「おばあちゃんと僕の約束」を観る2025/06/27

タイの映画で、題名が「หลานม่า(LAHN MAH:おばあちゃんの孫)」。
ポスターがいくつかあったのですが、家族全員が出ているポスターを載せておきます。


エム(ポスターの右下でヘッドフォンをしている男の子)は中華系タイ人。
大学を中退し、ゲーム配信でお金を稼ごうとしているが上手くいっていない。
未だにスーパーに勤めている母のチウ(後ろの列の真ん中)と住み、彼女の金をあてにして暮らしている。
看護師の資格を持っている従姉妹のムイ(エムの後にいる女の子)が祖父の介護をして、祖父から1000万バーツにもなる家を相続したと聞き、手っ取り早く金儲けしたいエムは羨ましかった。

そんなある日、祖母のメンジュ(真ん中のおばあさん)がステージ4の大腸がんを患っていると聞き、エムは祖母の家に押しかける。
うまく祖母に取り入り、彼女の財産を貰おうと目論んだのだ。

メンジュは朝早く起き、駅でお粥を売っているが、エムはだらしない生活を送っているので、早起きなんてできない。
やることなすこと、ことごとくメンジュを呆れさせる。

メンジュには三人の子供がいる。
長男のキアン(チウの左側の男性)は素敵な家を持ち、嫁と可愛い娘(おばあちゃんの左横の女の子)がいるが、彼女たちは滅多にメンジュに会いに来ない。
次男のソーイ(チウの右側の男性)は無職。借金で首が回らず、お金がなくなるとメンジュにお金をせびりに来る。
長女のエムの母、チウはシングルマザーで、スーパーに勤めながらエムを育てている。

エムの気持ちはメンジュの慎ましく生きる姿と大人たちの祖母の心を蔑ろにする姿を見ていくうちに変わっていく・・・。


タイには中華系移民の子孫が人口の10%ぐらいいるそうです。
中華系の人々は仏教を信仰し、祖先崇拝をしています。
映画でも清明節(チンミン)には家族で墓参りをして祖先を供養していましたし、家庭では祖先を祀る祭壇にお茶を捧げていましたね。
映画で気になったのが、親の財産を貰えるのが男だけということです。
メンジュさんは親の介護をしたのにもかかわらず、一銭も財産を貰えませんでした。余命いくばくかになり、恥をしのんで、裕福な兄にお金をくださいとお願いしに行ったのに、拒絶され、二度と会わないとまで言われています。
チウさんも結局何ももらえませんでした。
「息子は遺産を受け継ぎ、娘はがんを受け継ぐ」なんていう残酷な言葉を、よく娘に言えたもんだと思います。
それが中華系、と言えば終わりですが、なんでメンジュさんはチウさんに何も残さなかったのか疑問です。自分も苦労しているのにねぇ。

映画の初めはエムが嫌な奴でした。
しかし、途中から祖母を一番に考えるようになったエムはかわいらしくなりました。もともとエムはそれはど悪い子ではないんです。
仕事で疲れた母の脚をもんでやったりしてましたもの。
余計なお世話ですが、エムがこれからどうやって生きていくのかが心配です。
彼の甘い考えがなくなったとは思えないのですもの。
このままニート生活を続け、チウさんが苦労しそうです。

私はタイに行ったことがありませんし、タイ映画を見たことがありません。
タイと言えばスケベな日本人男性が喜んで行く所というイメージでした(古過ぎですね。ごめんなさい)。
しかし、映画で見ると、今やタイも変わり、日本なんか負けそうな勢いですね。
日本とタイのハーフ男性TJのYouTubeを見ると、行きたい国で日本はダントツ1位ですが、タイ人女性が恋人にしたい外国人では韓国人男性が1位で、日本人男性は最下位です。
日本はアニメや漫画の国で、韓国はドラマや歌手の、ハンサムな男性や可愛い女性の国なんでしょうね。
ちなみにタイ人男性が恋人にしたい外国人女性は日本人女性が1位でした。
TJはタイの美人ばかり取り上げ、男性は観光客相手が仕事の男性ばかりだったので、あてになるのかどうかww。

ア、映画のお話でしたね。
おばあさん役のウサー・セームカムさんは映画出演が初めてという新人さんですが、そうは見えませんでした。いい俳優さんです。
エム役のプッティポン・アッサラッタナクン君はビルキンという愛称のある、タイで人気の俳優であり、歌手でもあるそうです。
エンドロールでビルキン君の歌う「สวยงามเสมอ(Ever-Forever)」がとてもよかったです。

第97回アカデミー賞でタイ史上初の国際長編映画賞ショートリスト入りを果たし、タイだけではなく、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナムなど沢山の国で上映され、タイ史上最高の興行収入を記録した映画だそうです。
「泣ける映画」でもありますので、久しぶりに泣きたいと思う方は見に行ってはいかがでしょうか。
私も不覚にも泣いてしまいましたww。