのか、見てみたいです。
意外と黒猫はロマンチストですね。そう、行動がすべてです。
付き人のことを思いながら積んだ花の、愛に溢れた押し花のブーケ、私も欲しいです。
あ、私は押し花でなくて、別の(金目の)モノでもいいですよ(笑)。

M.C.Beaton 『Agatha Raisin:Hiss and Hers』2020/10/04

アガサ・レーズン・シリーズの23作目。


前回、カースリーにやってきたジョージにポッとなったアガサは、彼に庭仕事を頼み、庭作りが終わった後、本棚をたたき割ってジョージに大工仕事を頼もうとしていましたね。
残念ながらアガサは彼のお眼鏡にかないませんでした。
どちらかと言えば、嫌われています。
探偵事務所の方は順調なのに、仕事をしているとジョージに会えないので、他の女性に負けてしまうと思ったアガサは、しばらく仕事をトニに任せることにします。
よせばいいのにアガサは村中、ジョージの後を追い回します。
要するにストーカーですね。
アガサが一番ライバル視しているのが、新しく村にやってきた女優のJessica 
Fordyceです。
ジェシカは30代で、長く続いている病院を舞台にしたメロドラマで主役を演じています。
彼女が村のホールの床を張り替えるための資金調達を呼びかけるメールを寄越したのに乗じ、アガサは床の張り替えにかかるお金を全額寄付し、床が新しくなったホールでチャリティー・ダンス・パーティーを開催することにしました。
とにかくジョージと踊りたいがためです。
パーティで入ったお金は「Save the Children」に寄付するので、アガサには一銭も入らないんですよ。いくらなんでもやり過ぎよねぇ。

さて、ダンス・パーティーの夜、ジョージはアガサに最初のダンスを約束したのに、会場に現れません。
よせばいいのにアガサはわざわざ彼を探しに出かけます。
そして、庭で死体になったジョージを見つけるのです。

アガサの探偵事務所は彼の姉妹のJanet Ilstonから犯人捜しを依頼されます。
調べていくと、ジョージは女たらしで、カースリーに来たのも、前の町で起こした女性とのトラブルのせいでした。
カースリーでも数人の女性と噂があるようです。
彼は気の強い女性が嫌いらしく(アガサは駄目ね)、相手にしたのは彼の言うことに従順に従うような女性たちでした。
アガサたちは彼と噂のあった女性たちに会いにいきます。
ジョージが生前アガサにサイコパスについて聞いてきたことがあります。
彼が関係を持った女性たちの中にサイコパスがいるのか・・・?

今回もアガサは嫌がらせやら命を狙われるやらで、心の落ち着く暇がありません。
アガサのせいで平和な町に殺人事件が起こるようになったと怒った誰かが、アガサのポストにブタの糞を入れます。
別の日には送られてきた小包に毒蛇が入っていました。
殺人事件を扱うのって大変ね。
男関係では、昔の男がアガサに手紙で一度遊びに来ないかと言ってきます。
彼はアガサを振り、別の女性と結婚していましたが、妻が亡くなったそうです。
アガサは彼との結婚を期待し、遊びに行ったのですが、行ったその日に色々やらかしてしまい、逃げ出します(笑)。
結婚生活はアガサには向いていないのに、なんで結婚したいのかしら?

サイモンも命を狙われます。
私が思うに彼は要注意人物ですから、そういう目に遭っても仕方ないのですけどね。
彼は違法な盗聴器を使うのですよ。
ある人の家を盗聴しようと思っていたのに、近くにジェシカの家があるのを見て、彼女が何を話しているのか聞こうとするのです。
というのも、彼はジェシカにのぼせてしまい、ストーキングまがいの行動をしているのです。
ジェシカがいないので、帰ってくるのを待っているうちに眠ってしまい、蛇にかまれてしまいます。バカですねぇ。
盗聴器のせいでトニやアガサ、ミセス・ブロクスビーたちを巻き込み、一騒動起こります。彼は早く首にした方がよさそうですよ。
この後も犯人を一人で捜そうとして勝手な行動をし、頭を殴られ、また入院。
彼のような男ってどうしようもないですねぇ。
年下のトニにまで心配されていますよ。早く首にしましょうよ。

