石田衣良 『5年3組 リョウタ組』2008/11/03

石田衣良が学校を舞台に物語を書きました。
考えてみると彼も40代後半かな。
お子さんもいることでしょうから、学校を書いても不思議はないですよね。
小学生の子がいない私は現在の小学校のことは想像してみるしかありません。
マスコミで報道されていることを鵜呑みにはしていませんが、とにかく今の小学校は大変そうです。

主人公は中道良太。
先生になって4年目の25歳。
彼は感覚で動く、自然体教師。
その彼に何故かつきまとうのが、染谷龍一という同じ年の頭脳派エリート教師。
この二人がナイスパートナーシップで小学校で起こる事件を解決していきます。

第一話は、教師生活4年目の良太に降りかかる問題についてです。
自分の担任している5年3組に頭はいいのだけれど問題児として申し送りされた児童がいました。
彼は授業をつまんなさそうに聞き、聞いていないのかと思ってあてると完璧に答えるという、教師にとっては頭にくる子です。
ある日、彼は授業を抜け出します。
自分が授業をしているときに、生徒が授業を抜け出して事故があってはいけないと、良太は他の生徒をほったらかしにし、その生徒を捜します。
やっと見つけて帰ってくると、クラスは大騒ぎ。
その後も彼は授業を抜け出すことを止めません。
さて、良太がとったのは、どうも家庭に問題がありそうなので親を呼んで話し合うことと、その生徒と一対一の授業をすることでした。
実際の小学校で一対一の授業なんて出来るのでしょうか?

第二話は、若い先生が登校拒否になるというものです。
第一話で仲よくなった良太と龍一が同じような年齢だからというので、その教師と話をしてくるようにと頼まれます。
二人で探っていくと、その教師の学年主任が若い教師を潰すことを楽しみにしているらしいのです。
社会に出ると嫌な奴はいっぱいいますが、一人の人を追いつめ、仕事を辞めざるおえないようにするような人が本当にいるのでしょうか。
会社にならいそう(いる?)ですが、先生ですよ。
人を育てる仕事をしているのですよ。
先生だから…と思ってはいけない世の中なのかもしれませんね。
先生も人間だ。
だからいろんな人がいる、そう思うしかないのでしょうね。
だから先生に期待しないというのではなく、親も先生も一緒に子供の成長を見守るという気持ちが必要でしょうね。

最後の話は、テストの点数競争のことです。
良太の小学校では、クラスごとにテストの点を競っており、平均点の高いクラスがいいクラスという変な風潮があります。
良太のクラスはいつもビリ。
いつもトップの龍一は、自分のライバルは良太だと言っているのですが、良太はピンときません。
しだいに良太のクラスの生徒は自主的に勉強をはじめ、出来ない子を出来る子が教えるようになりますが…。
最後に良太の取ったことは賛否両論あるでしょう。

なんか小学校は相変わらずつまんなさそうですね。
学校というところは、いつの時代も変わりようがないのかもしれませんね。