TVアニメ「銀の匙」を観る ― 2025/08/02
YouTubeを見ていたら、おすすめで出てきたのが【アニメフル全話】の「銀の匙」でした。
漫画は15巻で完結していましたが、アニメはシーズン2までで、1年生の秋で終わっているようです。

八軒勇吾は札幌にある進学校の中高一貫校に通っていたが、学力競争に敗れ、自信喪失し、高校から他の学校に行くことにした。
担任に相談すると薦められたのが大蝦夷農業高等学校(エゾノー)。
入学すると、同級生たちは農家出身が多く、将来に対する明確なビジョンを持っているが、八軒は将来何をしたいという夢はなく、そんな自分に引け目を感じてしまう。
その上、一般科目はいいが、農業の専門科目は彼らに及ばない。
一応成績は総合1位ではあるが、喜べない八軒だった。
そんな八軒に転機が訪れる。
ゴミ拾いをしている時にたまたまピザ釜を見つけてしまい、いつの間にか八軒がみんなにピザを作って食べさせることになってしまう。
この時以来、八軒は断らない男として有名になり、色々なことを押し付けられることになる。
文化祭でも沢山仕事を請け負ってしまい、手一杯になり、倒れてしまう。
しかし、エゾノーと八軒の相性がよかったらしい。
中学校の時のトラウマや高圧的な父親から逃れようとしていた八軒だったが、エゾノーで様々な人たちと出会い、色々な経験をするうちに、八軒は変わっていく。
過去と向き合い、父親に自分の思いを告げることができるようになったのだ。
私が中学生の頃、高校には普通科と商業科、工業科しかないと思っていました。
一応北海道出身ですが、農業高校が近くになかったのです。
もう一度高校に行けるなら、農業高校もいいかなと思います。
というのも、獣医になろうかと思ったこともあったからです。
大学構内にいる犬を捕まえて解剖をするとか言って脅され諦めましたが、諦めなければよかったなぁと思うこともあります。
今はネットで情報を楽に手に入れることができますから、いい時代になりました。
漫画の世界観がそのまま生かされていて、違和感なく見ることができました。
出てくるどの子もいい子で、応援したくなります。
日本の農業や畜産業はこれからどうなるのでしょう。
米のことが騒がれていましたが、今、どうなっているのか、あまり報道されていないようですね。
行き当たりばったりの政策ではなく、長い目で見た政策を打ち出して欲しいです。
色々と考えさえられるところのあるアニメですので、興味を持ったら見てみて下さい。
ここをクリックすると見られます。
<わんこの寝姿>

ある日のわんこは布団からずり落ちていますが、気にせずに寝ていますww。

昨日のわんこはうまく布団の上に寝ています。ママの気配に気づき、目を開けてます。
朝、パパが仕事に行ってからママのところで二度寝するわんこです。
柚木麻子 『BUTTER』 ― 2025/08/03
イギリスの英国推理作家協会が主催する「タガー賞」翻訳部門で候補作品だった
『BUTTER』を読んでみました。
この作品はイギリスでの評価が高く、2024年2月にイギリスで刊行されてから40万部以上(国内では30万部)売れているそうです。
イギリスの出版業界誌「The Bookseller」が運営し、英国の最高の作家とその作品に贈られる文学賞「The British Book Awards 2025」のDebut Fiction部門と読者の投票で選ばれる「2024 Books Are My Bag Readers Awards」の「Break-through award category」、イギリス大手書店チェーン「Waterstones」が選ぶ「Waterstones Book of the Year 2024」の三つの賞を受賞しています。

