東京大仏(乗蓮寺)に行く2026/02/01

東京に大仏があるとは知りませんでした。
奈良、鎌倉に続き、三番目に大きいのだとか。
大仏のある乗蓮寺は東京の板橋区赤塚にあります。
下赤塚駅から歩いて20分くらいかかるので、心配な方はコミュニティバス「りんりん号」に乗り、区立美術館入口で降りて歩いた方がいいようです。

この乗蓮寺周辺一帯は赤塚城跡で、お寺の境内が二の丸、裏手の小高い山が本丸だったらしいです。
東京大仏は昭和52年(1977年)に建造され、座高8.2m、頭部3.0m、蓮台2.3m、重量32トンで、「天災」や「戦災」が二度と起きないようにとの願いが込められているそうです。


階段の上に山門、右側に駐車場と閻魔堂があります。
入り口に入門は午前9時から午後3時45分まで、ペットは入れない、他のお寺の授与品のおたきあげは断るなど注意事項が書いてあります。


閻魔堂。
徳川将軍の「お鷹狩り」のお休み処になっていた600年の歴史を持つ浄土宗のお寺だそうです。


山門の両側に仁王、境内側には多聞天と広目天がいます。


山門の右側に登楼と福寿観音、宝珠観音堂があります。


山門をくぐりすぐの右側に大仏様がいます。


阿弥陀如来。
それほど多きくは見えませんね。


右側をぐるっと回ってみます。


天保飢餓の供養塔。


鉄拐仙人。足の病気平癒を願う人々の信仰対象だったそうです。
この他にいくつか石造物がありますが、豊島区駒込付近に所在していた津藩藤堂家・江戸下屋敷(染井屋敷)に置かれていたものだそうです。


がまんの鬼。


役小角。


横から見た大仏。


なかなかいいお顔をしていますね。


奪衣婆。


文殊菩薩。


池に浮かぶ弁天堂。


手水舎。写していませんが、龍が天に上るような形をしています。


本堂。


本堂から見た大仏。
右側にいる女の子たちは多分タイの子だと思います。
ずっと写真を撮っていました。一人が手を合わせ、大仏といっしょに撮っているのでしょうか?
他にも東南アジアの国の人らしき家族がいたので、このお寺は東南アジアの人たちに人気なんでしょうかね。


春や秋はさぞ写真写りがいいでしょうね。
授与品を見たかったのですが、間口が狭く、家族の方がいたのであきらめました。

お寺のそばにある赤塚溜池公園は犬のお散歩ができるというので、次回はわんこたちを連れて来ようと思いました。

ジル・ペイトン・ウォルシュ 『セント・アガサが揺れた夜』2026/02/02

<イモージェン・クワイ>シリーズの四作目ですが、作者がお亡くなりになっていますので、シリーズの最後の作品となります。


セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師イモージェン・クワイの自宅に、フランセス(フラン)・ブリャンとジョシュ・コリフッドのカップルが下宿している。
ある日、フランから演劇クラブ<キッド・プレイヤーズ>の役員会を家で開いてもいいかと聞かれ、イモージェンは承諾し、役員会を傍聴することにした。

<キッド・プレイヤーズ>は、稽古場が火災で焼け、火災保険に入っていないかったため破産目前だったが、大富豪の息子マーティン・モトルが救済を申し出てくれたという。
ところが彼のつけた条件がとんでもないものだった。
これから上演する『ハムレット』をモトルが演出し、主役を演じるというのだ。
困ったことにモトルはひどい大根役者なのだ。
普通に演じると、とんでもないことになる。
そう考えて、急遽、全幕が一時間ぐらいで終わる<粗悪な四つ折本>を使うことにする。

ところが『ハムレット』の公演中、モトルは思いもかけない行動を取る。
昨年、セント・アガサ・カレッジの学寮の塔から<ハーディングの悪ふざけ>をしようとした英文学科のフェロー、ジョン・タレンタイアーが転落死していた。
モトルはタレンタイアーの死は単なる事故死ではなく、殺人だと示唆したのだ。

