劇場版 「幼獣マメシバ望郷篇」を観る2022/03/01

マメシバ一郎シリーズも最後となりました。
今までは映画よりもドラマの方が面白かったのですが、この映画はどうでしょう。


芝二郎も40歳。ニートに逆戻りせずになんとかやっているようです。
ある日、二郎は幼馴染みのべーちゃんからの手紙を読んで、べーちゃんがマメシバ一郎の弟・三郎と暮らしている鯨露島を訪ねることにします。

船に乗り、バスに乗り、やっとべーちゃんのいる村に着きます。
しかし犬を連れていたことからバスの運転手と言い合いになり、助けてくれた変な老婆に貸しを返せと言われ、こき使われます。
たまたま神社で出逢った巫女から三郎が「幸運を呼ぶ柴犬」として有名だったのに、三ヶ月前にいなくなった。同じ頃三郎を探しに行ったべーちゃんもいなくなった。噂では村長選挙に立候補した仙道喜三郎が三郎を盗んだんではないかと言われていると教えてくれます。
何やら村の行く末を心配しているらしい老婆と一緒に喜三郎の家に行くと、昔の仕事仲間の治郎丸がいました。

老婆と別れ、べーちゃんの家に行ってみますが、噂通りべーちゃんはいません。
仕方なく喜三郎の家に戻り、喜三郎の選挙参謀をしている治郎丸に泊めてくれと頼みます。
一郎を見た喜三郎たちは、一郎のことを三郎と勘違いをして大喜び。
喜三郎はべーちゃんは飼い主失格。三郎の価値もわからず、適当に飼っていて、挙げ句の果てに三郎をほったらかしにして逃げた、と二郎に告げます。
三郎は、彼が通ったところで携帯が圏内になったということで、「幸運を呼ぶ柴犬」として崇め立てられるようになったそうです。

郵便局の同僚にべーちゃんのことを聞くと、三ヶ月前に休職届を出してから見かけず、本土に戻ったんじゃないか。犬が懐かず、育児ノイローゼになったようだ。いつも配達をサボっては海を見ていた。海の向かうに戻りたかったんじゃないかとのことでした。

喜三郎は選挙に勝つために三郎(実は一郎)を欲しがります。
二郎はその犬は三郎ではないと本当のことを言いますが…。

さて、二郎はべーちゃんと会えるのでしょうか。
そして島の生活を変えたい喜三郎対現状維持の現村長との村長選挙はどうなるのでしょうか。

シリーズ化が進むにつれ、一郎がだんだんと小さくなっているような気がします。
仔犬だから?
気になったのが宍戸開が演じていた治郎丸聡。
一緒の会社で働いていたようですが、二郎、始めからニートではなかったのね。
彼にいじめられて、働くのが嫌になり、ニートになったのかな?

ホームシックと三郎がやんちゃで言うことを聞かなくて、自信を失い引き籠もりになったべーちゃんに言う一郎の言葉が優しいです。

「僕はね、一郎に導かれて生きておるんだよ。べーちゃんも三郎に導かれよう」
「上手くやろうとしなさんな。人生、なりでいいんだ」

犬を飼うのってそう簡単ではないのです。
人間の子どもと同じように、犬でも育児は大変です。
べーちゃんのようにならないように、よく考えてから動物を飼いましょうね。
(小説家の辻仁成さんも犬を飼い始め、犬に振り回されています。ここを見てね)

そうそう、いつも最後に歌っているペットショップの店長さん(高橋直純)、今回もド派手な衣装を着て、島で歌ってくれます。
名前が盛岡冷麺!?
祖母が民謡を唄い、両親が三味線を弾くらしく、7歳の時から歌っていたそうで、歌が上手いのもうなずけます。

映画は村長選挙を絡ませていますが、べーちゃんとの友情とマメシバ愛だけでもよかったです。
「幼獣マメシバ」のDVDを手に入れたので、そのうちに観ます。
「幼獣マメシバ望郷篇」は買おうかどうしようか考え中です。


そろそろスイーツを買うのを止めろよと、自分に言っていますが、なかなか止められません。食べたいのだけ食べ、残りは家族に食べさせようと思います。
今回のおやつは、いつもの六花亭のおやつ屋さんです。


