茨城のり子 『自分の感受性くらい自分で守ればかものよ』2006/02/22

茨城のり子さんが亡くなった。
彼女の書く詩に、どれほど勇気づけられ、新鮮な驚きを与えられただろう。
教科書にも載っている、
『自分の感受性くらい』は頬をひっぱたかれるような衝撃だった。
今も時々この詩を読み、ともすれば、流されていく自分自身に叱咤激励している。


ぱさぱさに乾いていく心を
ひとのせいにするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
何もかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
くらしのせいにはするな
そもそもが
ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