同じ頃、寮から学生がいなくなる。
イモージェンはいきがかり上、彼女の養母に会いに行く。

何も関係のなさそうな二つの出来事だったが…。

過去の恋人の裏切りを未だに忘れられないイモージェンは、高齢の男性との穏やかな付き合いの中に幸せを見出しています。
しかし、それはいつか来る別れの影がつきまとうものでした。

シェイクスピアのテキストにはいくつかあります。
昔、学んだとは思いますが、記憶が…。
本の中に『ハムレット』に関する蘊蓄など色々と出てきますので、気になる方は読んでみて下さい。
各カレッジにはそれぞれ変な伝統的ないたずらがあるのでしょうか?
<ハーディングの悪ふざけ>は危ないのにねぇ。
後、ネタバレになるかもしれないので、詳しくは書きませんが、イギリスの裁判の…。

最後がとても美しく、いい終わり方です。

<シリーズの順番>
④『セント・アガサが揺れた夜』(本書)

「CROSSING心の交差点」を観る2026/02/03



亡き妹に頼まれ、元教師のリアは行方不明のトランスジェンダーの姪、テクラを探しにバトゥミ(ジョージアの町)に行くが、彼女はいない。
そこに兄家族といっしょに住んでいる青年アチに、テクラのイスタンブールの住所を知っている、トルコ語が話せるので役に立つから、イスタンブールまで連れて行ってくれと頼まれ、二人でトルコに旅立つ。

イスタンブールで話しかけてきた少年と少女にトランスの人々が暮らしている場所に連れて行ってもらい、テクラを探すが、見つからない。
リアはアチといっしょにホテルに泊まりながら、テクラを探し続ける。

トランスの人たちのNPOがあることを知ったリアはそのNPOを訪ね、自らトランスでありながらトランスジェンダーの権利のために闘っている弁護士、エヴリムの助けを借りるが…。

私、ジョージアとトルコが接していることを知りませんでした(恥)。
ジョージアはベラルーシの方にあると思っていました。

LGBTQ+のことが話題になっていますが、実際はどうなのでしょう。
映画ではテクラは父親に家を追い出されたとなっています。
テクラはバトゥミではトランスの仲間と暮らし、トルコのイスタンブールに行っても、トランスのコミュニティで暮らしていたようです。
イスタンブールは行ったことがないのでどういう町なのかわかりませんが、映画では雑多な人々が行きかう場所として描かれていました。

リアは最初はテクラを探してジョージアに連れ戻そうと思っていたようです。
元教師ですから、若者は正しい方向へ導いていかなければならない、とか思っていたようなww。
でも、テクラの暮らしを知るにつれ、自分が彼女のことを理解していなかったことに気づき、気持ちが変化していきます。
アチに邪魔されたけど、中年男性と仲良くなってもよかったと思いますよ。
ダンスしているリアがめずらしく生き生きしていましたもの。
おしかったね。

アチは兄夫婦の家から逃げるきっかけにリアを利用しましたが、イスタンブールで暮らしていく決心ができたようです。
エヴリムは今の仕事を続けながらも、幸せになって欲しいと思いました。
病院で全科に行ってサインをしてもらわないと女性患者として診てもらえないとは、驚きました。
一番心配なのが、二人の子どもたちです。
エヴリムたちがいてくれるので、大丈夫だとは思いますが、それでもねぇ。

すっきりとしない終わり方ですが、情景がこころのどこかに残る映画でした。


堂場舜一 『怨磋の回廊 ボーダーズ5』2026/02/05

初心の業 ボーダーズ4』に続く、「ボーダーズ」シリーズの五作目。


SCU(Special Case Unit)こと「特殊事件対策班」に、二月にチーム最年少で十種競技の選手だった島野恭平、三月に前職が警視庁本部交通捜査課で数字に強い麻田文という三十二歳の巡査部長が異動してきた。
SCUはこの二人とキャップの結城新次郎、サブキャプの綿谷亮介、そして八神佑の五人のメンバーとなっている。
元メンバーの朝比奈由宇は目黒中央署の生活安全課へ異動 最上功太はSCUに籍はあるが、サイバー犯罪対策課と兼任になり、実質的にはSCUを離れている。