定番のマルセイバターサンドとチョコマロンを食べたかったので、頼みました。
六花亭は2~3ヶ月おきに、豆源は毎月頼もうかしら。
なかなか止められない間食です(恥)。

長岡弘樹 『教場X 刑事指導官・風間公親』2022/03/03

「教場」シリーズも五作目。
題名を見ておわかりのように、風間が警察学校に赴任する前の「風間道場」時代を描いた、短編集です。
「風間道場」では、各署にいる新人刑事の中から経験三ヶ月程度の者が一名選ばれ、本部へ派遣され、風間の下で三ヶ月間、OJT方式でみっちりと”刑事道”の教えを受けるのです。


一年半ほど前から県下では通り魔事件が続発していた。同一の人物が連続して犯行を重ねているのではないかと警察は見ていた。

「第一話:硝薬の裁き」
質屋「ポーンショップ海藤」でガンマニアの海藤克剛が死んでいた。テーブルの上には遺書らしきものがあり、使われたのは密造した拳銃だった。

「第二話:盲信の果て」
山間部にある民家で大学教授の梨多がテラスで写真を撮っていて、転落死したらしい。事故死と思われたが、何故か彼の首にはカメラのネックストラップがかかっていなかった。

「第三話:橋上の残影」
歩道橋で刃物で腹部を刺された男の死体が発見された。顔と指先が焼けただれており、身元を特定するのは不可能だった。三ヶ月前にも近くで通行人が腹を刺される事件が起きていた。二つの事件は同一犯人によるものなのか?

「第四話:孤独の胎衣」
工芸家の浦真幹夫が自宅で遺体となって発見された。頭部を灰皿で殴られているようだ。室内の薪ストーブに煙道火災が起こっており、床に散らばった皿の中の一枚には埃がついていなかった。

「第五話:闇中の白霧」
姉夫婦の家に遊びに行っていた県警本部の捜査一課の紙谷朋浩は、姉の家の隣に住む女性が昏倒する場面に遭遇する。すぐに救急車を呼ぶが、女性はその場で死亡する。

「第六話:仏罰の報い」
著名な有機化学者・清家総一郎の自宅で、娘婿の甘木保則の遺体が見つかる。
第一発見者は清家で、通報したのも彼だった。何者かが侵入し、正確に心臓の位置を背中から刺し、逃走した形跡があった。
清家は実験中の事故で失明していた。

毎回選ばれた新人刑事が現場に呼ばれ、風間の指導により追い詰められ、自らの頭で真相を推理し、被疑者と対峙し、自白を引き出していきます。

最後の「仏罰の報い」に、「風間道場」で新人刑事を鍛えていた風間が、何故警察学校に赴任することになったかが書かれています。
次回は風間と関係のある未解決事件を扱うのでしょうか。
マンネリ化していた「教場」シリーズに動きがあるかな?


<今日のわんこ>

「ママは全く痩せませんが、僕はいっぱいご飯をもらっても太りません。いっぱい遊んでいるからです。ママはもっと僕と遊びなさい」by 弟

弟に怒られちゃいました。
実は全く痩せていません。やっぱり食べ過ぎかしら…。

熊谷はるか 『JK、インドで常識ぶっ壊される』2022/03/04



親の仕事の都合で突如としてインドに住むことになった普通の女の子が、中学三年生から三年間(2018年8月から2021年5月まで)、インドで体験し、感じ、考えたことを書いた本です。
こういう本はたいていインドにはまった人が書いていますが、十代の感性は本当に素晴らしく、思っていたよりもはるかに文章が上手く、最後まで読んでいけました。

インドと言えば、今やIT大国。
私がインドに行った30年ぐらい前とはすっかり変っているだろうなと思いながら読んでいくと、全く変っていないところがあり、とても残念でした。
それはスラムやストリートチルドレンの存在です。
はるかさんは母親とストリートチルドレンの保護や支援をしているNGOが開催している町歩きに参加して、ストリートチルドレンについて知ります。
私はストリートチルドレンは、親が病気やらなんやらでいなくなり、道端や路上で生活せざるを得なくなった子どもたちだと思っていました。
しかし実際は、親がアルコホリックで暴力を振るったり、性的虐待をするので、「家から逃れるために路上に出てきてしまった子どもたち」なのだそうです。
逃れてきても、安全ではありません。物乞いをして稼いだお金を他のおとなや子どもに奪われ、喧嘩になったり、暴力を振るわれたりします。
そのため取られる前に使おうとし、街角の売店で売られているドラッグに手を出すことが多く、薬物乱用が大きな問題のひとつになっているようです。