33歳の町田里佳は大手出版社、秀明社の男性週刊誌「週刊秀明」の記者だ。
ここ数年世間を騒がしている、婚活サイトを介して次々に男達から金を奪い、三人を殺した罪に問われ、東京拘置所に勾留中の被告人・梶井真奈子に手紙で取材の申込みをしているが、返事はない。
大学の友人で今は仕事を辞め妊活をしている怜子の家に遊びに行った時に梶井の話が出、怜子からいいアドバイスを貰う。
「料理好きな女って、レシピを聞かれると喜んで、いろいろと聞かれていないことまで話してしまう」というのだ。
里佳は梶井への手紙の追伸に被害者男性に作ったビーフシチューのレシピを教えて欲しいと書く。
しばらくすると梶井からいつでも遊びにいらしてくださいという手紙が届く。
梶井真奈子は若くも美しくもない、小柄なふっくらした三十五歳にしては老けて見える女だ。
事件については話をするつもりはないが、料理の話をするなら気晴らしに会ってもいいと言う。
しょっぱなの質問が冷蔵庫の中身だ。
マーガリンが入っていると言った時に、梶井はどうしても許せないものが二つある。「フェミニストとマーガリン」。
そして、バター醤油ご飯を作るよう、里佳に命じ、マーガリンを食べるのをやめると決めた時に、またしゃべるかもしれない。
本物がわかる人としかおつきあいしたくないと、面会を打ち切った。
梶井のペースに呑まれた里佳は会社に戻る前に梶井の薦めたエシレバターを買い、自宅でバター醤油ご飯を試す。
里佳は梶井真奈子に嫌悪感を抱きながらも魅了され、独占取材を勝ち取るために、梶井の薦めるままに料理をし、食べていく。
そのため体型が変わり、周りから思ってもいなかったことを言われる。
やがて梶井から取材の許可が出、彼女の故郷に行き、家族と会う許しをもらえるが・・・。
似たような事件があったなと思い、調べてみると、「首都圏連続不審死事件」が出てきました。2007年から2009年に起こった事件で、当時34歳だった木嶋佳苗には死刑判決がでています。驚いたことに三度、獄中結婚をしているそうです。
柚木さんはこの事件をモデルにして本を書いたのでしょう。
読み進んでいくうちに、木嶋佳苗が梶井真奈子みたいな女性だったのかもしれないと思えてきました。
梶井真奈子に翻弄され、絡め取られそうな里佳には感情移入できましたが、友だちの怜子は理解不能でした。いいところのお嬢さんじゃなかったかしら。書かれていませんが、何か伺いしれない暗闇があるのでしょうかね。
まあ、色々な価値観の方々はいますから。
でも、それがどこから来ているのか掘り下げていくと、思わぬことが現れてきそうです。
一度、疑ってみるといいかもしれませんね。
この本、イギリスで受けているということは、イギリスでも女性が生きずらいということがあるのかしら、とふと思いました。
バター醤油ご飯で思い出しましたが、炊きたてご飯の中にバターを入れて溶かし、醤油だけで味付けした納豆を混ぜて食べてみてください。美味しいですよ。
道産子なら誰でもやっていると思います(たぶん)。
これのことを言うと、みんな嫌な顔をするんですが、なぜでしょう。
お試しを!
<今週の美味しいもの>
宿のご飯がイマイチだったので、鰻を食べに行きました。

端っこを食べてから写したので、見栄えが悪いですww。

カフェタナカのビジュー・ド・グラッセ、サントメリーリュウキュウ。
アーナルデュル・インドリダソン 『黒い空』 ― 2025/08/05
アイスランド・ミステリ。
<犯罪捜査官エーレンデュル>シリーズの日本では八作目ですが、アイスランドでは十作目。

レイキャヴィク警察犯罪捜査官のエーレンデュルは同僚にも娘にも連絡をよこさず、行方不明のままだ。
シグルデュル・オーリは警察官になってからもっとも小さな事件とも言えない事件に関わっていた。
母親から頼まれたもので、彼女の親友が関わる事件だ。
日曜日にアパートの入り口の郵便受けに新聞紙が入っていないことがあり、誰が持ち去っているのか調べてもらいたいというものだ。
そんな頃に旧友のパトレクルと彼の義兄のヘルマンから相談される。
ヘルマン夫妻はスウィンガー・パーティ(夫婦交換パーティ)に参加していたが、セックス中の写真を撮られ、金を払わなければその写真をネットに載せると脅されているという。
ヘルマンの妻は大臣の補佐役をしている。
パトレクルはシグルデュル・オーリならどうにかできるのではないかと言う。
シグルデュル・オーリはヘルマン夫妻を脅迫しているカップルのうちのリーナという女に会いに行く。
リーナたちは脅迫には慣れていないらしいので、警察がどう対応するか、その法的な根拠を説明するだけで足りるかもしれないと思ったからだ。
しかし、呼び鈴に応じる人間はいない。
ドアは施錠されていなかったので、シグルデュル・オーリは中に入ってみる。
すると、リビングルームは荒らされており、女性が倒れていたので、近づき、かがみ込んだ、その時に、野球バットのようなものが彼の頭めがけて振り下ろされる。
なんとか逃れ、応援を頼みながら男を追うが、逃げられてしまう。
リーナは脅迫相手に殺されたのだろうか。
シグルデュル・オーリが単独で調べていくと、思わぬことが浮かび上がる。
この小説は2009年に書かれ、小説の時代は2008年。
「アイスランドの経済界が鰻登りの勢いだったころ」(あとがきより)の話です。
主人公であるエーレンデュルが未だに行方不明のままで、今回の主役はシグルデュル・オーリです。
彼は離婚したばかりで、彼と元妻と、そして彼と彼の父母との関係が多く書かれています。
彼がちょっとひねた性格になったのも頷けます。
小説の中では公の事件になっていませんが、シグルデュル・オーリが関わるものはもうひとつあります。こちらは胸糞が悪くなるものですが、最後までシグルデュル・オーリが関わってくれてよかったです。
シグルデュル・オーリの父親が言っています。
「いつも一番ひどい目に遭うのは子どもなんだ」
<シリーズの順番>
①『湿地』
②『緑衣の女』
③『声』
④『湖の男』
⑤『極寒の町』
⑥『印』
⑦『悪い男』
⑧『黒い空』(本書)
九冊目(本当は十一冊目)は「Furðustrandir (Strange Shores)」。
待ちに待ったエーレンデュルが登場します。
数年前の嵐の夜に行方不明になったマチィルドゥルと幼い頃に行方不明になった弟ベギー。
この二人の失踪事件をエーレンデュルが解明していくようです。
「黒川の女たち」を観る ― 2025/08/06
今日は広島に原爆が投下された日で、今年は敗戦から80年。
だからというわけではないのですが、ネットで記事を読み、気になっていた映画「黒川の女たち」を見に行って来ました。
映画館には年配の女性が多く見に来ていました。
これは若い方にも見てもらいたい映画です。