男と言えば、アガサを取り巻く三人衆は相変わらずです。
ロイは目立つのが好きみたいで、アガサの探偵ごっこに付き合うのは、新聞に載りたいがためみたいです。
今回はジェシカと契約を結びたくてしょうがないようです。
やっとアガサの良さがわかったジェームズはアガサのことを心底心配しているのがうかがわれますが、アガサを保護するものとして下に見ている感じです。
彼女と探偵仕事もしますが、如何せん、travel booksの仕事があり、肝心の時にいません。
チャールズはアガサに何かアクションを起こすかと思って期待していたのに、若い金持ちの女性と結婚しようとします。
彼も結婚生活には向いてないのにねぇ。
気の向くまま、アガサの家をホテル代わりに使い、これまた肝心の時にいません。
命を狙われ、余裕のなくなったアガサはとうとうチャールズに、もう私の家に来ないでと言っちゃいます。
それ以降チャールズは連絡を寄越さず、淋しくなったアガサは電話や手紙などで彼に謝ろうとしますが、チャールズから無視されます。
その頃、チャールズは前とは別の女性との結婚を考えていたのです。
アガサは盗聴器を使い、彼がどこにいるのかを突き止め、謝りに行きます。
たまたまチャールズは結婚することに嫌気がさしてきた頃だったので、アガサと一緒に婚約者を置いて逃げ出します。
そしてアガサはチャールズとの結婚を考え始めます。
ミセス・ブロクスビーはアガサのことをよく理解していますから、思い込みの激しいアガサがまた傷つかないかと心配していました。
結果はミセス・ブロクスビーの思った通りでした。
可哀想なアガサ!

ミセス・ブロクスビーは夫に対してだんだんと強く出つつあります。
今回、旦那に朝食を作るのを止めて、アガサの元へ行ってくれました。
このシリーズの唯一の憩いが彼女の存在です。

殺人事件の調査より、アガサを巡る人々の様子が面白いシリーズです。
そうそう、DVDは字幕つきで見ています。
本と違うところが多少あり、ドラマ化するには仕方ないのかもしれませんね。




弟犬は目薬が効いたのか、チェリーアイがよくなってきたようです。
興奮して吠えるとまた出てきそうです。
サプリメントは効かないみたいで、土日は夫がいるので吠えます。
吠え始めると、クレートに入れて落ち着かせます。
明日からの平日は夫がいないので、大人しくしているでしょう。

弟、持って来いをする2020/10/05

夫が仕事に行ってから、弟犬は全く吠えていません。
大人しく寝ています。
何故なんでしょう?
私が洗濯しても、掃除をしても、スコーンを作っても、何をしても吠えません。
不思議です。夫の何が吠えさせるのか?

狭い犬部屋で持って来い遊びをしました。


彼は唾液量が多く、プラスチックのおもちゃだとベタベタになり、持つと気持ち悪いので、縄の物を使います。
咥えにくいみたいですが、「出せ」というと離すのでいいみたい。


クレートの中に放り投げると・・・。


嫌々中に入ります。


腰が引けてます(笑)。


中に入るのが嫌らしく、外から取れないか見たりします。


咥えた姿を撮りたいのに、すぐにポーズを取ります。


遊ぶのが好き。特にテニスボールが大好きです。
歯磨きすると時、籠の中にテニスボールが入っているのを見つけてから、歯磨きをするたびに籠の中を探すようになりました。
意外と頭がいいみたい。


お兄ちゃんとも遊んであげないといじけるので、ペンギンの登場。
やっと咥えている姿が撮れました。


彼とは「持って来い」はできません。
「取ってみろ」です。
ペンギンを取ろうと手を出すと、うなりながら咥えます。


こうやってママが手を出すのを待っています。


手を出すと、すかさず咥えてベッドの上に行きます。

二匹と遊ぶと疲れます。
兄の場合は追いかけなければならないので、目が回ります。
二匹で遊んでくれると、ママは助かるんですけどね。

アンソニー・ホロヴィッツ 『メインテーマは殺人』2020/10/06

カササギ殺人事件』で『このミステリーはすごい!2020年度版』海外編1位や<週刊文春>2019ミステリーベスト10、海外部門1位などになり、注目されているホロヴィッツの新シリーズです。


自分の葬儀の手配をしに葬儀社に行った資産家の老婦人、クーパー夫人が、その日の夜に絞殺され、二日後に掃除婦に発見された。

作家のわたしことホロヴィッツのところに元刑事のホーソーンから電話が来る。
その日の午後三時に会えないかと言うのだ。
ホーソーンとは刑事ドラマの関係で知り合ったが、それほど親しくない。
相手の予定など頓着しない男だ。

