江戸時代の仕事の話(文庫本) ― 2025/06/11
前から救急車のサイレンが外出するたびに聞こえると書いていましたが、この頃は救急車の姿を見かけるようになりました。
それも走っているのを遠目にちょこっと見るのではなくて、近頃はバッチリ鉢合わせするようになりました。
そのうち乗ることになりそうです(冗談ですぅwww)。

横山起也 『お茶漬けざむらい』
妹尾未明のところにお蜜という芸者が相談を持ち込む。
連日宴の席にお蜜を呼ぶ角屋の義一との「舌試し」に勝つための料理を考えてくれというのだ。
何でおれがと思いつつ、友人の絵師、仁鶴に愚痴りに行くが、彼とモデルたちに海苔茶漬けを作って食べさせることになる。
仁鶴の作る茶漬けは、普段の『浮世』を忘れるような『芝居』を食わせるようなものだ。
お蜜の「舌試し」を発端に次々と難題が持ちかけられるが、仁鶴は茶漬けを使い解決していったので、やがて『お茶漬けざむらい』と言われるようになる。
そんな彼に膳奉行の長男・四条園城崋山が挑んでくる。
『編み物ざむらい』を書いた横山さんの新しいシリーズです。
妹尾未明は「舌の良さしか取り柄のない若き落ちこぼれ武士」とのこと。
緊張しいらしく、すぐこわばっちゃって、よく失敗をします。
その「こわばり」を取るのによかったのが、お蜜曰く「茶づる」こと、つまりお茶漬を食すことだったのです。
ちょっと風野真知雄さん風ですが、これから独自性を出して行くのでしょうね。
次回に期待します。
ア、未明の仕事はお茶漬じゃなかったわww。
坂井希久子 『星合いの空 江戸彩り見立て帖』
呉服屋「塚田屋」の三男坊・右近に色見立ての才を認められ、色見立て役として働いているお彩にライバル登場。七夕にちなんだ色合わせを競うことになる。
一難去ってまた一難。京都本店から長兄の蘇芳が偵察にやって来る。嫌味が趣味みたいな奴で、店の皆はピリピリしっぱなしだが、江戸っ子のお彩は彼の京風嫌味がわからない。お彩に迫る危機。
江戸彩り見立て帖シリーズの四作目です。
着物は着ませんし、持っていませんが、紋紗の着物が素敵で、着てみたくなりました。
京対江戸の戦いは、なんとか江戸の勝利で終わりましたが、未だに色々と文化の違いがあり、面白いです。
江戸の月見団子はまん丸で十五夜にちなんで十五個ですが、京の月見団子は里芋の形、しずく形で、十二の月を表し十二個(潤年は十三個)なんですって。今はこしあんや粒あんで包むようです。
月見団子って買ったり作ったりしませんが、京のは食べてみたいです。
<シリーズの順番>
①『色にいでにけり 江戸彩り見立て帖』
②『朱に交われば 江戸彩り見立て帖』
③『粋な色野暮な色 江戸彩り見立て帖』
④『星合いの空 江戸彩り見立て帖』(本書)
有馬美季子 『お葉の医心帖 きずなの百合』
弥生(三月)。道庵の診療所で働き始めてから一年が経ち、お葉は齢十八になる。
道庵のところに腰痛持ちの女絵師のお景が来る。道庵が彼女に鍼灸治療を施したのを見て、お葉は鍼灸に興味を持つ。お葉とお景は働く女同士として友となる。
卯月(四月)。二年前に怪我をした目が痛み出した元相撲取りの新太に、道庵の元弟子の源信が手術を施す。
皐月(五月)。道庵が咳き込み、熱を出す。お葉は診療所を休みにし、道庵を休ませ、お灸をしていると、お繁がやって来る。便秘がひどくなってしまったらしい。道庵はちょうどいい機会だからとお繁を稽古台にし、お葉に鍼灸を試させる。
水無月(六月)。高家旗本の奥様が駕籠に乗りやって来る。飲水病(糖尿病)で、壊死した足を切断するという手術を拒み、ある御典医を怒らせてしまい、他の御典医たちにも治療を断られたという。道庵は奥様の治療を引き受けることにするが、前途多難。
お葉と道庵は師匠と弟子ですが、父と娘みたいな感じでもあり、これからも上手くやっていけそうです。
源信とお葉の二人はこれからは道庵を支えていきたいと思っているようです。
いっしょになって診療所を継げばいいと思うのですが、どうなるのでしょうね。
出世を考えている源信ですから、いい縁談があったらそちらにいきますよね。
お葉は昔のこともふっきれ、いい医師になりそうです。
<シリーズの順番>
③『お葉の医心帖 わかれの冬牡丹』
④『お葉の医心帖 きずなの百合』(本書)
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