M.W.クレイヴン 『ボタニストの殺人』2024/08/27

ワシントン・ポー・シリーズの五作目。


国家犯罪対策庁の重大犯罪分析課の部長刑事、ワシントン・ポーは”ばね足ジャック”の張り込み中に、ノーサンブリア警察からの電話で、病理学者のエステル・ドイルが殺人容疑で逮捕されたと知らされ、すぐに駆けつける。

ドイルは彼女の父親の殺害容疑で逮捕されていた。
ニューカッスル・シティ・センター警察署のテヨン・リー主任警部によると、彼女の両手には射撃残渣という物的証拠があり、家周辺の雪には家に入っていく彼女の足跡しかなかった。
そして1年前、父親が新しい遺言状を作り、彼女が家を一軒相続できるようにしたため、父親の気が変わるのを恐れて、殺害したとのではないかという仮説を立てているという。

ポーが捜査を開始しようとしたところ、ロンドンに呼び戻される。

その年最大の議会スキャンダルを起こした、シェフィールド東部地区選出の保守党の下院議員、ハリソン・カミングズのところに昨日、詩と押し花が送られてきた。
その詩と押し花は、『モーガン・ソームズ・アワー』にゲストとして招かれていたケイン・ハントが番組放送中に自分のもとに送られてきたとして見せたものと酷似していて、同一犯人が作ったものと思われた。
ハントはそれを見せた後に倒れ、亡くなり、毒殺されたと思われた。
ポーたちが捜査を始めようとしたところに、カミングズ議員が死んだという連絡が届く。
二十四時間態勢で警備されていたというのに、一体どうやって毒をもったというのだ。

そこにボタニストと名乗る犯人から電話がくる。
元ジャーナリストのヘニング・シュタールに連絡を取ってもらいたい。
三人目を殺したらすぐに彼と話したいと言うのだ。

ドイルの事件と二件の毒殺事件、そして新たな予告殺人。
果たしてポーはこれらの事件を解決できるのか。

被害者は世間の嫌われ者で、殺されても仕方のない奴ばかりです。
毒で殺されたのはわかっても、どうやって毒を摂取させたのかがわかりません。
一方、ドイルの事件は密室殺人と思われます。
しかし、どちらもトリックがわかってしまうと意外でもなんでもなかったです。

初っぱなに西表島が出てきたので日本が関わることが何かあるのかと思ったら、あまりいいことではなかったです。

ポーとティリーの掛け合い漫才みたいな会話は期待どうりで、楽しませてもらいました。そこに二人のストッパーとしてフリンが入り、三人はいいチームです。
最初のミルクには吹き出しましたけど、笑。
この三人の会話をずっと読んでいたかったです。
そうそう、ここに書きませんけど、ポーの私生活に関するアッと驚くことがありますよ。

次は『The Mercy Chair』という題名で、身体に難解な暗号が彫られた男の殺人事件らしいです。
今回はティリーの活躍が少なかったので、次回に彼女の出番が多いといいですね。
是非ともポーと二人で捜査に乗り出してもらいたいものです。

このシリーズの順番を載せておきます。
⑤『ボタニストの殺人』

お勧めのミステリですので、最初から読んでみて下さい。