1931年の満州事変の後、1932年に満州国が建国された。
日本国内は世界恐慌のあおりを受け、深刻な経済不況に陥っていた。
1936年に「満州農業移民100万戸移住計画」が国策となり、満蒙開拓のために全国各地の人々が開拓団として入植する。
団員は困窮する農家の次男や三男などが中心で、1945年の敗戦まで約27万人が移住したと言われている。
岐阜県加茂郡黒川村(現白川町)は1941年から、およそ600人が入植した。
彼らが入植した土地はすでに開拓されていた。というのも満州人が暮らしていた土地を安く買い叩き、奪った土地だったからだ。
日本の敗戦が色濃くなった1945年8月9日、突如としてソ連軍が満州に侵攻してくる。
関東軍は開拓民を置き去りにして逃亡する。
開拓民は何も知らされていなかった。
やがてソ連兵だけではなく、家や土地を奪われた満州人から襲撃を受けるようになり、集団自決を選択する村もあった。
黒川開拓団は生きて日本に帰るために、ソ連軍に助けを求めた。
ソ連軍はその見返りとして、女性を求めた。
黒川開拓団は既婚女性ではなく、数え年18歳以上の未婚の女性、15人を性接待のために差し出すことにする。
女性たちは約二カ月間、順番にバラックのような部屋でソ連兵に犯された。
淋病や梅毒などの性感染症やチフスなどに罹り15人のうち4人が命を落とし、日本の土を踏めなかった。
終戦から1年後、生き残った開拓団員451人が帰国する。
しかし、人身御供として差し出された女性たちは差別や偏見、誹謗中傷の的となる。
彼女たちを指名した団員幹部たちや身内からも心ない言葉をかけられ、彼女たちは村にいられなくなり、よその土地で過去を隠して暮らしたり、未婚のままで亡くなった人もいる。
彼女たちの存在は忌むべきものとして、ないものとされようとしていた。
1982年、開拓団で「性接待」を強いられた女性たちに捧げて有志の寄付で「乙女の碑」が白川町黒川の佐久良太神社境内に建てられる。
その碑には説明が一切なかった。
1983年、月刊『宝石』が黒川開拓団の女性たちに取材して、性暴力の件を記事にしたが、記事が掲載された雑誌が発売されると、遺族会が全部回収して、焼いた。
かつて安江善子さんが遺族会が作った文集に満州での体験手記を寄稿したが、肝心な部分は本人の許可なくすべて削除されていた。
このように性暴力の記録はことごとく消され、元団員には箝口令が敷かれていたのだ。
2013年、満蒙開拓平和記念館(長野県阿智村)の「語り部定期講演」で、安江善子さんと佐藤ハルエさんが、初めて公の場で自身が受けた被害を語った。
安江善子さんは2016年に亡くなったが、その後も佐藤ハルエさんは語り続けている。(佐藤ハルエさんは2024年1月にお亡くなりになりました)
2018年11月、様々な人たちの働きかけにより、黒川開拓団の若い女性たちが「性接待」の犠牲になった事実を記した「碑文」が設置される。
何故、2013年になって安江善子さんと佐藤ハルエさんが隠されていた事実を語る気持ちになったのか描かれていませんでした。
たぶんその頃には開拓団の加害者側だった方々が全員亡くなり、差し支えなくなったからでしょう。
碑文が設置されるまでに三十六年もかかっています。
この月日が「性接待」をさせ、生き残ったことが黒川の隠したい黒歴史だった証ですね。
それも安江さんたちが明かしてしまい、隠す必要がなくなり、反対する人もいなくなったので、碑文が設置されたのですね。
安江善子さんや佐藤ハルエさんたちはもちろんのこと、碑文設置のために尽力を尽くした方々の粘り強い戦いに敬意を表します。
高校の日本史の授業で黒川のことを取り上げている様子も映画で取り上げられていました。いい試みだと思います。
佐藤ハルエさんが亡くなった後に開かれた「佐藤ハルエさんが遺したもの」に関する記事があり、その中にNHKの動画「史実を刻む~語り継ぐ”戦争と性暴力」が掲載されていますので、是非見てみて下さい。
関連した動画を下にも載せておきます。
私なんかがあーだこーだと書くよりも映像を見た方がわかりますから、是非見て下さい。
映画「黒川の女たち」予告篇
<参考>
【戦時下の性被害】歴史のタブーを語る95歳の女性 満州”黒川開拓団”の真実
(2020年9月5日放送)中京テレビNEWS
「戦時下満州での性暴力、ソ連軍に差し出され犠牲になった当事者が語るドキュメンタリー 松原文枝監督に聞く」
黒川とは関係ないですが、今年の報道番組。
「犠牲になるのは女子ども」戦争が終わっても…満州で起きた”性暴力”そして”中絶”【報道ステーション】(2025年8月12日)
秋川滝美 『ふたり旅日和』 ― 2025/08/07
「ひとり旅日和」シリーズの番外編です。
『ひとり旅日和 道続く!』で書かれなかったことが明かされています。