4月、岩田警視総監がSCUに現れ、豊島中央署刑事課の係長、篠沢啓介警部補、四十五歳を内密に捜査するという命令が下された。
篠沢は最近、スピード違反で捕まったが、乗っていたのがベンツのGクラスで、彼は妙に金回りがいいという噂があるというのだ。

動向監視を始めると、篠沢は自宅以外にマンションを借り、駐車場にベンツを停めていて、仕事の後に銀座の雑居ビルにある「佐藤孝介事務所」に通っているのがわかる。
事務所を調べてみると、契約したのが加納真司という人物で元暴力団員の酒井俊二が出入りしているらしいが、事務所に関しては詳細不明だった。
SCUは豊島中央署の職員、横井に篠沢をスパイするように頼む。

キャップの結城がおかしな行動を始める。
いつもは大枠な指示しか出さないのに、普段とは気合の入り方が違うのだ。
疑念を抱く八神と綿谷。

そんな時に品川南署管内の自宅のマンションで加納真司が殺される。
篠沢にはアリバイがなかったが、行方がわからなくなる。
しばらくして篠沢の捜索に出ていた藤田という若い刑事が襲われる。
このことを聞いた結城はすぐに出かけていき、その後行方不明となる。

結城はどこに行ったのか。
そして、彼は一体なにを隠しているのか。
彼はなんらかの目的のためにSCUを作ったのではないのか。
八神たちの疑念が深まる。

やがてSCUは警察内部に長年蔓延る闇を暴くことに…。

新人と言えば、麻田文は変わった女性警官です。
数字に妙にこだわり、暗算が得意で、うわばみで大食い。
カツ丼に天ぷら蕎麦をいっしょに頼もうとするんですから。
八神は驚いていましたが、彼が頼んだのが三月なのに冷やしたぬき。
アラフォなのに胃袋がやわすぎですわww。
なんか堂場さんのシリーズに魅力的な女性警官がいなくて、ちょっと残念です。

イケメン刑事大友が現れ、びっくりしました。
息子君も大きくなり、仕事をしているようですから、彼のシリーズもそろそろ書いて欲しいですね。

SCUは新シーズンへ。
八神以外は新メンバーかな?
そこに旧シリーズのメンバーたちが登場するという感じでしょうかねww。
楽しみに待ちましょう。

「ペンギン・レッスン」を観る2026/02/06



兄犬は毎晩、ママのベッドのホットブランケットの上で寝ています。
犬用のレンジでチンする湯たんぽを用意したのに、カバーが気に入らないみたいで使いません。
前は寝ていると名前を呼んでも無視したのに、ママのベッドに行けるので、この頃はすぐに起きてきます。


朝はこんな風に寝ていて、起きなさいと言っても無視します。
ホカホカのベッドは気持ちいいので、出たくないのは人間も犬もいっしょですね。

また風邪をひいてしまいました。
今回はパパからうつされました。
パパが風邪やインフルエンザをひくと、ママにうつります。
ママがひいてもパパにはうつりません。
何故でしょう。

動物が出てくる映画は好きなので、見に行ってきました。
原題は「The Penguin Lessons」で、実在の英語教師トム・ミシェルが書いた小説『The Penguin Lessons (人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日)』が原作で、スティーヴ・クーガンが主人公のトム・ミシェルを演じています。


1976年、軍事政権下のアルゼンチンの名門寄宿学校に、トム・ミシェルは英語教師として赴任する。
町は爆発が起こったりと混乱状態だが、校内は校長の政治は持ち込まないという姿勢で一見平穏にみえる。
だが、生徒たちはまともにトムの授業を聞こうとはしない。

赴任早々、軍事クーデターの影響で一週間学校が休みになる。
トムはウルグアイに行くことにすると、ポーランド人の物理教師タビオもついてくる。
タビオがアルゼンチンに戻った日にトムはクラブで一人の女性と知り合う。
その女性と海岸を歩いていると、重油まみれのペンギンたちが大量に死んでいた。
その中に一匹、まだ生きているペンギンがいた。
トムたちはホテルにペンギンを連れていき、いっしょに重油を洗い流すが、女性はトムとペンギンを残して去っていく。

