小早川涼 『大奥と料理番』2014/06/17



この頃のお気に入りはこの江渡物シリーズ。
江戸城の御膳所に勤めるメタボ鮎川惣介と幼馴染で大奥添番のイケメン片桐隼人が活躍します。
この二人の掛け合いが楽しいのです。
狸に似た容貌で腹が出ている惣介はお役目のためといいながらたっぷりとご飯を食べます。
料理することが好きですが、食べることも同じように好きなのです。
料理下手の奥方につい言わなくてもいいことを言ってしまい、喧嘩になるのが玉に傷。
一方、隼人は何を食べても同じという惣介にとっては考えられない人です。
固い性格で、少しでもまがったことをやるのは嫌いです。
惣介の腹のでっぱりはいつも隼人のからかいの的です。
隼人の弱みは気の強い美人の奥方と彼女と仲の悪い母上。
どんな人にも悩みはあるんですねぇ。

こんな憎めない惣介のことを将軍家斉が気に入り、月に数回、おきて破りの呼び出しが来ます。
自らの立場に困惑しつつも、人の良い惣介はいそいそと家斉のために料理を作り持っていき、彼の愚痴の聞き役に徹しています。
それだけならいいのですが、たまにお役目まであてがわれることがあり、仕方なく隼人と一緒に解決へ向けて頑張ります。

そうそう、忘れていました。
惣介って犬も顔負けの臭覚を持っているのです。
これが事件の謎を解くきっかけにもなります。

江戸時代の美味しい物もでてきますので、お腹が減っている時は読まない方がよさそうです。