「第一話 鎌倉 本格ソーセージとビール」
気になっていた日和ちゃんと吉永蓮斗君の鎌倉デートの様子が書かれています。
二人のテンポはバッチリ合っていて、いい感じです。
このままいくと、ゴールインもありそう。
前も書きましたが、若いカップルの旅は観光スポットにも行くけど、メインは食べ歩きなんですね。
二人でいると、並ぶことも苦ではなくなります。
小町通りでビールとソーセージを食べた後に葉山牛のコロッケと大仏お焼きと、日和ちゃん、普通よりも食べる方だと思いますよ。
「想像力はひとり上手の最大の武器」っていい言葉だと思いました。
「第二話 博多 揚げたて天ぷらと長浜ラーメン」
博多と言えば、そうです。蓮斗君が今、転勤して住んでいる所です。
前回、日和ちゃんが博多に行こうとしたら、同じ頃に蓮斗君の両親が来ることになって、残念という感じでしたね。
それでも二日間、一緒に行動しました。
蓮斗君のアパートにお泊まりはしませんでしたけどww。
日和ちゃんが蓮斗君に望んだことは、蓮斗君が普段行くお店に連れて行って欲しいということ。
けなげにも、東京で「今頃あのお店でご飯食べてるのかなーって思えます。体験の共用っていうか……」なんて言ってます。
私なんか、そんなこと思いもしませんわww。
蓮斗君は天ぷらと長浜ラーメン、たまごかけご飯のお店などに日和ちゃんを連れて行きます。
「第三話 盛岡 冷麺食べ歩き」
旅するのは、日和の叔母さんで秋田県小坂町に移住した深川加世さんです。
加世さんは『ひとり旅日和 運開き!』に出てきています。
盛岡は冷麺が有名だそうで、冷麺食べ歩きに挑戦するつもりだったのが、薬を間違って多く飲んでしまい、眠くて怠くて、冷麺どころじゃなくなります。
そのため憧れの先輩で加世さんの主治医である小平医師がわざわざ盛岡まで来てくれます。
いくらなんでもこんなこと普通はありえませんよね。
二人とも、独身ですが、五十過ぎなので、いい茶飲み友だちということでいいんじゃないですか。
私、ちょっと盛岡に興味を持ちました。秋になったら行ってみようかしら。
そうそう、いいお土産の選び方が出てきました。
「おすすめリレー」と言って、お土産コーナーで何か買ってから、その店員におすすめを訊き、次のところでも同じようにして続けて行くと、何を買おうか迷わなくていいということです。
今度やってみようかしら。
「第四話 四万温泉 上州牛とおっきりこみ」
四万(しま)温泉は群馬県吾妻群中之条町四万にある温泉です。
私は土地勘がないので、高知の四万十川の近くにある温泉かと思いました(恥)。
日和ちゃんの家族はとても仲がよく、『お父さん還暦祝い旅行計画』の手配を日和ちゃんがして、九月下旬に家族四人で出かけます。アラ、二人じゃないわね。
どんな感じの旅行かというと、簡単に書いておきます。
<一日目>
車で東京の自宅を出発→三芳パーキングエリアのフードコートで昼食→伊香保で二組に分かれて「おもちゃと人形自動車博物館」と「徳冨蘆花記念文学館」、石段を見る→四万温泉宿泊
<二日目>
四万温泉→奥四万湖ダム→岩櫃城→横川サービスエリア→こんにゃくパーク→自宅
犬がいるので、パーキングエリアのフードコートやレストランで食事をしたことがありません。美味しいのでしょうか。
こんにゃくパークではこんにゃく料理のバイキングが無料で楽しめるそうです。
一度食べてみたいですが、混み合いそうですね。
前回同様に観光スポットよりも名物料理の方に重きが置かれているのが、私的には残念でした。
まあ、蓮斗君とのことがわかったので、満足しましたが、笑。
そろそろ日和ちゃん、海外に挑戦しようよ。
中山七里 『災疫の季節』 ― 2025/08/08
コロナ渦の事件を描いた作品。
『夜がどれほど暗くても』の続編。