次の日、トムはペンギンを海に帰そうとするが、何故かペンギンはトムのもとに戻ってくる。
困ったトムはホテルにペンギンを置いて行こうとするが、地元警察に連れて行かないと逮捕すると言われ、仕方なく空港まで連れていくが、入国審査でも同様に連れて行かないと逮捕すると言われてしまう。

不本意ながら始めるペンギンとの同居生活。

やがて掃除婦のマリアと彼女の孫のソフィアにペンギンの存在を気づかれてしまう。
ソフィアはペンギンを気に入り、彼をファン・サルバドールと名付ける。

いつまで経ってもまともに授業を聞いてくれない生徒たち。
トムは思い切って授業にサルバドールを連れていく。
すると、生徒たちはサルバドールに夢中になる。

そんなある日、市場で買い物をしていたトムはソフィアと遭遇する。
彼女と話し、別れた後に、ソフィアは何者かに襲われ、車に連れ込まれ、どこかに連れていかれる。
トムはその様子を見ているばかりで、何もできない…。

かわいいペンギンとペンギンと戯れる子どもたちを見たいと思って見に行ったのですが、この映画で描きたかったことはそんなことではなかったです。
アルゼンチンでは1976年から1983年に「汚い戦争」と呼ばれた軍事政権による白日テロが行われ、沢山の人々が逮捕、監禁、拷問され、未だ三万人が行方不明だといわれています。

娘が亡くなってから、何事にも我関せずであったトムがサルバドールと出会ってから少しずつ変わっていきます。
彼の心が変化していくにつれ、授業も変わっていき、生徒たちの心に届くようになります。
うまく行き過ぎという感じがしますけど、まあ、いいでしょう。
子どもたちはペンギンが好きですものね。
ヨーロッパの国語の授業では詩を勉強することが多いのでしょうか。
トムはイギリス人なのでシェイクスピアやシェリーなどの詩が使われていました。
うまく行き過ぎ感は実はもう一つありましたが悲しい出来事もあるので、おあいこということでww。

最後に本物のサルバドール君がプールを泳ぐ姿が見られますので、楽しみにしてくださいね。


なお実際にトムがアルゼンチンの学校にいた時は23歳で、本を書いたのが63歳の時だそうです。

森明日香 『天上の宴 おくり絵師』2026/02/08



東京にも雪が降り、我が家の庭に雪が積もっています。
クリスマスローズが一輪咲いていたのですが、今朝見ると雪に埋もれていました。


昨日撮った時はまだ雪が降っていなかったので、こんな感じだったのです。
たまに降るのはいいのですが、今回は土日で選挙の日。
よかったのか、悪かったのか。
私は10年以上も前の大雪の日に滑って頭をうち、救急車で病院に運ばれたことがあります。
みなさま、くれぐれも気をつけてくださいね。

さて、本の方は、『恋女房』に続く、おくり絵師シリーズの五作目です。


「第一話 子福長者」
大地震後の復興が進み、おふゆが師事している歌川国藤や弟子の岩五郎への依頼が増え、おふゆは絵草子の挿絵を一手に引き受けるようになっていた。
しかし、病で寝込んでからおふゆに迷いが生じていた。
自分の描く絵は浅かったのではないか…。

そんな時に昔世話になった旅芸人一座の座長お京が現れ、おふゆに亡くなった亭主の死絵を描いて欲しいと頼む。
書き上げたおふゆにお京が語ったことは…。

「第二話 朝靄の出立」
文政五年(1822年)、ころりが江戸で蔓延し、多くの人たちが亡くなる。
おふゆは亡くなった糸物問屋の金右衛門の死絵を描き、息子の喜右衛門に渡す。

そんな頃、菓子屋「卯の屋」の元若旦那だった寅蔵がおふゆのところにやって来て、ころりで母親のおりんが亡くなり、両親の骨を持って仙台に行くという。
おふゆはおりんの死絵を描こうとするが…。

「第三話 天上の宴」
新しい年が明け、おふゆは版元の佐野屋から芝居に招かれる。お京から紹介された八代目市川團十郎の父親・海老蔵がでるという。
芝居は賛否両論の出来だった。
しかし、その後、海老蔵が舞台で倒れてしまう。
おふゆは佐野屋から海老蔵が亡くなった知らせが届いたら、すぐに死絵を描くことを依頼される。
おふゆは思う。自分に名役者の死絵が描けるだろうか…。

