『レンブラント 光の探究/闇の誘惑』@国立西洋美術館2011/04/23

レンブラントというと、私の中では自画像という印象が強いです。
いくつか見た自画像は肩から上しか描いていなかったので、彼のことを細見の長身の人だと思っていました。

           「石の手摺にもたれる自画像」 1639年

今回は全身を描いた自画像が展示されていました。

                                      「アトリエの画家」 1628年頃

なんかバランスが変じゃないですか?キャンバスが大きく、テーブルの前に立っている画家は小さ過ぎるような。遠近法のためだけではないようです。

          「東洋風の衣装をまとう自画像』 1631-33年

この絵を見てわかりました。レンブラントってチビなんです。身長はテーブルとの関係で考えてみると、ひょっとすると160㎝もないかもしれません。衣装に詰め物を入れているのかもしれませんが、それでもずんぐりむっくりな体型に見えます。それじゃなければ、犬がとっても大きくなければなりませんものね。
この犬(たぶんプードル)は実物の絵を見るとつぶらな瞳をしたかわいい犬です。巻き毛の描き方が本物のようで、どうやったら毛のフワフワ感が出るのか、素人にはわかりません。細い筆で一本一本描いているのかしら?プードルは愛玩用になる前は鴨猟につかわれていたようです。上半身は巻き毛なのに、下半身は剃っているようです。水に濡れていもいいように剃っているのかもしれませんね。

レンブラントはあまり女性の裸体を描いていないような感じがしていたのですが、女性の裸体が描かれているのを見ると、モデルは豊満というより、老人のような太って垂れた身体です。(まるで私・・・)レンブラントの頃って、そんな女性が好まれたのでしょうか?それともモデルがいないので、仕方なく・・・?

オランダのレンブラントの家には訪れたことがあります。でも、全く覚えていません。暗い室内だったと思ったのですが、どうも違うようで。一体私はどこに行ったのでしょうか?

彼の描いた絵も緻密ですが、版画もすごいです。
エッチングやドライポイントを使い、ものすごい量の作品(300点ぐらい)を残しています。
絵を描くよりは版画の方が量産できるので、お金のためにたくさん作ったのでしょうか?
とても細かくて、私にはできません。目が悪い上に、飽きっぽくて、根気が続きませんから。
面白いと思ったのが、紙です。レンブラントはホワイトペーパー、オートミールペーパー、中国紙や和紙などと色々な紙を使っています。

              「3本の十字架」  1653年

同じ版画でも紙によってずいぶん違います。
ステートとは修正を加えた何版という意味で、第3ステートとは修正第三版みたいなもんです。レンブラントはそれぞれのステートを売っていたようで、商売がうまいです。
「3本の十字架」は左が西洋紙で右が和紙です。
和紙の方が暗い色調で、細かな彫りがわかりません。滲みやすいからでしょうか。
どちらがいいかは好き好きでしょうね。

読んでいませんが、面白そうな本を見つけました。『レンブラントと和紙』という本です。
この本を読んでから展覧会に行ったら、もっと楽しめたかもしれません。

ステートにより少しずつ構図が変わっています。間違い探しみたいに楽しめます。
「エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)」を見ながら「ここが違うわね」なんてやっていたら、知らないおじさんから「頑張って探してください」と言われてしまいました。

この展覧会で、人がいつまでも見ていた版画を載せましょう。


               「3本の木」  1643年

右側に男女と羊、左に農民でしたっけ(忘れました)、そして木のある丘に画家がいると説明文に書いてありました。みんな画家がどこにいるのか探していて、人垣ができていたのです。
画家はどこにいるでしょうか?会場で探してみてください。

「3」というのは特別な数字なのでしょうか。「3本の十字架」とか「3本の木」とか。三角形もそうですが、一番落ち着く数字かもしれませんね。

レンブラントは静物画を一点も描いていないそうです。今読んでいる『西洋絵画のひみつ』によると、絵画には格付けがあり、1位 物語画(聖書の物語や英雄伝、ギリシャ・ローマ神話など) 2位 肖像画、3位 風俗画、4位 風景画・静物画だそうです。
私的には、1位 風景画・静物画、2位 物語画、3位 肖像画、4位 風俗画ですがね。
レンブラントは何故静物画を描かなかったのでしょうか?単純にお金にならなかったからでしょうか?

そこで、珍しい、貝殻を描いたものを紹介します。

                「貝殻」  1650年

ホント、写真みたい!エッチングなのですが、こんなに質感のあるものを描けるなんて。
会場ではこの貝殻の携帯ストラップが売っていました。

版画もいいのですが、私はやっぱり絵画の方が好きです。
友達が白色をポツンと入れると、光が生まれることをすごいと言っていました。画家はどこに白を置くと効果的に光を描けるのかを本能的に知っているのでしょうね。

会場で売っていた会場限定チーズケーキは西葛西にある「パティスリール ラピュタ」のだそうです。友人の家の近くにあるそうで、チーズケーキにワインがついてくる、西葛西にしては洒落たお店だそうです。
上野駅中にお店ができたというので、今度買ってみますわ。
残念ながらこの後行くところがあるので、レンブラント展限定のチーズケーキは買えませんでした。

上野公園の新緑が美しい季節です。桜もいいのですが、若葉の薄い緑色もきれいです。
お腹が空いたので、上野公園にある韻松亭に入りました。ここは平日でも混んでいるようで、待ちたくないなら予約をしていくといいようです。


お店の写真を撮ろうとしたら、トラックが止まってしまい、ちょっと焦りましたが、無事に撮れました。
案内されたのが座敷で、腰と膝の悪い私にはきつかったです。他にちょっとモダンな部屋もあるとか。帰る時、チラッと見えたのですが、椅子の席もあったような。
奮発して花かご御膳3500円を頼みました。


もっと上品なものを期待していたのですが、庶民的な味で、味付けが濃いような気がしました。私は出汁のきいた薄味好みなのかもしれません。

近くにある精養軒の駐車場の八重桜が満開でした。写真を撮っていたら、スリランカ人らしきカップルが二人の写真を撮ってくれと言ってきたので、撮ってあげました。


外国人が日本に来なくなったと言っているわりに、この後もたくさんの外国の方に遭遇しました。こんな時に日本に来てくれてありがとうと言いたくなりました。

側に藤の花もあります。満開になるにはまだまだのようです。


牡丹園がやっていました。見たかったのですが、次の約束があったので見ずに上野を後にしました。