「週刊春潮」の副編集長の志賀倫成は、部数を伸ばすために、人の不安と助平衛根性につけこみ、ワクチン接種の不安を煽るような記事を掲載していることに後ろめたさを感じていた。
反ワクチン団体に悩まされているくぬぎ病院で勤務医をしている高校時代の悪友、伊達充彦にもカルト教団のパンフレットに成り下がったのかと非難される。
そんな頃に反ワクチンを主張する阿神儀会がくぬぎ病院でワクチン接種を妨害しようとした時に、会の代表・阿川兵衛が薬品保管庫で筋弛緩剤を打たれて窒息死しているのが見つかる。
警視庁捜査一課桐生班が出動する。
容疑者は現場にいた70数名。
防犯カメラは襲撃メンバーにより止められており、不詳の下足痕や不詳毛髪が山ほどある。
コロナ渦以降病院業務のシフトはメチャクチャで、事件当時、自分がどこにいたのか他人に証言してもらうのは難しい。
捜査員の葛城公彦の脳裏に前途多難という文字が浮かんでいた。
志賀は自身の事件で出会った葛城から有益な捜査情報を引き出し、それを基に独自の取材を始め、阿川兵衛の生まれも育ちも東京都内で東大理三を経て医師免許を取得というプロフィールが嘘であったことがわかる。
阿川は茨城県久慈群大子町生まれの高卒で、母親が霊感商法で借金をしていたため、土地建物を売却したが、隣近所にも借金をしまくっていたため町を出ざるおえず、その後、両親は離婚し、彼は父親と暮らしていたという。
阿川はカルト教団に復讐する手段として、自らカルト教団のリーダーとなり、世間を撹乱しようとしたのか。
阿川が死んでからすぐに阿神儀会に新しいリーダーが現れる。
阿神儀会は独立した団体ではなくて、もっと大きな組織の一部なのか?
そして犯人は病院関係者なのか?
志賀の中で伊達への疑惑が芽生える。
コロナ渦のことを思い出しました。
医療関係者の方々には感謝しかありません。
本の中で伊達医師は言っています。
「問題なのは終息の時期や終わり方ではない」、「学ぶことだ。自分の言動を省みて、役に立ったことと立たなかったこと、失敗したことと成功したこと、後悔したこととしなかったこと。そういうのを忘れずにいれば、次に似たような災いが降りかかっても慌てずに済む」
果たして私たちは学んだのでしょうか。
次の災いの時に同じような間違いを犯さないでしょうか。
気になった言葉があります。
「所詮、出版社にとって思想など商品でしかない」
コロナ渦で暇を持て余している時にあることが気になり、それがネットや新聞などでどう扱われているか注目して見ていました。
そうすると、偏向的なことが書かれていたり、あったことを公にしないようにしていたりすることがありました。
マスコミは真実を報道するという使命があると思いますが、そんなことを考えているのは少数なのかもしれないですね。
ミステリとして読むと、な~んだってなっちゃいます。
この頃、最後の数ページで犯人を明かすことが増えて来ているような。
社会問題を扱うのは手慣れているのですから、無理にミステリにしようと思わなくてもいいような気がします。
新刊が8月と9月に出るようで、出版社が許してくれないのかもしれませんが、じっくりと時間をかけていいものを書いて欲しいです。
「コンパートメントNo.6」を観る ― 2025/08/10
フィンランド人監督ユホ・クオスマネンが同国の作家ロサ・リクソムの小説
『HYTTI NRO6』を基にして制作した映画で、2021年カンヌ国際映画祭のグランプリ作品です。
小説は今年7月にみすず書房から刊行されています。

1990年代のモスクワ。
フィンランド人のラウラはモスクワの大学で学んでいる留学生で、大学教授の恋人イリーナと暮らしている。
しかし、他の人たちにはイリーナのフィンランドの友だちだと紹介されているので、ただの同居人と思われている。
一緒にムルマンスクまでペトログリフ(岩面彫刻)を見に行くはずだったが、イリーナに急に仕事が入り、ラウラは一人で行くことになる。
モスクワ発ムルマンスク行きの寝台列車6号コンパートメントに乗り合わせたのは、ロシア人労働者リョーハ。
リョーハは乗ってきた早々からウォッカを飲み、タバコを吸い、食い散らかし、ラウラに侮蔑的な言葉をかけ、しつこく絡んでくる。
ラウラはしばらく食堂で時間を潰すが、閉めると言われてコンパートメントに戻ると、酔っぱらったリョーハが話しかけてくる。
「こんにちは」と「さようなら」がフィンランド語で何と言うのか聞いてきたので、「Hei」と「Hei hei」だと教えてやると、馬鹿みたいだと笑う。
「愛している」は何て言うのかと言うので、当てつけに「Haista vittu」だと嘘を教えてやる。
列車で買春しているのかと聞いてきたので、ラウラの我慢も限界になり、車掌に別のコンパートメントに変えてくれと言うが、我慢するように言われる。
他の車両を見に行くが、どこにも空きがない。
しばらく時間を潰してから戻ると、リョーハは酔いつぶれて寝ていた。
サンクトペテルブルクに着いても、男は寝ている。
ラウラは列車から下り、モスクワ行きの列車の時刻を聞き、イリーナに電話をするが、イリーナに「もう帰ってくるつもりなの」と笑われ、帰ると言えなくなる。
列車に戻ると、コンパートメントに男の子と赤ちゃんを抱いた女がいる。
赤ちゃんが泣き出し、ラウラがコンパートメントントを出ていくと、リョーハが跡を追ってくる。
食堂で別々のテーブルに座り、二人は話をする。
リョーハはムルマンスクの鉱山で働らくらしい。
列車はペトロザボーツクに一晩停車する。
リョーハは老婦人に会いに行くので、一緒に来ないかとラウラを誘うが、ラウラは断る。
公衆電話でイリーナに電話をしていると、男がやって来て、さっさと出ろと因縁をつけられる。
そこにリョーハが車でやって来て助けてくれる。
結局、ラウラはリョーハの車に乗り、老婦人に会いに行くことになる。
次の日、ラウラは間違えた車両に乗り困っていたフィンランド人男性を自分のコンパートメントンに招く。
リョーハは口を聞かなくなる。
やがてフィンランド人男性は列車を下りていく。
彼がいなくなった後にラウラは思い出がつまったビデオカメラが盗まれたことに気づく。
泣きながらラウラはリョーハにイリーナとのことを話す。
二人はいい雰囲気になるが、リョーハはそれ以上の関係になるのを嫌がり、ムルマンスクの住所も教えてくれない。
ムルマンスクに着いた時に、リョーハはいなくなっていた。
ラウラはペトログリフを見に行こうとするが、冬は道が通行止めになっていて行けないことがわかる。
困ったラウラは採掘場に行き・・・。