様々な人々との出会いと別れを経験し、おふゆは「亡くなった人を悼み、遺された人を労わる絵を描きたい」と心を新たにして、死絵を描きつづけることにします。
もう迷わず、自分の道を行こうと決めたおふゆに、新しい仕事と縁がやって来ます。

いいライバルになりそうだった歌川豊国の娘のおとりが魚屋の跡取りと一緒になるようで、そこが残念でした。
おふゆの方は思い人が仙台に行ってしまったものね。
恋も仕事も、共には難しいのがこの時代です。

本の中のいい言葉:
岩五郎:「望んで描くことと、望まれて描くことは違う」
佐野屋:「心に映るものだけを信じるのです」

宮部みゆき 『新しい花が咲く ぼんぼん彩句』2026/02/10



宮部さんの俳句集だと思って読まずにいたのですが、全く違いました。
あとがきによると、宮部さんが十四年ほど前(単行本2023年刊行)に仕事を通して親しくなった同年代の人たちとつくった「BBK(ボケ防止カラオケ)」のメンバー十五人が、2012年に宮部さんが「怖い」俳句に興味を持ったことから句会も開くようになりました。
もちろん「BBK」は「ボケ防止句会」という意味もつくようになりましたww。
しばらく楽しく句作を続けていたのですが、宮部さんが俳句を小説の題材にできないかと考え始め、BBKで生まれた句をタイトルにして短編小説を書こうと思いついてできたのがこの本です。
気をつけてください。普通のお話ではないですよ。
「怖い」句をもとにした短編小説ですよ。

どんな感じか、ちょっと紹介してみましょう。
「枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる」
寿退職したアツコだったが、婚約者に一方的に破談され、うつうつとした日々を送っていた。ある日、アツコは急に思い立ち、ハローワーク近くのバス停からバスに乗る。アツコが終点で出会ったのは…。

「鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす」
夫、智之と彼の家族が知花に隠していたことがある。そのことを知っても知花は軽く考えていた。しかし、あることを知り、限界を悟った知花は最後に一つ、智之たちに意趣返しをしようと思う。

細部はぼかしていますが、こんな感じで十二句に「怖い」お話がついています。
どのお話も、流石、宮部さん、と思える出来です。
作家の想像力は底知らずですね。

宮部さんは続編も考えているようなので、楽しみです。
どうぞ宮部さん独自の怖い世界をお楽しみください。

馳月基矢 『姉上、ご成敗ねがいます①』2026/02/11

「拙者、妹がおりまして」シリーズや「蛇杖院」シリーズを書いている馳月さんの新シリーズ。


小普請入りの旗本、吉竹家の娘、小夜は半月前に知行高五百石で勘定吟味役の酒井家の当主、菊之進に嫁いだ。
吉竹家も酒井家も、どちらにも裏の顔があった。

小夜の父、篤兵衛はご公儀の隠密にして始末屋。
弟の由利之丞がいるというのに、小夜の方に才があるからと、篤兵衛は小夜に直伝の始末術を仕込んだ。
小夜は依頼が受けたら仕事場に赴き、標的を確実に始末するのだ。
ところが半月前、小夜は酒井家に嫁ぎ、由利之丞は母方の遠縁の先手弓頭の滝沢雅監のもとへ養子にいくという手続きを調え、唐突に父がいなくなった。

酒井家には菊之進の他に、彼の弟の蘭十郎と嫡男の梅千代がいる。
しかし、この三人には血の繋がりはない。
酒井家は奉公人共々隠密の任を担う一家で、この疑似家族の中に小夜は妻として潜入せよというのだ。

裁縫や料理が苦手な小夜は酒井家の奥方として戸惑うことばかりなのに、さらに八歳になる梅千代は小夜に懐こうとはしない。
だが、彼以外の奉公人や菊之進、蘭十郎は小夜を快く受け入れてくれた。

