「地球交響曲 第六番」を観る2007/05/01

恵比寿のホテルに泊まって、近くの写真博物館に行きました。
「マグナムの撮った東京」展をやっていたので、見ようと思って券を買ったのですが、カウンターの端に「地球交響曲 第六番」の上映時間の紙が貼ってありました。
ちょうど16時の上映時間まで5分あります。
受付の人がこの回にだけに、監督の話がありますよと教えてくれました。
何年前になるのでしょうか、第一番を観に三軒茶屋まで行き、気に入ったので、それから三番まで観たことを思い出しました。
今までにはない映画でした。
水耕栽培でトマトを作っている人やジャック・マイヨール、星野道夫、「森のイスキア」の佐藤初女、エンヤ…。
それぞれの人がすばらしいのです。

監督の龍村仁は何気なく現れました。
60歳を越しているにもかかわらず、若々しく、話の中で小さい子がいると言っていたのですが、孫かと思ったら、なんとお子さん、3歳!!頑張ってますね。
今回は「音」にこだわっています。
彼の中にスピリテュアルなものに引かれるものがあるのが、よくわかりました。
テーマは

「全ての存在は、時空を超えて響き合っている」

不思議な音が出てきます。「虚空の音」そう龍村は名付けています。
釧路湿原の雪原の中にたたずむ一人の男。
彼が扱うのは「弓(スピリットキャッチャー)」です。
風が弦に触れると、不思議な音が生み出されます。
別な時には、那智の滝で吹くコアガラスの笛の音。
三原山の噴火口で聞こえる、ディジュリドゥのうなり。(ディジュリドゥとは、アボリジニたちの楽器で、ユーカリの木の中身が白蟻に食われて、空洞になったもの。)
そして、和歌山県神倉神社のご神体「ことびき岩」の前で叩かれる銅の楽器「磬」。
古代から続く、音の不思議なうなりが聞こえます。

今回出演しているのは、インドの楽聖、ラヴィ・シャンカールとアメリカのピアニスト、ケリー・ヨスト、そして海洋生物学者、ロジャー・ペインです。
大学時代にラヴィ・シャンカールのCDを買ったことがあります。
それからシタールの音から遠ざかっていたのですが、昔の友だちにまた出会えたという感じです。
シタールの響きが気持ちよくて、眠たくなってしまいました。
インドに「Nada Brahma(音は神なり)」という教えがあるそうです。
インド音楽にはグルが必要なのだそうです。
楽譜がないので、耳を通して、グルから直接習うからなのだそうです。
インドの音楽家は、音楽を通し、神と対話しているのかもしれません。

ピアニストのケリー・ヨストは、アメリカの小さな町に住んでいます。
その町に住みながら、アルバムを自費出版したのです。
ベートーヴェンを録音した帰り道で、自分の演奏テープを聴いている時に、「弾いているのは私ではない」という感覚にとらわれたそうです。
音楽の中に霊的な本質が潜んでいて、その力を引き出し、とけ込み、自分を消し去ることが、彼女の言う理想の演奏です。
彼女の弾く曲が何曲がありましたが、そのどれもが今まで聴いたものより、美しく、心にしみ入るのです。
彼女の会社のHPからCD購入を申し込んだのですが、彼女自身からメールが来ました。
彼女の音楽のように誠実な人なのでしょうね。

最後の人は鯨の歌を紹介したロジャー・ペインです。
彼の語る、不思議な出来事は、新しいアパートに引っ越した時、窓のところにあった小さな金具のことです。
この金具を見て、ニューヨーク生まれの彼は、もうニューヨークのような大都会には住みたくないと思ったそうです。
そして、40年後に、この金具が何につかわれていたのかがわかったそうです。
人間の人生にどんなきっかけがあるのかわかりませんが、何かがその人の人生を変えることがあるのですね。
彼は「音楽は人類誕生のはるか以前から この世にあった」と言います。
人間と鯨が六千年間、直接の交流がないのに、よく似た歌を作ってきたからだそうです。

何年かぶりの「地球交響曲」でしたが、心が洗われる思いがしました。
特に出演者の住んでいる家に引かれました。
自然の中に家は建っていて、その自然と共に美しくくらしているのです。
私の中で、ロジャーさんのように、都会は嫌だ、自然の中でくらしたいという思いが溢れてきました。
人間らしい生き方を私は選んでいくのかもしれません。

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_ NPOジェスナ事務局 - 2007/05/04 12時00分51秒

恒例のインド音楽ホームコンサートの日程が決まりました。今度は5月の開催です。 インド音楽への誘い ホームコンサート第25回  演奏 : プレーマダーサ鐔ゥ悄璽乾澄淵轡拭璽襦法◆     \古漫淵織屮蕁▲織鵐廛蕁次法 ‘賸顗�2007年5月13日(日) 16:00〜18:00 場所:プレーマダーサヘーゴダ インド古典音楽学習室     (東武伊勢崎線西新井下車 徒歩5分) 料金:1000円(紅茶つき) お申込はプレーマダーサインド古典音楽学習室まで。みなさんとお会いできるのを楽しみにしています。