刑事マルティン・ベック 『笑う警官』 ― 2024/01/21
刑事マルティン・ベック・シリーズの四作目です。
前にも書きましたが、出版はこの本が一番最初ですので、間違えずに『ロセアンナ』から読んでくださいね。
1967年11月13日。
ストックホルムではヴェトナム戦争に反対するデモが頻発しており、この日もデモが行われていた。
夜の11時3分、ストックホルム市中を走るバスの中で八人が射殺され、一人が瀕死の重傷を負う事件が発生する。
マルティン・ベック主任捜査官は現場に直行する。
被害者の中に、拳銃を握りしめたスウェーデン警察本庁刑事殺人課の犯罪捜査補佐官オーケ・ステンストルムがいた。
彼はなぜこのバスに乗っていたのか。
彼の机の中に入っていたのは、厳重に閉じられた婚約者の写真。
これは何を意味するのか?
休暇を取っていたはずなのに、婚約者は彼がこの三週間働きづめだったという。
彼は一体どの事件の調査をしていたのか?
重症者は最後に意識を取り戻し、意味不明の言葉を残して亡くなる。
被害者一人一人に関する地道な聞き込みをするが、一人だけ身元のわからない人物が…。
難解な事件を地道な捜査で探っていくという、王道の警察小説です。
あとがきによると、「1960年代から70年代にかけての10年間はスウェーデン社会が大きく変貌した時期」だそうです。
最初に出てくるデモも実際に行われたのだとか。
そうそう、私も、たぶん多くの人も勘違いしているのが、「フリーセックス」という言葉。
「フリー」は「教会からの自由」という意味の「フリー」なんですって。
ようするに、「教会で結婚式を挙げた男女だけに許されるという縛りからの解放という意味」なんだそうです。
宗教がそれほど浸透していない日本人にはわかりずらいですね。
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