フィンランドとロシア、映画に出てくる町がわかる地図を載せておきます。
赤い点付近が最終地のムルマンスクです。
何日かかったのでしょうね。今だと車で20時間、列車で一日半ぐらいで着くようです。
今年の7月から本格的にフィンランド語を学び始めました。
どれぐらいフィンランド語が聞き取れるかと調べるために見たのですが、ロシアが舞台ですから、ロシア語が99%の映画でしたww。
聞き取れたのは、「Hei」ぐらいで、「Haista vittu」は全くわかりませんでした。
これはフィンランド語の悪態、罵り言葉で「くそくらえ、くそったれ、くたばれ」という意味なんですって。
ちなみに「vittu」は女性器を指すスラングで、人気がある悪態言葉だそうです。
(参考:「ネイティブがよく使うフィンランド語の悪態、罵り言葉5選」の中の動画がおすすめですw)
1990年代のロシアとフィンランドの関係はどうだったのでしょうね。
歴史に疎い私なのでわかりませんが、1991年にソ連崩壊が起こっています。
フィンランドはロシア領になったこともあるし、どちらかと言えばロシアの方が上という意識があったのではないかと思いますが、どうでしょう。
リョーハが最初と最後でまったく違う印象になります。
列車に乗った時には何か嫌なことがあったので、飲んで紛らわしていたのでしょうか。しらふになった時の彼はいい面構えをしています。

リョーハ役はロシア人俳優、ユーリー・ボリソフ。
ラウラのために力を貸す彼は素敵でしたが、二人の道はもう交わることはないのでしょうね。
ラウラにとって新しい一歩を踏み出すための旅になったようです。
この映画で一番心に残ったのが、老婦人の言葉です。
「女性は内なる自分を持っている、とても賢い生き物。心の声に従って生きるの」
彼女は15才で心の声を聞き、それを信じて、それ以来43年も幸せに暮らしているそうです。
あら、58歳?もっと年寄りに見えるけど、ロシア人女性は老けてる?
ラウラはどんな心の声を聞いたのかしら。
北極圏を走るボロい車がいつ走れなくなるのか、すごく心配になりました。

期待していたペトログリフがよく見られなかったのが残念でした。
冬はどう考えても雪やら氷で埋もれてよく見えないでしょうに、何故そんな頃に行こうと思ったのでしょうね。
そうそう、その前に、寝台車は男女いっしょなんて、絶対に嫌です。
そう言えば何年か前の日本もそうだったと思い出しましたわ。
アメリカ映画みたいに派手な演出はない、見る人を選ぶ映画ですが、ロシアの風景が心に残るいい映画でした。
こんな旅はしたくないですけどねwww。
本は図書館に予約しているので、読むのが楽しみです。
「コンパートメントNo.6」劇場予告
柚木麻子 『らんたん』 ― 2025/08/12
図書館に予約をしようと思ったら、とんでもない数になっていたので諦め、文庫本になってから読もうと思っていた作品です。
柚木麻子さんの母校、恵泉女学園の創立者、河井道のお話です。
すみません、私、恵泉女学園のことを知りませんでした。
字が似ている恵泉と清泉の違いもわからない田舎者です。
(清泉女子大学は品川にあり、聖心侍女修道会を設立母体として、1950年に4年制女子大学として設立された大学だそうです)

