ほしおさなえ 『梅、香る 琴子は着物の夢を見る』 ― 2025/05/31
琴子シリーズと言っていいのかどうかわかりませんが、一応そうしときましょう。
前回の『琴子は着物の夢を見る』の続きです。

八王子にあるリユース着物専門店「本庄の蔵」で着物の査定の仕事をしている琴子は、横浜の山手にある家まで店長の本庄柿彦とともに出張買取に行った。
本来なら遠いところの出張は引き受けないのだが、浦野というお得意さまの紹介だったので、行くことになった。
実はこの頃、「本庄の蔵に曰く付きの着物を預けると、悪いものを取り除いてもらえる」という噂が出回っており、どうも浦野がその噂を流しているようだ。
だが、その噂は嘘というわけではなかった。
琴子には着物の記憶を見る能力があるのだから。
横浜のお客様は菊子という八十代の女性で、住んでいた家を処分して施設に入ることを検討しているようだ。
菊子の夫の家は『日向スカーフ』というスカーフの製造会社を経営していたという。
菊子の訪問着にはどれもその着物の出自や品質を保証する証紙がついており、保存状態もよかった。
査定が終わった時に菊子が振袖を見てもらいたいと言い出す。
手放したくはないが、本庄の蔵には着物についた念を祓う力があると聞いたからという。
振袖は菊子の娘の真子のもので、本疋田絞りの見事なものだ。
琴子が生地にそっと触れると、「ーいきたい」という強い意志が流れ込んできた。
迷いながらも琴子は菊子に自分の秘密を話し、その着物の話を聞くことにする。
異国情緒溢れる横浜ですが、知らないことがいっぱいあります。
例えば、磁器メーカーの大倉陶園が横浜の会社だとか、横浜にはスカーフ製造関係の業者がたくさんあり、1965年から70年ごろまで、アメリカで普及していたスカーフの九十五パーセントのスカーフは横浜製だったなんて、知りませんでした。
今でも「横浜スカーフ」という会社があるんですね。
ファッションに疎いので、知りませんでしたw。
今回のシリーズは着物のことの他に琴子が出張で行った場所の歴史を紹介していく感じなのでしょうか。
そういう蘊蓄を読むのは好きですが、着物の記憶を探るというお話は期待ほどではなく、ありきたりで、ちょっと残念です。
私としては前に書かれた川越を舞台にしたシリーズのようなものを望んでいるのですがね。
コメント
_ ろき ― 2025/06/02 02時53分38秒
_ coco ― 2025/06/02 07時06分27秒
そうですね。横浜のイメージはハイカラですね。今はインバウンドで混んでいそう。
なかなか行けなくなりました。
このままでは引きこもりになりそうですww 。
なかなか行けなくなりました。
このままでは引きこもりになりそうですww 。
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横浜はスカーフの生産拠点だったんだ。私も知りませんでした。「ハイカラ」な土地柄ですね。