アンソニー・ホロヴィッツ 『死はすぐそばに』2024/09/20

<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズの第五弾。
今回は趣が変わって、ホーソーンとホロヴィッツがいっしょに事件の調査をしません。
ホロヴィッツの代わりにホーソーンの助手を務めるのが元刑事ジョン・ダドリー。
というのも事件は五年前の2014年に起きたので、まだホーソーンとホロヴィッツは出会っていなかったのです。
そのため本書はホーソーンが提供した資料をもとに、ホロヴィッツが書いた三人称視点の過去の記述と、ホロヴィッツ自らの取材過程を一人称で語る現在の記述が交互に描かれています。


ロンドンのテムズ川沿いの閑静な高級住宅地リヴァービュー・クロースで、ベッジファンド・マネージャーをしているジャイルズ・ケンワージーがクロスボウの矢を喉に突き立てられて殺された。
この殺人事件を担当することになったカーン警視は面倒な事件だと思い、部下の提案を受け入れ、ホーソーンを外部顧問として呼ぶことにする。

リヴァービュー・クロースには六軒の住宅があり、門と塀で外部と隔てられている。住んでいるのは以下の住民。
≪森の家≫にはスター御用達の歯科医、ロデリック・ブラウンと病に伏せっている妻のフェリシティ。
≪切妻の家≫には元修道女で書店経営者のメイ・ウィンズロウと同居人のフィリス・ムーア。
≪井戸の家≫には引退した法廷弁護士のアンドリュー・ペニントン
≪厩舎≫にはチェスの名手、アダム・シュトラウスと妻のテリ。
≪庭師の小屋≫には家庭医のトム・ベレスフォードと宝飾デザイナーの妻のジェマ、そして双子の娘。
≪リヴァービュー館≫には殺されたジャイルズ・ケンワージーと元客室乗務員だった妻のリンダ、そして二人の子どもたち。
この他に女性の庭師とベレスフォード家の子守、ハンプトン・ウィックに暮らす老婦人の面倒をみているオーストラリア人女性がいる。

六つの家族が穏やかに暮らしていたのに、ケンワージー一家が越してきた時から様子が変わる。
騒音、度重なるパーティ、やんちゃな子どもたち、私道の独占、井戸で死んだ犬、壊れたチェスの駒etc. そして、プール建設計画。
住民達は我慢に我慢を重ねてきて、最後に話し合いを持とうとしたにもかかわらず、ジャイルズは現れず、住民の怒りは最高潮に達する。
そんな中で殺人が起った。

住民の誰もが殺害動機を持っている。
ホーソーンは果たして犯人を捕まえることができるのだろうか。

読むたびに思うのですが、2010年代に起った事件のようには思えません。わざとそう見えるようにしているのでしょうか。
クリスティやらポワロがいる時代に起った事件のようです。
イギリスにはまだそういう感じが残っているのかもしれませんね。
ホロヴィッツってパソコン使えるのかなぁ?

だんだんと暴かれていく住民たちの過去には驚きます。どんな人にも隠していることがあるんですね。
残念なのは、後の方で犯人が明らかにされてしまうことと、気持ちのいい終わり方ではないというところです。
時間が過去から現在に変わるところも、話が途切れてしまうので、あまり好きではありません。
このシリーズはあまりわたしとは合わないのかもしれません。
それでもホーソーンのことがわかるまで、読んで行きますけどww。

シリーズの本を載せておきます。
①『メインテーマは殺人』(2019年9月)
②『その裁きは死』(2020年9月)
③『殺しへのライン』(2022年9月)
④『ナイフをひねれば』(2023年9月)
⑤『死はすぐそばに』(2024年9月)

だいたい年に一冊、翻訳されているようですが、今のところ新刊が出版されていないようなので、来年は<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズは読めないかもしれませんね。
シリーズとしては10巻まで出版される予定らしいです。

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