河井道のことを簡単に書いておきます。
河井道は1877年に三重県宇治山田市(現在の伊勢市)に生まれる。
父親は伊勢神宮の神職だったが、明治維新後、失職し、一家で北海道函館市に移住する。
1887年に札幌区で長老派伝道師、サラ・C・スミスの開設したスミス女学校(現、北星学園女子中学高等学校)に入学し、キリスト教に基づいた教育を受ける。この頃、札幌農学校で教えていた新渡戸稲造と出会う。
北星女学校卒業後、小樽でクララ・ロースが始めた静修女学校の寮母を務めながら教科も教える。
1896年、周囲のすすめで上京し、津田梅子の家に下宿しながら学び、1898年に新渡戸稲造夫妻に伴われて渡米する。
フィラデルフィアのアイヴィ・ハウスで学んだ後、ブリンマー大学に入学。
1904年にブリンマー大学を卒業し、帰国。女子英学塾(現、津田塾大学)の教師になる。
その後、YWCAの活動に携わり、1929年、52歳の時に恵泉女学園を設立する。
この時、校舎は河井の自宅で、生徒数は9名。渡辺ゆりなどの津田英学塾での教え子たちが募金活動を行い支援した。
渡辺ゆりは一色乕児と結婚した後も、夫婦共々河井道を支え続けた。
1930年、世田谷の千歳村に校舎付きの物件が見つかり、移転する。
この後、河井道の教育理念に賛同する多くの人たちの支援を受けながら、学園は成長していく。
戦争を経て、1953年、75歳で逝去。
この本は河井道の伝記ではなく、伝記を基にしたフィクションです。
例えば、ビラは本当に配られましたが、道が飛行機に乗ってビラを配ったという事実はありません。
出てくる有名人たちがこのような性格であったかどうかはわかりません。
有島武郎なんか幽霊になっても出てきて、「エ、こんな人だったの」って感じでしたww。
私的には津田梅子の描き方が少し冷たい感じがしました。
平塚明(後の平塚らいてう)に「先生は、社会を変える気はこれっぽっちもないのですわ。西洋で身につけたのは技術としての英語だけよ。父親や男の顔色をビクビク窺い、懸命に期待に応えようとする、これまでの自分を殺す古い女性たちと何も変わらないですわ」と言わせたり、「優秀な女子を見い出しリーダーとして育成する技術に長けた梅子先生と、なるべくわかりやすく広く教育を行き渡らせたいという道」と書いていたりします。二つの大学の違いを際立てようとしているのでしょうか。
津田梅子(1864年生まれ)は6歳でアメリカに渡り、日本に帰って来たのが18歳。官費で留学したので日本に恩返しをしようと意気込んで帰ったのに政府から音沙汰はなく、日本語を忘れ半分外国人のようだったので、家族から持て余され、一緒に留学した二人は結婚してしまう・・・。
こういう目に遭った梅子と道は世代が違うのに、書き方が梅子に厳し過ぎと思ってしまったのは、先に梅子の伝記を読んでいたからかしらww。
そういえば近頃、女子大学の人気も下がり、軒並み偏差値が下がっていますね。
その上、定員に満たない女子大学が増え、恵泉女学園大学は2023年度をもって募集停止になっています。恵泉女学園中学・高等学校は継続するようですが。
他の女子大学もいつまで続くやらという感じです。
日本の家父長制が今も続いているように思いますが、そういう今、女子教育の成り立ちを学んでおくのも何かの役に立つかもしれませんね。
本の中に津田梅子と新渡戸稲造、有島武郎以外にも天璋院篤姫、伊藤博文、大山捨松、広岡浅子、村岡花子、石井桃子、平塚らいてう、伊藤野枝、山川菊栄、市川房枝、野口英世、北原白蓮、徳冨蘆花、太宰治、ロックフェラー、マッカーサーなど錚々たるメンバーが登場します。
道と関係のあった方々を書いておきたいという気持ちもわかりますが、そのためにお話が長くなってしまったみたいです。
面白いのですが、長さに負けてしまう人がいるかもしれません。
柚木麻子さんの母校に対する思い入れたっぶりの小説ですので、頑張って読んでください。
そのうちNHKのドラマになるかもしれませんよww。
最後に、「ブリンマーのランターンナイト」にちなみ、題名を『らんたん』にしたようですが、晩年の梅子が道に言った言葉を載せておきます。
「誰かが必ず、私の意思を引き継いで、私の失敗や悲しみも糧にしてくれると信じている。そして私がともした光より、もっと大きな光にして、それをまた新しい世代に継承するの。(後略)」
らんたんの光は今も継承し続けています。
読んだ時代小説 ― 2025/08/13
また読んだ文庫本が増えてしまったので紹介します。