会いに行ってみると、彼のことを本に書いて欲しいという
彼はロンドン警視庁の顧問のような仕事をしており、非公式に相談を受け、業務を委託されているという。
お金がちょっと足りないので、取り分は半々で、おもしろい事件、今回はクーパー夫人の事件を本にしてもらいたいらしい。
最初は断るつもりだったが、ホロヴィッツはあることをきっかけに引き受けてしまう。

引き受けたがために、ホロヴィッツはホーソーンの行くところに常に着いていくハメになる。
そう、ホーソーンがホームズでホロヴィッツがワトソン。

ホーソーンのすごいところは、ものすごい観察力と推測力です。
ホロヴィッツが田舎にいたことや犬のこと、誰と会うかとか、ホロヴィッツのことはすべてお見通しなのです。
人のことは色々と詮索するくせに、自分のことは絶対に話さないという癪に障る奴です。
ホロヴィッツは何度書くのを止めようと思ったことか。

さて、これからこの本を読む人のためにひとつだけ殺人事件のヒントをあげておきましょう。
ホーソーンはこういうことを言っています。
(ヒントなんかいらない人のために隠しておきますね)

「・・・・お粗末な第一章に書いてある。もっとも重要なのは何だったのか、きっとあんたも気がつくよ。何もかもそこに結びついてるんだから」

私はこのことを知りませんでしたから、軽く読み飛ばしていました。
まあ、後から読みなおしてもいいのですけど、読んでも犯人はわからなかったとお思いますww。

ホロヴィッツの本は2冊目ですが、面白いかどうかと言うと、う~ん、というところです。
始めから犯人当てをメインにして読むと良いのかもしれませんね。
これから読む方、頑張ってください。

大山淳子 『猫弁と星の王子』2020/10/07

猫弁と魔女裁判』で終わったと思っていたら、猫弁シリーズの続きが出ました。


結婚式が決まったと思ったら、百瀬の方の都合で、というか、亜子さんの父親の娘を嫁に行かせるのを引き延ばしたいがために、結婚は三年後になってしまいました。
でも亜子さん、やる時はやります。
結婚はしないけど、百瀬のボロアパートに引越してきちゃいました。
部屋は狭く、荷物が入りませんが、忙しい百瀬と会おうと思えばいつでも会うことはできます。

そんな二人がいつもの喫茶エデンで朝食を食べている時、赤ちゃんの声が聞こえてきました。
抱いていた母親らしき人が百瀬に赤ちゃんをあずけてどこかに行ってしまいます。
彼女はいつまで待っても帰ってきません。
困った百瀬たちは警察に連絡し、児童相談所の人が来るまで法律事務所であずかることにしました。
猫に引き続き、赤ちゃんまで引き受ける百瀬法律事務所です(笑)。

その頃、正水直は早稲田大学を訪れていました。
入学試験に受かって入学できるはずなのに、まだ書類が届いていないからです。
事務所に行き聞くと、書類は宅配便で送っているというのです。
合格発表はwebサイトでのみなのに、直は掲示を見に行き、その時、大学の腕章をした男に繰り上げ合格だと言われ、彼の指示通りに入学金や前期授業料、寮費など百万円を振り込んでいたのです。
ようするに詐欺に引っかかってしまったのです。
大学からの帰り道、横断歩道を渡ろうとしたら、老人が車に轢かれそうでした。
思わずおんぶし、道を渡りました。
老人に感謝どころが悪態をつかれ、しばらく立ち上がれず、気づくとリュックがなくなっていました。
何と言うこと・・・。

百瀬のところに依頼人がやってきました。
有名な占い師である父親のところに十年ぶりに行ってみると、父親の姿はなく、若い男がいたというのです。
父親は十年前、五美という猫の世話をするものに屋敷の居住権をあたえるという遺言書を書いていました。
若い男は猫を抱いていましたが、十年前の猫と似てはいましたが、どう見ても高齢猫には見えません。
とりあえず占い師・星一心の所在確認をして、証書を作った意図を聞くことにします。

