読んだ文庫本 ― 2024/12/08

ほしおさなえ 『銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に』
旬平はブラック企業に就職し、仕事の疲れから新宿駅のホームから落ちて入院する。不運なことに、入院している最中に会社が潰れ、不本意ながら彼の一族が経営している軽井沢の銀河ホテルで働くことになる。
銀河ホテルは、昭和初期に富豪が別荘として建てた洋館を曾祖父が買い取りホテルに改装した、部屋数が三十ほどの小さなホテルで、今は母親が社長になっている。
ホテルに苅部文彦というアクティビティ部門の長がいる。彼はこのホテルの居候で、ホテルの裏山に建つ小屋に住み着いている。彼は蔵書室のとなりにある「手紙室」で手紙を書くワークショップを開催している。このワークショップは風変わりなもので、ワークショップを受けると、心の奥に隠されたほんとうの気持ちが見えてくるのだ。
旬平もホテルにやって来たお客たちもワークショップに参加し、自分たちの人生と向き合うことになる。
ほしおさんの新しいシリーズです。二作目が11月に発売されているようですが、まだkindleでは読めないようです。
今回は手紙がテーマで、ほしおさんお得意のインクの蘊蓄が読めます。
「言葉の園のお菓子番」シリーズ、古着を扱う琴子シリーズ、そしてこのシリーズの三つをこれから書いていくのでしょうか。今のところ新しいシリーズは様子見という感じです。
中山祐次郎 『迷うな女性外科医 泣くな研修医7』
佐藤玲は三十一歳の牛ノ町病院の外科医。医師として七年目で、外科医としては五年目になる。上司の岩井修造から責任のある仕事をさせてもらい、四学年下の雨野隆治が研修医から外科に残っているという恵まれた職場だ。手術の腕を上げることに生きがいを感じているが、時として女で外科医であることに憤ることもある。
そんなある日、研修医の時にお世話になり、四年前までいっしょに働いていた東凱慎之介の主治医を命じられる。東凱は四十三歳という若さで、ステージ4の直腸癌だった。
このシリーズは雨野が主人公かと思っていたら、今回は彼の指導医で同僚になった佐藤玲医師が主人公です。まあ、雨野は研修医じゃなく、ちゃんと免許のある医師になったのでいいんですけど、副題を変えた方がいいかも。
女性で医師であることに悩む佐藤医師に頑張れと言いたくなりました。
次は岩井医師のことが書かれるのでしょうか。期待して待ちますわ。
①『泣くな研修医』
②『逃げるな新人外科医』
③『走れ 外科医』
④『やめるな外科医』
⑤『悩め医学生』
⑥『外科医、島へ』
⑦『迷うな女性外科医』
藤野千夜 『団地のふたり』
桜井奈津子と太田野枝は同じ団地にすむ友だち同士。
奈津子は同居している母親が親族の介護で郷里にかえっているため今はひとり暮らしをしている。イラストレーターをしているが、依頼が少ないので、ネットでの取り引きやご近所さんに頼まれたおつかい、優待株の売り買いをして暮らしている。
非常勤講師をしている野枝ことノエチは両親と同居しているが、口うるさい親から逃れるためにしょちゅう奈津子の家に入りびたっている。
こんな二人の日常生活を描いた作品。
テレビドラマで評判ということで、読んでみました。まあ、なんの変哲もない、まったりしたお話です。同じ団地に住んでいるからいいですね。それじゃなきゃ、なかなか友だちとも会えませんものね。
10月に二冊目の『また団地のふたり』が発売されています。
友井羊 『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん お茶会の秘密と二人だけのクラムチャウダー』
「第一話:ダイヤモンドは消えない」
片山節子は町内の大きな洋館で暮らしているセレブのおばあさん。彼女のお茶会に理恵と夏織が招かれるが、そのお茶会で片岡家に伝わるダイヤが紛失する。いったい誰が盗んだのか?
「第二話:あなたにトムカーガイを」
浜口美智は自宅で料理教室を開いている。料理教室の広告を最寄り駅を中心に配布されているフリーペーパーに出していた。しかし、他の地域にも配ることになったらしく、理恵たちが問い合わせてきた。
理恵たちの料理教室の日以来不思議なことが起こる。夫が亡くしたカードケースが変なところに置いてあり、夫のクロスバイクが彼が嫌いなはずのタイ料理屋の前にあったり…。夫が何か隠しているのではと疑心暗鬼になる美智。
「第三話:ビル清掃は誘惑だらけ」
大学生の大塚マリアはアルバイトで早朝のオフィス清掃を始めた。不思議なことに現金がゴミ箱に捨てられていることが数回あったり、社員から付き合わないかと誘われ、断った後、大事な書類が見つからないことをマリアのせいにされたりする。バイトを辞めないといけないのかと悩むマリアだった。
「第四話:禁酒運転の証明方法」
理恵の友人の澄佳には悟という恋人がいる。ある日、悟が友人と山登りに行った日に、悟の妹から連絡が入る。悟の浮気現場を目撃したというのだ。
悟に確かめると、その日は酒を呑んだので、運転はできなかったという。
悟の言うことは本当なのか?
スープ屋しずくの店主、麻野暁がお店のお客さんが持ち込む謎を解いていくというお話です。理恵はしずくの常連で、麻野とつき合い始めたばかりです。
出てくる美味しそうなスープが目的で読んでいます。
例えば「クレソンとくるみのポタージュ」とか「バジルのポタージュ」、「ボンゴレロッソのスープ」、「ポトフ・ド・ラメール」とか。
スープにも色々な種類があるんですねぇ。
②『スープ屋しずくの謎解きごはん 今日を迎えるためのポタージュ』
③『スープ屋しずくの謎解きごはん 想いを伝えるシチュー』
④『スープ屋しずくの謎解きごはん まだ見ぬ場所のブイヤベース』
⑤『スープ屋しずくの謎解きごはん 子ども食堂と家族のおみそ汁』
⑥『スープ屋しずくの謎解きごはん 心をつなぐスープカレー』
⑦『スープ屋しずくの謎解きごはん 朝食フェスと決意のグヤーシュ』
⑧『スープ屋しずくの謎解きごはん お茶会の秘密と二人だけのクラムチャウダ
ー』
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