小夜は隠密としての仕事をしながら、少しずつこの疑似家族たちと心を通わせ、彼らの秘密を知ることになる。

表紙の印象から始末屋のお話とは思いませんでした。
普段はおっとりしている小夜が、仕事では手際よくキッチリ始末をつけるというギャップが面白いです。
詳しくは書きませんが、他の三人の家族もそれぞれキャラ立ちしています。

二巻が三月に出るようで、異国渡りの鳥に関わる事件がどうこれから展開していくのか、楽しみです。

夏川草介 『エピクロスの処方箋』2026/02/12

スピノザの診察室』の続編で、本屋大賞2026のノミネート作品。


雄町哲郎は母を喪った甥を引き取ることになり、京都の洛都大学の医局を辞め、消化器疾患を専門とする地域の小規模病院、原田病院で働いている。

哲郎が原田病院で担当するのは、主に高齢で終末期医療の患者だ。
三ヶ月前から訪問診察をしている、脳神経が萎縮していく難病患者、八十八歳の胃瘻増設術を受け、肺炎で入院している女性、膵臓癌の女性など。

一方、洛都大学の消化器内科准教授、花垣辰雄から押し付けられる患者は、哲郎の高度な内視鏡技術が必要な患者だ。
七十四歳の胆管癌による閉寒性胆管炎で、右6番のステント交換が必要な患者と八十二歳の膵臓の頭部に大きな石がはまり込んでいるために慢性膵炎を繰り返し、三回もERCPを受けている患者。
八十二歳の男性患者は、浅からぬ因縁がある人の父親だったため、哲郎は余計な悩みを持つが。

今回は哲郎と元精神科医の秋鹿との会話がいいですね。
「確かに世の中には、治せない病気が山のようにある。けれども癒せない哀しみはない」
「もし世の中に名医というものが存在するのなら、その真っ暗な道の歩き方を知っている医師のことだと僕は思うんですよ」
「勝ち負けなんて、短い人生に何の意味がありますか」
なんかひょうひょうと生きているような秋鹿医師ですね。

哲郎は甥の龍之介君にエピクロスの話をします。
「エピクロスは平穏で物静かな精神状態を快楽と定義し、これを乱すものは、不愉快なものだけでなく、愉快なものでも遠ざけるべきだと言っている」そうです。
哲郎なりにスピノザの哲学にアレンジを加えたのが、「幸も不幸も、突然空からふってくるようなものじゃない。雑多な物事とともに我々の足下に埋もれていて、私たちがそこから何を見つけるかということなんじゃないかな」だそうです。
幸せは自分で見つけるものなんですね。
龍之介君、わかるかな?

他にもいろいろと現代の医療に関することが書いてありますが、全て書けないので、読んでください。
一番言いたいのは、「技術さえ身につければ、優れた医師になれるわけじゃない。大切なのは哲学だよ」かな。
医師に哲学を求めることは、とても大事なことだと思います。
でもねぇ…。

<今日のわんこ&ママ>


ママが夜中に咳をして、何回も起こされている兄犬。
昼間よりも夜中の方が咳が出るのよね。
やっとママは病院に行きましたが、喘息疑いが再度出てきました。
でも、コロナ前に調べたら、喘息ではないと言われたのよね。
気管支が弱いだけだと思うけど。
医師の出した咳止めがシロップタイプで、とっても甘いのよww。
もしかして子ども用?
できるだけ咳をしないように、水分を取り、飴をなめていると、口の中が気持ち悪い~!。
わんこは風邪をひかなくていいわね。

ママは医師に期待していますが、パパはしていないんだってさ。
命にかかわる病気になったらどうするんだろうね。
兄わんこ君、ママは君が一番先だと思うよ。
さて、どうなるかなぁ…。
(嫌なママですね、わん)

「テミスの不確かな法廷」シリーズを読む2026/02/14



直島翔 『テミスの不確かな法廷』
安堂清春は任官七年目の裁判官で、本州のもっとも西に位置するY地裁に勤務している。
彼は周りに変わった人と思われている。
彼は十歳の時に発達障害、つまり人の気持ちを読み取るのが苦手な自閉スペクトラム症(ASD)と衝動性がじっとしていることを許さない注意欠如多動症(ADHD)と診断されていた。
このことを知らない人にとって、彼の言動はこの上もなく不可解なのだ。