亜子が結婚相談所の仕事をしている時に面会人が来ました。
それは元同僚の春美で、外交官と結婚し、今はミャンマーに赴任しているはず。
彼女は妊娠しており、子供を産むために日本に戻ってきたというのです。
とりあえず、百瀬のアパートに落ち着くことにするというのです。
彼女は若い女の子を連れていました。
タクシーに乗っている時に見かけたリュック泥棒を追いかけ、リュックを取り戻し持ち主であるその女の子に返したのですが、彼女が何やらショックで口がきけそうもないので、連れてきたと言うのです。
そうです、この女の子が正水直。
直はしばらく亜子たちの世話になることになり、詐欺にあった百万円を取り戻すべく、百瀬に相談することになります。(もちろん無料相談よ)

亜子も百瀬もとことんこの世のものとは思えないぐらいお人良しです。
でも本人たちがそれで満足しているのですから、それでいいんです。
世の中に百瀬と亜子が蔓延したら・・・人類の進歩はなくなるけど、住みやすくなるでしょうね。
今回は親子関係について考えさせられます。
「ひとりぼっち」の百瀬ですが亜子さんと早く幸せになって欲しいですね。

本についての言葉を紹介しておきましょう。

「相手の気持ちを推し量ることは大切だよ。本を読む時も、行間にこそ、発見がある。そうすれば、本は読んだ人間のオリジナルになりうる」(250ページ)

李琴峰 『星月夜』2020/10/08

日本語教師たちの間で評判になっているという本を読んでみました。


日本で出会った二人の女性のお話。
(ネタバレあり)

台湾人の柳凝月は日本の大学で非常勤講師として日本語を教えています。
そこで出会ったのが、新疆ウイグル自治区出身で日本の大学院入学を目指す玉麗吐孜(ユーリートゥーズー)。
二人は付き合い始めます。

ある日、玉麗吐孜の元恋人で同居人が部屋を出て行くと言い出し、カツカツの暮らしをしていた彼女にとっては一大事でした。
付き合い始めたばかりの柳凝月に同居の話をするのもまだ早いし・・・。
そこで思い出したのが、コンビニのバイトで知り合った日本人の絵美。
彼女にルームメイトにならないかとメールしてみました。

そんな頃、柳凝月の両親が日本にやってきます。
彼らは柳凝月が日本で暮らすことに反対でしたが、柳凝月は親がした幼い頃の仕打ちを許せず、日本に逃げてきたのです。
「子供は殴らなければ良い大人になれない」というのが親世代の育て方。
親の気に入らないことをすると、針金ハンガーで叩かれ、その痕がミミズ腫れになり、真夏でも長袖で学校にいっていました。
親の言うとおりに勉強し、良い成績を取り、良い大学に入り、高級の仕事をしてお金を沢山稼ぐことが正しいことだったのです。
両親は子供ができたら、私たちの気持ちもわかると言うのですが、子供を持つことはないとは言えませんでした。

玉麗吐孜は絵美と会って同居の返事を聞くことになります。
しかし、その日、スマートフォンを忘れてきてしまい、待ち合わせの場所がわからず、交番で道を尋ねたのが、運の尽き。
口調から日本人でないとわかったので、在留カードを出せと言われます。
在留カードは携帯と一緒に家に忘れてきていました。
それから唾液検査、訊問、写真撮影・・・。
途中から絵美が来てくれましたが、警察は手を緩めません。
やっと解放された時、友達の結婚式で台湾に行っていた柳凝月が空港から駆けつけてきましたが、玉麗吐孜は彼女を帰してしまいます。

大学院入試はすべて不合格。
このまま日本にいていいのか悩む玉麗吐孜。
中国当局のウイグル弾圧が激化しており、自分が日本に来たために家族の命が危険にさらされています。
国に帰ると二度と国から出られません。

異国で母国から離れ、自由を満喫しているようでいて、生国からはけっして逃れならない。
共通の言語を持っていても、互いに理解し合えない。
生国、家族、そして隠しているセクシュアリティー。
二人の未来に光はあるのでしょうか。

玉麗吐孜の元恋人で元同居人の李倩の言葉が心に残りました。

「国内の雰囲気から逃げたかったの。上海人、漢民族、女、九〇後、そんな色んなカテゴリーに分類されるのが息苦しかった」
「でも日本に来て気付いたの。どこに逃げたって無駄だって。あるカテゴリーから逃げ出せたとしても、結局また別のカテゴリーに当て嵌められてしまう。何より、カテゴリーの中にいないと安心できない自分がいる」

