天童荒太 『静人日記』2012/12/05

天童さんの新しい単行本がでていましたが、その前に文庫分になっている『静人日記』の方を読みました。
この本は『悼む人』の続きです。
そういえば向井理主演で映画になるのかと思ったら、舞台のようです。
どういう感じになるのでしょうね。
私の静人の世界が壊れたら困るので、舞台は見ませんわ。


あれからも静人は亡くなった人を亡くなった場所で「悼む」ために、全国を放浪しています。
そんな中で、耳の聞こえない女性が静人に興味を持ち、静人と一緒に亡くなった人を亡くなった場所で悼むのに同行します。
その後、彼女は静人と共に歩きたいとまで言ってきますが・・・。

まだまだ静人の旅は終わりません。

本の最後に天童さんが東北の被災地を訪れた時のことが書いてあります。
その中で、彼はこう書いています。

「いま願うことは、立ち止まり振り返る勇気がほしいということ。
一万五千、七千という数の波底にもぐり、一つ一つのいのちの相貌を拾い上げら   
れる本物の想像力がほしい
声もなく、うずくまったままの人がきっといる。
道を戻り、その人が歩きだせるまで、妙な励ましなど口にせず、静かに待てる強さがほしい。
同じ歩幅で歩ける真の体力がほしい」

ニュースで被災地の状況を取り上げていますが、インタビューに答えている人の姿を見て、私たちは被災地の人たちはみんな徐々に立ち直っているのだと思ってしましまっています。
しかし、天童さんは言います。インタビューに答えられる人はほんの一握りなのだと。他の人たちは未だインタビューに答えられるほど立ち直っていないと。

十分悼むことをしないと、人は本当に立ち直ることはできないのではないでしょうか。
立ち直るために必要な時間は人によって異なります。
私たちはその時まで「待つ」ことができるでしょうか。

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