中山七里 『ラスプーチンの庭』2021/04/20

1月に出版された犬養隼人シリーズの最新作です。


犬養隼人の娘の沙耶香は腎不全で帝都大付属病院に入院している。
沙耶香と仲のいい、同じ病気で同じ15歳の庄野祐樹は別の治療法に切り替えると言って退院していき、その一ヶ月後に亡くなる。
犬養は紗耶香と葬式に行き、祐樹の首から下に変な痣があるのに気づく。

それからしばらくして多摩川台公園で女の自殺死体が見つかり、その死体にも祐樹と同じ痣があった。
この二つの家族が<ナチュラリー>という小冊子を持っていたため、犬養は<ナチュラリー>を調べてみることにする。

<ナチュラリー>は自然治癒団体名で小冊子は会員にしか配付されていない。
主宰が織田豊水といい、怪しい経歴の持ち主で、ラスプーチンみたいな男だった。
世田谷区にある本部で織田から話を聞いたところ、痣は根気棒を使い、家族が施術しできたものであることがわかる。

そんな頃、<ナチュラリー>が世間の注目を集める。
というのも、神楽坂46の絶対的エース、桜庭梨乃が子宮頸がんに罹り、<ナチュラリー>の施術で完治したと公表し、同じ頃に与党国民党の久我山照之議員が緊急会見を開き、自分は食道がんのステージ2で、<ナチュラリー>の会員である。
<ナチュラリー>に関する誹謗中傷や医療行為への妨害を一切許さないと宣言したからだ。

やがて桜庭梨乃のsnsのコメント欄には誹謗中傷、脅迫文、殺人予告まで寄せられるようになる。
庄野家と四ノ宮家には悪意のこもった匿名の手紙が届き、庄野の母親が自殺未遂をする。
そして同じ頃、織田豊水が死体となって見つかる。
犬養は殺人事件が起こり、やっと大っぴらに捜査ができることになるが…。

民間療法がどのように殺人につながっていくのか、そこに行くまでがとっても長かったです。
犯人の動機は理解できますが、なんでそんなことが復讐になると思ったのか、そこがわかりません。
だって帝都大付属病院は全然打撃を受けてませんよ。
自分たちと同じような不幸な人を増やしているだけでしょう。
どんでん返しもないし、ちょっと残念は作品でした。

このシリーズではこれから紗耶香ちゃんのことがメインとなっていくのでしょうかね。
次のテーマは何かしら?


<今週のおやつ>


太陽ノ塔オリジナルクッキー缶「タイヨウノカンカン」。

クッキーを頼むと空き缶がたまってきます。きれいな缶ばかりなので、捨てたくないのですが、使用するには微妙な大きさなのよね。どうしようかしら…。