レニングラード国立バレエ 「スペシャル・ガラ」2010/01/11

1月10日(日)  17時開演  オーチャードホール

第一部:
「騎兵隊の休息」全一幕
 マリア:アナスタシア・ロマチェンコワ
 ピエール:アントン・プローム
 テレーズ:オリガ・セミョーノワ

オーストリアの片田舎のお話。
農民のピエールを巡る三角関係がおもしろいです。
マリアとテレーズがピエールを取り合いますが、ピエールはマリアのことが好き。

ある日、村に騎兵隊がやってきます。
兵士達は農民の家で休んで酒を飲もうとしますが、ピエールは断り、そのために逮捕されてしまいます。
マリアは頭を働かせ、ピエールを無事助け出します。

一方、テレーズは美人なので、2人の兵士や隊長に言い寄られます。
最初は相手にせず、彼らの真似をしてからかっていますが、ピエールとマリアが婚約してしまったのを聞き、仲を裂こうとします。
しかし、隊長からたしなめられ、彼の好意を受け入れます。
やがて召集のラッパが聞こえ、騎兵隊たちは村を去っていきます。
 
マリア役のロマチェンコワが美人でかわいいです。
プロームは二人の女性の間で困っている男性の感じが出ていました。
話の筋が単調でたわいないので、途中でウトウトしそうになってしまいました。
  
第二部:
「海賊」第二幕よりパ・ド・トロワ
 イリーナ・ペレン
 アルチョム・プハチョワ
 アイドス・ザカン
 
アイドス・ザカンって誰?という感じでした。
ちょっと肌が浅黒くて、何系でしょうか。
プハチョワがコンラッド役でザカンがアリ役でしたが、見た目にこれが合っていました。
ザカンは期待していたのですが、ジャンプなどを見る限り体が重そうでした。

「トンボ」  音楽:F.クライスラー
 アンナ・クリギナ
 
有名なクライスラーの音楽にのって、水色のトンボの衣装を着た女性が踊ります。衣装がきれいでダンサーもかわいいのですが、それだけ・・・。
特に印象に残っていません。

「チッポリーノ」よりパ・ド・トロワ
 サビーナ・ヤパーロワ
 アレクセイ・クズネツォフ
 ニコライ・コリパエフ

子供用のバレエなので、衣装も踊りもかわいいものでした。
これから敵に立ち向かいにいくぞという場面だそうです。

「スパルタクス」よりサビーナとクラッススのパ・ド・ドゥ
 アナスタシア・ロマチェンコワ
 アンドレイ・カシャネンコ

昨年ペレンとシェミウノフのパ・ド・ドゥを見ていたので、今回も楽しみにしていました。
スパルタクスの敵役のローマ軍司令官クラッススとその愛妾の踊りなんですね。
前回の時もそうでしたが、ペアのアイススケーターがやるような大技が続く、アクロバティックな踊りです。
特に男性が大変そう。
次から次へと続く技を滞りなく行うためには相当な練習とパートナーシップがないと駄目なんでしょうね。
ロマチェンコワのスタイルの良さに目を見張りましたが、踊りこんでいない感じがありました。
踊りは昨年のペレンコンビの方が見ごたえがありました。

「春の水」  音楽:S.ラフマニノフ
 イリーナ・ペレン
 マラト・シェミウノフ

「春の水」というと、日本人は小川のせせらぎを思い浮かべてしまいがちですが、これは雪国の春、雪が解けていく時の大量の水の流れです。
厳しい冬が終わり、春が来ることの喜びに溢れた作品です。
「スパルタクス」の主役コンビが踊りましたが、さすが息が合っています。
私は変なところに目がいきますが、リフトされながらペレンが片足を天に振り上げえた時の美しさにドキッとしました。

「アルビノーニのアダージョ」   振付:B.エイフマン
 ファルフ・ルジマトフ

暗いステージの奥に、7人の男性ダンサーに囲まれたルジマトフがいました。
イエス・キリストを思い出してしまいました。
一人の男の孤独感が身にしみる作品です。
 
第三部:
「パキータ」より
 オクサーナ・シェスタコワ
 エカテリーナ・ボルチェンコ
 イリーナ・ペレン
 ファルフ・ルジマトフ
 アイドス・ザカン


レニングラードの女王は私よ、という感じはまったくありませんが、やっぱりこのバレエ団を背負って立つのはシェスタコワなんですね。
でも古典ばかり踊っている印象があります。
「スパルタクス」などのようなダイナミックなものは踊らないようですね。
『バヤデルカ』の時に太ったかなと思ったのですが、あの体型で踊ると怪我するかな・・・。

ここで、ルジマトフ・ファンを怒らせる発言をしますので、どうぞ怒らないでね。
「パキータ」に最初にどの男性ダンサーが出る予定だったのかは知りませんが、ルジマトフが出ました。
カーテンコールを見ながら、ふと思ったのですが、レニングラード国立バレエの男性ソリストはどうなんでしょうね。
最後は女性ばかり舞台上にいて、男はルジマトフとザカンだけ。ルジマトフの趣味?
「パキータ」でシェスタコワと一緒に踊っている時も、この人は女性をサポートするんじゃなくて、自分ひとりで踊った方がいいんじゃないかと思いました。
もう古典バレエの王子様にはなれません。
ルジマトフはそれを超越してるんです。
もっと踊りたいからレニングラード国立バレエの芸術監督の職を辞したそうですが、それがよ~くわかりました。
踊りたいことはわかりますが、レニングラード国立バレエ団のガラですから、できれば現役の男性ソリストを躍らせてもよかったんじゃないと思いますし、それを見たかったです。
あ、そうそう、どうせなら「ルジマトフ・ガラ」にしちゃえばよかったんだ。

今月はあと新国立バレエの『白鳥の湖』を見に行きます。ザハロワ&ウヴァーロフです。