町に出ると、インドでは常に物乞いがつきまといます。
初めはどうしようかと困惑しますが、しばらくすると面倒になり、無視するようになります。
NGOの人によると、そういう時は、すぐに「その場で食べられるもの」をあげて欲しいそうです。

前と変らないことが書いてあり、ちょっぴり安心したこともあります。
「Rights for Children(子どものための権利)」というサービスクラブではるかさんが出逢ったという、インドの子どもたちの明るさや笑顔、目の輝きです。
30年前、どこに行っても、子どもたちが人なつこくって、目がキラキラしていたことがとても印象的でした。
日本の子どもたちの目は死んだ魚のようだなと思ったことを思い出しました。
本当の豊かさとは何かを考えさせられたものです。

十代のみずみずしい感性には感心しました。
こんな国、嫌だと拒否するのではなく、受け入れ、深く関わっていこうとする、こんなJKが日本にいたのだ、日本の未来は明るいなと思いました。
できれば、はるかさんにはこれからもインドに関わっていってもらいたい、いいえ、何か国際的な仕事を目指して欲しいなと勝手に思いました。

いいインドの入門書になると思います。
この本の印税の一部がインドの子どもたちを支援する団体に寄付されるそうなので、是非購入して読んで下さい。
私は図書館で借りてしまいました…(恥)。


<今日のわんこ>

「ママさん、僕もインドに行って、野良犬たちとお友達になりたいです」
「あなたは無理よ。暑さに弱いし、家では傍若無人でも、外に行ったら内弁慶でしょ」
「ママさん、ひどい(泣)」

読んだ本2022/03/05



原田ひ香 『そのマンション、終の住処でいいですか?』
一等地にある、俗に「おっぱいマンション」と呼ばれている、有名建築家による中古のマンションは、実は見た目重視の欠陥住宅だった。老朽化が進み、住民たちは改修工事をするか、立て替えをするかを巡って争うこととなる。
亡くなった建築家の娘や建築家の弟子になりそこなった元高校教師、建築家の事務所の社長、マンションの住民など様々な人たちの思いは…。

黒川記章設計によるメタボリズムの代表作、中銀カプセルタワービルがモデルだそうです。おもしろい外観ですが、住みにくそう。
どんなに調べても素人にはマンションの欠陥はわかりません。住んでみて、買ったのがよかったかどうかわかります。残念ながら運、不運で片付けるしかないですねぇ。

青木祐子 『派遣社員あすみの家計簿3』
二巻を読まずに三巻を読んでしまったようです。
藤本あすみは渋谷にある株式会社サニークレイルのウエブ管理部マーケティング第二セクションで派遣社員として働いています。
社員たちの依頼を受けて、いくつかのSNSのオリジナルアカントにプロモーション記事を投稿するのが主な仕事です。
なかなか働きやすい会社で、三年勤めると正社員になれる可能性があるというので、正社員を目指そうかと思っています。
そんな頃、二人の元彼から連絡が来ます。元々彼の理空也は嘘つき最低男で、元彼の豊加とは喧嘩別れをしていました。
あすみも別れてから色々とあり、少しは強くなりましたが…。

一巻でダメダメ女だったあすみが、少しまともになってきました。
もう少しですね。結婚しようがしまいが、自分の人生は自分でどうにかしていくものです。頑張ろう。

岡崎琢磨 『珈琲店タレーランの事件簿<7>悲しみの底に角砂糖を沈めて』
今回は趣旨が変っていて、バリスタ・美星が珈琲店にやって来たお客の話を勝手に聞いていて、急に話の途中に割り込み、真相を明かしていくというものです。
お客の話を聞いているのって、お店としてはいいのって感じです。それにアオヤマが出てこないし…。
後書きによると四本の短編は、著者が実際に見聞きした出来事を元に書かれているようです。
軽く読めるミステリーです。