馳月基也 『拙者、妹がおりまして 8~10』
ずっと前に読んでいたのですが、紹介するのが遅くなりました。
8巻では、勇実がものもらいになり、蘭方医に手術をしてもらいます。
江戸時代にもものもらいの手術ができたのですね。
火牛党がまだ生きていることがわかります。
龍治はごろつきに絡まれていた辰巳芸者を助け、惚れられます。千紘はどうする?
勇実は雨宿りで菊香と船宿へ。そこに鼠小僧が現れ、全然色っぽくない話になってしまいます。
そして、最後に手習所のみんなが秘密の務めを始めます。可愛いです。
9巻では、医者の三男坊、大平将太に妹ができます。本当の妹ではなくて、相手方との家柄の釣り合いが取れるようにと養女になったのです。その妹に将太は一目惚れをしてしまいます。
10巻は最終巻で、やっと終わりますww。
勇実と菊香、そして龍治と千紘、この二組の運命はいかに。
10巻まで伸ばしに伸ばしたという感じですが、それなりに収まるところにおさまりました。
登場人物、皆に幸あれと祈るばかりです。
馳月基也 『義妹にちょっかいは無用にて 1~7』
長崎から一人、嫁に行くために江戸に出てきて大平家の養女になった理世ですが、破談になってしまい、長崎へ帰ることもできず、大平家に残ります。
将太は妹であるがうえに、自分の気持ちを伝えられません。
いつか将太の気持ちは理世に届くのでしょうか。
悶々とする将太に呆れながらも、読んでいってしまうお話です。
将太は今でいう発達障害児なのでしょうね。
文政七年(一八二四年)のことだそうです。外国船が続々と日本に現れている頃で、翌年、異国船打払令が出ています。
『拙者、妹がおりまして』の勇実たちのその後が書かれているのが嬉しいです。
是非、『拙者、妹がおりまして』から続けて読んでください。
山本攻次 『千夏の光 蘭学小町の捕物帖』、『千夏の時 蘭学小町の捕物帖』
十八になる千夏は蘭方医の畠中順道の娘で、普通の女子が興味を持つことに全く興味がなく、縁談にも見抜きもしない。父の診察に付き添い、指示に従い薬を用意している。難事が大好物で、好きな蘭学を使い次々と解き明かしていく。
避雷針とか種痘など今では当たり前のことが出てきて、江戸時代から知られていたということがわかります。意外と江戸時代は進んでいたのですね。
好奇心旺盛で、お転婆の千夏は何にでも首を突っ込んでいくので危ないです。
山本攻次 『角を曲がれば謎がある 大奥様陽だまり事件帖』
主人公は四百五十石の旗本、羽鳥弥左衛門利宣の母親で六十三になる嬉代。
普段は書を教えたり、句会を催したりして過ごしているが、持ち前の観察眼と頭の回転が評判で、よく彼女のところに相談事が持ち込まれ、嫡男の娘で孫の那美を片腕にし、次々と厄介事を解決していく。
山本さんは「八丁堀のおゆう」シリーズを書いている人なんですね。知らずに読んでいました。
女主人公に特徴がありますが、男性を主人公にした時はどうなんでしょうね。
今回の本は可もなく不可もなし。次が出ても読まないかもしれません。
おすすめは馳月基也さんのシリーズです。
<今日のわんこたち>

脚の毛が伸びてきて、普通に毛が乱れているわんこに見えてきました。

ヨーキー弟はお口周りとお目め下が相変わらずのバッチさ。

犬部屋から脱走することがあるので、特別室を用意しましたが、ここからも脱走します。鉄のドアを力まかせにこじ開けるのです。すごい力です。
いつもはドアをリボンで結び開かなくしています。
上にのっているおもちゃが気になり、チンチンしています。絶妙のバランス感覚。
桜木紫乃 『情熱』 ― 2025/08/15

六編の短編集。
「兎に角」
元報道カメラマンで、今は北海道でフリーカメラマンをしている牧村鋼は、四十年ぶりに塾で同じクラスだった二葉に再開する。
彼女は地元のテレビ局や百貨店のポスターからCM撮影まで手がけるヘアメイク・スタイリストになっていた。
「スターダスト」
六三歳になるルックレコードのディレクター河合はもとサックスプレイヤーだった。ジャズサックスは捨てたはずだったが…。
「ひも」
老人ホストクラブに勤めている朗人は美容室の雇われ店長の江里子と暮らしている。「ボケたら関係解消」という約束だが、この頃、江里子の様子がおかしい。
「グレーでいいじゃない」
ジャズピアニストのトニー漆原が死んだ。彼は母に背き、ジャズピアニストになった。その母がジャズハウス『ジス・イズ』に現れ、一曲弾きたいという。
「らっきょうとクロッカス」
裁判所職員の青田芙美は急に釧路への異動を打診された。実質的な左遷だ。
自分の何が悪かったのか、心当たりを探すが、見つからない。
仕事相手の弁護士で、妻が一年前に亡くなったという竹下に挨拶に行くと、ひょんなことで一緒でビア・ガーデンに行くことになる。
「情熱」
北海道在住の小説家、島村は大学教員の内田夏海に彼女の故郷下関の遊郭跡を案内してもらう。彼はひそかに夏海をモデルに小説を書こうと思っていた。
登場するのはもはや若くない、初老の男女。
もう一度、人生をやり直すには遅いけど、それでも何か、もう一度できることがあるかもしれないという、大人の来し方行く末が書かれています。
別に愛だの恋だのでなくていいのです。
熾火のように心の中でくすぶっている何かがあれば。
しっとりした大人のお話です。
<今日のわんこたち>

いつもは一匹ずつですが、今朝はママパパと四人でお散歩します。

兄はもくもくと歩きますが、弟はママが後ろにいると気になり、何回も立ち止まります。
お散歩の後に兄がご飯をあまり食べません。疲れているのかしら。
お昼にチュールをのせてあげると、全部食べました。
チュールを毎回よこせということなのかしら?
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