ケヴィン・ギルフォイル 『我らが影歩みし所』2007/01/09

近未来、不妊治療にクローン技術が実用化され、その第一人者がデイヴィス・ムーア医師でした。
クローンに反対する一派の暗殺者ミッキーがデイヴィスを狙撃しますが、幸運なことにデイヴィスは助かります。

ある日、彼の一人娘のアンナ・キャットがアルバイトをしていたGAPの店内で殺されます。
乱暴されてから殺されたらしく、犯人は見つかりませんでした。
失意の中、娘の所持品が戻ってきます。
なんとその中に、犯人の物と思われる精液を入れた容器が間違って入っていたのです。
デイヴィスは迷いますが、犯人のクローンを作ることを決心します。
この子供はジャスティンと名付けられ、地元に住む夫婦の子として育てられることになります。

どんな顔になるのか。デイヴィスはジャスティンを見守り続けます。
ジャスティンは頭のいい子で、飛び級を次々としていきます。
ところが彼の家の周りでは犬や猫がいなくなり、どうもジャスティンが動物を虐待しているように見受けられます。
ジャスティンの父母は死んだはずのドナーについて知りたいと思い始め、私立探偵を雇い、探らせます。

一方デイヴィスは、ジャスティンの写真を私立探偵に撮らせ、その写真から犯人の顔のモンタージュ写真を作り、その写真をインターネット上にのせ、見かけた人からの情報を求めていました。
たまたま同じ私立探偵事務所を雇ったことから、いろいろな出来事が…。
ジャスティンの運命は思わぬ方向へと変わっていきます。

さて、アンナ・キャットを殺した犯人は一体誰なのか?
自分の生まれを知ったジャスティンは、どういう行動にでるのか?
そして、最後に思わぬどんでん返しが…。

本の中に出てくる、シャドー・ワールド」というゲームがおもしろそうです。
仮想世界ゲームというんでしょうか、現実と同じ街がインターネット上にあり、自分の好きな人間になってもいいし、自分自身になってもよく、その仮想世界でもうひとつの人生を生きられるのです。
何年後かに、本当に発売されたなら、夢中になってしまうかも。

最後までどうなるのかわからない、久しぶりに一気に読めた本です。