高橋 克彦 『即身仏の殺人』2011/04/25




この本は『パンドラ・ケース』の続編みたいなものです。
浮世絵研究家の塔馬の友人のうち死ななかった推理作家長山作治と雑誌編集者の名掛亜里沙、女優の築宮啓子が出てきます。

出羽三山、湯殿山麓の映画ロケ現場からミイラが見つかります。
この地方には即身仏信仰があります。即身仏には由来があるのですが、このミイラは誰なのか記録がありません。
ミイラの所有権を巡り、山の持ち主で映画プロデューサーの番内信雄と村民の間で争いが起こります。

映画に出演していた啓子こと芸名月宮蛍は亜里沙たちに相談したいことがあると電話をしてきます。
長山と亜里沙は月宮蛍の依頼を受け、山形へ行くことにします。
彼らが湯殿山に着くと、ミイラは盗まれており、そこには『パンドラ・ケース』でお世話になった刑事、山影哲夫がいました。
そして、殺人事件が起こります。

長山は色々と推理を巡らしますが・・・。
結局長山の推理も行き詰まり、本を三分の二ぐらい読んだところで、真打登場となります。
そう、塔馬双太郎がやってくるのです。
やっぱり塔馬は高橋さんに愛されていますねぇ。
かわいそうなのが長山。一生懸命推理しているのに、塔馬にはかないません。

そもそも即身仏とは何で、何のために人がミイラになったのか。
これまた民俗学の領域ですね。
ちなみに日本では現在17体の即身仏があり、15体の即身仏が拝観できるそうで、17体のうち8体が山形県にあります。

もう一度大学生になれるなら、民俗学でも学んでみたいものです。