読んだ文庫本2024/11/02



三浦しをん 『エレジーは流れない』
穂積怜には母親が二人いる。一人は餅湯温泉商店街で土産物屋を営む寿絵。もう一人は食品の卸問屋から外食業界に進出したやり手社長、光岡伊都子。
何故自分に母親が二人いるのか、疑問に思っているが詳しくは聞いていない。そろそろ進路を決めなければならないというのに、その話もしていない。
友だちとつるんで学校の屋上で弁当を食べる毎日だ。
そんな平穏な日常生活の中に、ささやかながら、事件が起る。

昨年、図書館に予約しようとしたところ、遅れを取ってしまい、予約数を見て止めたという本です。まあ、一年もすれば文庫本になるので、いいのですけどね。
高校二年生の男子のなんということのない日常なのに、しをんさん独特の表現が面白くて、クスッと笑わせられました。商店街の人たちが訳アリ親子を温かく見守っているのが素敵でした。

池永陽 『珈琲屋の人々 遠まわりの純情』
あることで人を殺してしまった行介のところに5歳の女の子が預けられる。といっても、主に面倒をみるのは、幼馴染みの冬子とその母親だったが。
預けたのは、島木が六年前に関わった女性。女の子は島木の子なのか?
そんなことがあっても、いつものように人々は珈琲屋に行介の顔を見に来ては悩みを打ちあけていく。

毎回思うのですが、そんなに人殺しの顔を見たいものですか。それに島木も冬子も仕事があるにもかかわらず、珈琲屋にいすぎですよ。お節介なことに、行介といっしょに悩み解決に乗り出しています。
シリーズをこのまま長引かせるのではなく、行介と冬子のどっちつかずの関係をそろそろ終わりにして、ついでにお話も終わりにした方がいいような気もしますが…。

福澤徹三 『俠飯10 懐ウマ赤羽レトロ篇』
売れないライターの熱川薫平は、元ヤクザの親分がやっているという赤羽にあるゲストハウス「ゑにし庵」に宿泊しに行く。親分にインタビューして、ヤクザがらみの記事を書こうと思ったのだ。
そこに現役のヤクザと覚しき二人組が現れる。
二人が作る料理は絶品だったが、なかなか元親分にインタビューは出来ず、その代わりにとんでもない事件に巻き込まれる。

いい言葉が出てきます。

「レッテル貼りは思考停止だ」
「拝金主義がなくならないかぎり、半グレやトクリュウのような連中は増え続ける。拝金主義は格差社会を助長し、倫理を崩壊させ、若者たちから夢を奪う。ひいては少子化も止められないだろう」
「(前略)無限の人生に詰みはない。生きているかぎり、あきらめないかぎり、次の一手は必ずある」

このシリーズは文句なしに、いつも面白いです。
コンビニなんかで売っている安い食材を美味しそうな料理にしています。
作って見たいと思いながら、一度も作ったことがないですww。
今回出てくる赤羽のせんべろ横丁、安い飲み屋を探している方は行ってみるといいでしょう。飲めない私は行きませんけどね。


<クリスマスのアドベントカレンダー>


ムーミンのアドベントカレンダーが手に入ったので、カルディのチョコ入りアドベントカレンダーと共に送ることにしました。ムーミンのことを知らないかもしれないので、いっしょにムーミンのクリスマス絵本とDVDも送ろうと思います。
でも、見たことのある岸田今日子さんがムーミンの声だったアニメのDVDはないみたい。作者のトーベさんは日本のムーミンは気に入らなくて、二次使用不可だそうです。新しいムーミンアニメはどうなんでしょうね。