新疆ウイグル自治区の人たちの現状は詳しく知りませんでした、というか自分には関係ないと、知ろうとしていなかったのかもしれません。
在留カードを携帯していないだけで、ここに書かれているようなことが行われているなどということも初めて知りました。
「無知」よりも「無関心」であることが問題ですね。
私の中にある差別意識についても考えさせられた本です。

外国語を学ぶ者として、日本語教師である柳凝月の「日本では日本語の発音がつたないためにその人が尊重されないことがあるから、発音の習得は重要だ」という意見にある程度同意します。
日本語だけではなく、どの外国語でもそうだと思います。
日本でなくても、どこの国でもつたない発音ではバカにされることが多々ありますもの。
例えばアメリカの大学の食堂で「vegetable」とか「strawberry」を日本語的に「ベジタブル」、「ストロベリー」と発音した日本人が笑われたり、インドの空港の免税店でダンヒルのタバコを買おうとして売ってもらえなかったりしたのを実際に見たことがあります。
日本人が英語を話せるようになりたいというのは、日常生活で使える英語ということでしょう。そのためには発音は大事です。
今年から(だよね)小学校から英語教育が必須になったので、発音の上手い人が増えていくことでしょう(たぶん)。



弟犬はパパの立てる音が嫌いです。
この前は納豆を食べる音。
ご飯に乗せて食べるのではなく、納豆だけ食べる時に出る音が嫌みたいで、吠えていました(笑)。
オメメの腫れ物はすっかり引っ込みましたが、また出るのでしょうか?

M.C.Beaton 『Agatha Raisin: Something Borrowed, Someone Dead』2020/10/09

アガサ・レーズン・シリーズ、24作目。
残るは6冊。年内に読み終わることができるかしら?


ミセス・ブロクスビーは困っていました。
アガサの悪い癖がまた出たからです。
いい男もいないし、おもしろい仕事がないし、友達も来ないしで、イライラしっぱなし。
アガサのために殺人事件が起こらないかしら、なんて思っている時にPiddlebury教会区の長であるJerry Tarrantがやってきます。
Piddleburyで起こった殺人事件をアガサの探偵事務所で迅速に解決して欲しいというのです。

殺されたのはロンドンからPiddleburyに引越してきたGloria Frenchと言う女性です。
始めは彼女も教区のために色々なことを精力的にやったので、聖女のような女性と思われていました。
しかししばらくすると、人から物を借りては返さず、返すように言われても元々自分の物だと言いはり、返しません。
更には、他人の物を盗んだりします。
それのみか牧師のGuy Enderburyに色目を使っています。
ある日、牧師が仕事があるので彼女の家に来られないと電話してきました。
そのことに腹を立て、やけ酒を飲もうと、Bring & Buy saleで盗んだニワトコ酒 (elderberry wine)を飲むと、毒が入っていたらしく、亡くなってしまったのです。

早速アガサとトニはPiddleburyへと向かい、村人たちから話を聞くことにしました。
しかし、村人たちは何故か口が固く、事件解決に役立つことはひとつも聞けません。

そんな頃、パブの店主のMosesが犬の散歩をしている時に死体を見つけます。
それはCraig Uptonの死体で、彼のそばにニワトコ酒の瓶がありました。
アガサは車に置いておいたニワトコ酒が昨夜盗まれたことを思い出し、友達で警官のビルにそのことを告げます。
誰かがアガサを殺そうとしたのでしょうか?

Piddlebury村はまるで100年前の村のようです。
村人たちは殺人犯は村の外からやってきた奴だと言い始め、アガサたちを村から追い出します。
Jerry Tarrantからも契約終了を言い渡されてしまいます。

アガサは今回、休暇でPiddleburyに来ているイケメン化学教師、Brian Summerに惚れてしまいますが、いつものように避けられてしまいます。
顔ではなく心で選ぼうよ、アガサ。
殺人事件が起こっている村なのに、不思議なことに彼はずっと村に滞在し続けています。何やらいわくのありそうな男です。
もっといい男はいないのかしら?

