あさのあつこ 『おもみいたします 凍空と日だまりと』 ― 2024/07/10
『おもみいたします』の続編。

揉み仕事の依頼を受けお梅に取り次ぐ役割をしているお筆がやって来るが、なかなか仕事のことを言おうとはしない。
お武家からの依頼らしく、揉み治療に来てくれれば二十両を出すと言っているという。
そこに依頼した武家が二人現れる。お筆をつけてきたらしい。
彼らは詳しくは語れないが、すぐに来て主の腕が動くように治療をしてくれと言う。
興味を持ったお梅は十丸が反対するにもかかわらず、承諾する。
その三日後、お梅は武家の屋敷に行く。
屋敷には嫌な気が満ちていた。
出てきた女にお梅の揉み師としての決め事を話すが、女は先がないから無用だと突っぱねる。
武家には武家の生き方がある。恥を知り、恥を恐れ、恥を雪ぐために身命を賭す。そういう生き方で、町方とは異なるのだと言うのだ。
それにも関わらず、お梅は当主と会う。
そして、当主のどうしようもできない行く末を知り、自分の力と回りの助けを借り、生き続けるための道筋をつけていく。
今回は武家の当主が患者です。
町人とは違い武士は本当に生きづらい人種だと思います。
お梅が何を言おうが聞こうとしないんですから。いいえ、聞えても、心を閉じているのです。
凝りは人そのもので、揉むというのは、身体だけではなく、心の凝りもほぐしていくもの。人として一日、一日を楽しめるように。
何回も言いますが、わたしもお梅に揉んで欲しいです。
なんか前とは違い、お話が大きくなり過ぎている感じで、そこが残念です。
まだ十七歳のお梅がお節介過ぎで、武家相手にそこまでやれるのと言いたくなりました。実際にはこんなに上手くはいかないですよね。
それにお筆の孫のお昌ちゃんが全く登場しないし、仙五朗親分はもっと活用してほしかったです。
人ではない存在の十丸とお梅の会話はよかったです。
天竺鼠の先生はお酒に目がなく、仕事もわすれて飲んで騒いでいます。可愛い♡
次は短編で江戸に住む様々な人たちのことを書いて欲しいです。
そういえばこのお話、ミステリだったっけ?
今回はミステリ色を全く感じませんでした。
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