そんな安藤が受け持った事件は2つ。
一つはY市の副市長が襲われた詐欺未遂の傷害事件。
取り調べでは一度も否認したことがない被告人が法廷で起訴事実を否認した。
弁護士は面会しても被告人は何も訴えてこなかったという。
安堂は弁護人を解任するが、これは異例なことで、裁判官忌避の申し立てが出るかもしれない。
しかし、安堂は何かが気にかかったのだ。
安堂は動く。

もう一つの事件は、音楽教師をしている妻が数学教師の夫をメトロノームで殴り殺したという事件。
取り調べで、何故か妻は微笑みながら殺害を供述した。
気になる安堂。

直島翔 『テミスの不確かな法廷ー再審の証人』
安堂清春は任官して八年目の特例判事補。
今回、彼が扱う事件は三件。
一つ目は、顧客の貸金庫から七千万円もの現金を盗んだとして窃盗罪に問われた銀行員の裁判。
二つ目は、隣の引退した大学教授の飼い犬、「ハヤート」という名のサルーキに殺鼠剤を混ぜた餌を故意に食べさせ殺したとして、器物破損罪と動物愛護法違反の罪に問われた事件。何故か匿名申請が出されている。
三つ目は、娘の目の怪我の治療がうまくいかず、そのことで口論になり、眼科医を殴り殺し、殺人罪で服役していた男が冤罪を訴えて再審請求を繰り返していたが、意識不明の状態で見つかった。安堂は再審裁判を行うことにする。

自分の頭の中に浮かんだ違和感を、安堂は放ってはおけない。
「わからないことがわからないのは、わからないことがわからないからだ」
つきつめていくと、事件の別の顔が現れてくる。

私は一巻を読んだつもりで二巻を先に読んでしまい、一巻を読んでいないことに気づきました。
一巻よりも二巻の方が安堂のADSとADHDの様子が密に描かれています。
そのためか、二巻の最初の方が少し読みにくかったです。
自分も少しコミュ障的なところがあるんじゃないかと思っていましたが、安堂はそんなもんじゃなかったです。
「定型発達者」のような暮らしを維持していくことは、彼にとってとても大変なことだろうなぁと思いました。
この頃、発達障害の子どもが増えていると言われていますが、関わっている人たちも大変でしょうね。

安堂は家庭に恵まれなかったように思っていましたが、二巻の最後の章を読むと、どうもそうではなさそうに思えました。
父親にも何か深い考えがあったのではないのかと思ったのです。
続編で安堂の両親のことを書いて欲しいです。

最初の傷害事件で出会った弁護士の小野崎乃亜が安堂が安堂のいい理解者となっています。
彼女は土星人を理解できる変種の地球人なんでしょうかww。

なるほどと思ったのが、「いい思い出の倉庫」と「つらい思い出の倉庫」のことです。「いい思い出の倉庫」は開きづらいそうです。
そういえば私もつらい思い出の方をよく思い出します。
これからは頑張って「いい思い出の倉庫」を開けるようにしますわw。

NHK総合で「テミスの不確かな法廷」がドラマ化されて放送されているそうですが、AmazonのPrime Videoで見られることに気づきました。
ドラマでは安堂清春役が松山ケンイチで、小野崎乃亜役が鳴海唯です。
一話だけ見てみましたが、悪くはないなという感じです。
原作と役の性別が変わっていることがありますが、何か意味があるんでしょうか。
細かなことで違いがありますが、ドラマにすると仕方がないことなのでしょうね。
Prime Videoでいつまで見られるかわからないので、早めに続けて見ていこうと思います。


<バレンタインのチョコレート>
今年のチョコは、3つ。


上のチョコレートに紅茶が入っているのが本命チョコで、下のチョコはムーミンたちがかわいいので買ってみました。
咳用の甘いシロップやトローチとかのど飴をなめているせいか、ムーミンチョコを食べてみると…ダメでした。夫に食べてもらいます。
この他にクッキーも頼んでいるので、そちらは大丈夫かな?
だんだんと甘い物が食べられなくなります。
体にはいいかもww。