久坂部羊 『R.I.P. 安らかに眠れ』2022/04/13

「R.I.P.」とはラテン語の「requiescat in pace」、英語では「rest in peace」の頭文字を取っています。


村瀬薫子の兄、真也がsnsで出逢った三人の自殺志願者を殺害した容疑で逮捕される。
薫子は優しい兄がそんなことをするはずがないと思うが、兄の口からは微塵も後悔や懺悔の念の言葉は出てこない。
死ぬ以外に苦しみから逃れられない人を死なせてあげただけだと言う。

真也が殺した自殺志願者は、失恋の痛手から自殺を決意した女性と脊髄小脳変性症の男性、そして幼少時から自殺願望を持つ少年。
真也は希死天使と名乗り、彼らを自殺に導いたのだった。

薫子は兄が理解できず、事件に関係する人に会い、裁判を傍聴し、手記を書く。
裁判で弁護側は承諾殺人だと主張したが、検察側は死刑を求刑する…。

真也の言葉が重いです。
「もちろん、死んでほしくないという家族の思いは重視されるべきでしょう。しかし、家族の気持ちが大事という人は、忘れていないか。いざ、自分が死ぬ以外にない苦しみに陥ったとき、優先されるのは自分ではなく、家族だということを」

「自分が耐え難い苦痛に苛まれたとき、その苦痛を体験していない家族が、死ぬな、生きてくれと言ったらどれほどつらいか。日本で優先されるのは、常に家族であり、周囲の反応であり、世間の思惑である」

「僕は単純に自殺を肯定しているわけではありません。自殺の全否定を否定したかったのです。全否定は思考停止、相手のことを思っているつもりでも、実は自分の感情を優先している人は多い。生きるのは当然で死ぬことはいっさい認めない。それを疑いもしない人の思いやりのなさが、僕には耐えられないのです」

「ほんとうの思いやりについて、もう少し真剣に考えてみてください」

自殺幇助とか安楽死、尊厳死とかは難しい問題です。
読んでいて五体満足なのに自分で死ねないから殺してくれというのは、それは自分勝手なんじゃないの。殺した相手は殺人罪になってしまうのはいいのか。自分の命なんだから、自分でどうにかしろよと言いたくなりました。
しかしもし脊髄小脳変性症の男性のように身体の自由がだんだんと奪われる難病の人ならどうか。
ちゃんと法令化し、安楽死を容認してもいいように思います。

久坂部さんは医師という立場で、色々と考えてこの本を書かれたのだと思います。
しかし主人公の女性には共感できず、後半途中からミステリー色が入ってきて、最後がアレ?って感じになってしまい、テーマが重かっただけに、残念でした。

本の中に出てきた小説家の久坂葉子のことは知りませんでした。
神戸名門一族の出身で、十九歳で芥川賞の候補になり、二十一歳で鉄道自殺をした人だそうです。
久坂部さんに影響を与えた作家なのでしょうか。
もしかしてペンネームは彼女の名から考えたのかな?


<今日のわんこ>

よく〇んこを失敗し、床の上にのせています。
夫はちゃんとトイレの上でしているけど、胴体が長いから出てしまうんだとい言います。
でもママは知っています。やる気になればちゃんとトイレの上でできることを。


<今週のパン>

美味しいと評判らしい冷凍パンを頼んでみました。
お試しセットなので、種類が豊富ですが、小さいのが難点です。
夫のランチには2個必要みたいです。2個ということは、2種類の具材が必要ということで、面倒だわ。

冷凍パンで美味しいと思ったのは、今のところLIBERTÉ PÂTISSERIE BOULANGERIEのバゲットとAOSANの食パン、墨絵のパンです。
このパンも美味しいといいのですが。

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