ピーター・トレメイン 『幼き子らよ、我がもとへ』2007/10/11

七世紀、アイルランド。
モアン王国の王位継承者の妹であり、修道女、そしてドーリー(法廷弁護士)の資格を持つフィデルマのシリーズです。
このシリーズは十七作も出版されている人気シリーズらしいのですが、日本では五作目の『蜘蛛の巣』が第一作目として訳され、『幼き子らよ、我がもとへ』はもともと三作目ですが、日本では二作目として出版されました。
アイルランドになじみのないわたしなんかは、なんとなく酒飲みがたくさんいるんでは(アイリッシュ・パブが有名だものね)と思っていましたが。

この本を読むと、この頃は女性が重んじられていたことがわかります。
修道女ネクトがミダッハ修道士に叱責されているのを見て、フィデルマはこう言います。

「いかなる者も、特にいかなる女性も、人から暴言を浴びせられて、それをがまんすべきではありません。法律書『ブレハ・ネメド』は、女性を執拗に悩ませること、とりわけ言葉による攻撃を加えることを、違法行為としています」

今回、フィデルマは兄であるコルグーに、モアン王国内の修道院で殺されたラーハン王国の尊者ダカーンの事件の真相を探るようにと頼まれます。
このままではモアン王国とラーハン王国の戦争になりかねないからです。
戦士カースと共にフィデルマはダカーンの殺された修道院のあるロス・アラハーへと旅立ちます。
その途中、村が破壊されているのを目撃し、殺されずにいた修道女と子ども達を助けます。
一見難しく思えた事件も、フィデルマが本能のままに動き始めると、いろいろな面が見えてきます。
最後の<大集会>の場面は圧巻です。

アイルランドが身近に思えてくるシリーズです。

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