問題なのはサイモンです。
アガサのことは苦手みたいで、一緒に仕事をするのを避けています。
アガサは一応ボスなんですけどねぇ。
前回は結婚騒動で迷惑をかけ、今回はトニにストーカー行為を働きます。
まだトニのことを諦めていないのです。
仕事よりもトニです。どうしようもない男です。
とっとと首にしましょうよ。

トニは相変わらず年上が好きです。それもDV男が。
彼女もアガサも男を見る目がないことは同じですよ。
これでわかったかな、トニ。
アガサに冷たく当たるんじゃなく、優しくしてよね。
ここには書きませんが、今回は彼女にまつわる「エェー!!」ということが2回起こります。
流石ミセス・ブロクスビーは人を見る目がありますね。
楽しみに読んでください。

アガサの男三人衆・・・ビルも入れると四人衆は相変わらずです。
ビルは仕事で大忙しでアガサにかまう暇がありません。
ロイは自分がテレビに映ることばかり考えていて、とうとうアガサに愛想を尽かされてしまいます。
チャールズは変わらず、気が向いたらやってきて、すぐに帰ってしまいます。
ジェームズも仕事があるのはわかりますが、肝心な時にいません。
でも、みんなの大顰蹙を買うことをしたため、Jerry Tarrantの死後、彼の遺言で事件を再度捜査し始めた時に事件解決に役立つことをしてくれます。

そうそう、イギリス人って魔女とか魔法とか未だに信じているのかしら?
なにしろハリー・ポッターの国ですから。

次はどんな思いもかけないことで楽しませてくれるのでしょうか。
渋い探偵たち、フィルやパトリックとアガサがどうにかなっちゃえばいいのにと思いますけど、ないわよねぇ(笑)。


久しぶりに隣の駅まで行き、ケンタッキーのチキンと食べてみたかったマロンパイを買ってきました。


マロンパイは期待したほどではなかったです。

この頃読んだマンガ2020/10/10



なとみみわ 『ばあさんとの愛しき日々』
認知症で少し忘れっぽく、会話もかみ合わないことがあるけれど、憎めないばあさん。周りはそんなばあさんを優しく見守ってくれています。
こんな家族がいてくれると、年を取ってもいいなと思えますね。
認知症にも色々な形があるように家族にも色々ありますから、そこがねぇ・・・。

鳥飼茜 『サターンリターン 4』
小説家の加治理津子は自殺した友人アオイがプロポーズをしたという女8人と会い、アオイとの話を聞いていきます。
今回は3番目の元不動産屋で働く女と4番目のカメラマンの女です。
そんな頃、理津子の夫が編集部に現れ、小出に離婚届を渡していきます。

kindleで見たら単話で37巻出ているらしいのですが、第37話までということなのかしら?
この巻は第26話から第35話です。

志村貴子 『おとなになっても 1~3』
女と女の恋物語。
小学校教師の綾乃はバーで朱里と出会います。二人は意気投合し、キスまでしますが、次にバーに現れた綾乃は夫を連れてきます。彼女は夫に朱里とのことを告白します。
その後、朱里を諦めようと思った綾乃は罪滅ぼしとして夫の親との同居を始めます。
綾乃もバーの仕事を辞め、前の仕事の美容師に戻り、心機一転、引越しをするのですが、引越し先のアパートの前が綾乃の家の向かいでした・・・。

昔はBLでしたが、この頃はGLもメジャーになってきたのかな?

あいざわ遙 『まんまるポタジェⅡ 1』
『まんまるポタジェ』は終わったと思っていたら、新しくⅡが始まっていたのですね。
田舎に引越ししてきた木乃原家のみんなは元気です。
娘のハナちゃんも小学校にあがるようになり、色々とやってくれます。
ホント、周りは大変でしょうけど、可愛いわ。

たらさわみち 『しっぽ街のコオ先生 8』
ペットと人に寄り添う坂の上動物病院っていいですね。
コオ先生を慕う人たちが集まって良い感じです。
今回はコオ先生に関係するナルミ財閥が大変な目に遭いますが、コオ先生が影からバックアップします。
家の近くにこういう動物病院があればいいのにといつも思います。


今週は健康診断が終わった翌日に届くように今月のおやつを頼みました。


いつもの六花亭のものです。
カボチャやサツマイモのお菓子が入っていました。右上にあるものですが、よく見えませんね(笑)。

パン屋「Dans Dix ans」も宅配をしているので、頼んでみました。


ちょっと量が多いので食べきれないかな。我が家には角食セットの方が良いかもしれません。次回頼んでみます。