望月麻衣 『わが家は祇園の拝み屋さん15 それぞれの未来と変らぬ想い』
この巻で完結です。東京を災厄から守ったところで終わった方が良かったと思いますけど。
小春たちは心霊スポットで何かを探していた黒い狐面の正体を追います。
チームOGMのみんなはそれぞれの進路を決め、歩んでいきます。
私は宗二朗のお菓子が無性に食べたいです。特に和栗のモンブランが、笑。

椹野道流 『最後の晩ごはん 後悔とマカロニグラタン』
芦屋の定食屋「ばんめし屋」に役者休業中の海里の後輩・李英がやって来て、海里の通う朗読レッスンに参加したいと言います。
快諾したのはいいのですが、レッスンでは李英の解釈が素晴らしく、その上、師匠で女優の悠子までもが李英を気にいったようで、ショックを受ける海里。
いじけの虫が出てしまい、李英と仲違いをしてしまいます。
しかし店長・夏神の粋な計らいで、元通りに。
そして悠子がしばらく朗読イベントを開けなくなったので、二人にチャンスが巡ってきます。

仲が元通りになってよかった。次に二人でどんなことをしてくれるのか、楽しみです。

根津潤太郎 『看取り医独庵』
仙台藩の奥医師の息子で、長崎で漢方と西洋医学を修め、浅草諏訪町で開業している独庵こと壬生玄宗は、医術の腕は一流、老中の病を治したことが評判になり、診療所は繁栄していました。
彼のところに妙な往診依頼が来ます。独庵は絵師・久米吉に背景を探らせます。

江戸時代の人情味溢れる看取り医のお話かと思い、期待して読んだら、期待外れでした。
命が大事といいながら、理由があるからと先のない人を殺してもいいんですか。
与力が罪のない人を殺したのに、病死にするって、ダメでしょう。
なんか違うよなぁ…。
次巻は読まないでしょう。

ピーター・トレメイン 『修道女フィデルマの采配』
短編集です。
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ修道女フィデルマが、アイルランドの各地を巡り難事件を解決していきます。
変らず、魅力的なフィデルマです。


<今日のわんこ>


犬にも花粉症があるのでしょうか。
たまに散歩しているとくしゃみをする兄犬です。

賀十つばさ 『バニラな毎日』2022/03/06



梅が満開になりつつあります。


次は桜。今年は早そうです。


いつもは一匹なので、二匹のお散歩になると喜んでしまい、弟はあっちに行き、こっちに行き、踏みそうで怖いです。
ママが後ろから歩いているのが気になるようで、パパが先に行こうとすると、立ち止まって全身で止めようとします。
兄はマイペースで、落ちているものを食べようとするので、見張っていなければなりません。
歩いている姿を見ると、仔犬みたいですが、立派なおっさんです、笑。



白井が五年前に独立して開いた、素材にこだわった洋菓子店「パティスリー・ブランシュ」でしたが、近くにオープンした安さ重視のお店に負けて、店を畳むことになってしまいました。
出て行くときに店舗内を元に戻さなければならないので、居抜きで借りてくれる人が現れるといいなぁと思いつつ、次の借り手が現れるまで家賃を払い続けなければならないので、ライバル店でバイトをすることにします。

しばらくして現れたのが、店の常連客だったマダム。
なんでこんなところにいるのかと詰め寄られ、閉店したことを告げると、頼みたいことがあると言われます。
次の借り手が決まるまで、厨房を貸して欲しいというのです。
マダムは佐渡谷真奈美といい、昔、料理研究家で有名だったようです。
彼女は厨房を借りて、お料理教室みたいなものをやりたいみたいでした。
強引に佐渡谷にお願いされ、白井はそのお菓子教室みたいなものを手伝うことになってしまいます。
お料理教室にやってくるのは、たった一人の生徒で、その生徒は佐渡谷の姪がやっているカウンセリングルームに通うクライアントでした。

作るお菓子は生徒が希望するものです。
フルーツタルト、タルトタタン、マカロン、イートンメス、ザッハトルテ、オペラ、モンブラン、パウンドケーキ…。
作っているうちに、生徒たちの心がほどけていきます。
そして教えている白井の心も…。

お菓子作りにはセラピー効果があるのかもしれませんね。
佐渡谷さんのキャラがいいです。
彼女のような人が、人に幸せを運んでいくんでしょうね。
頑なだった白井も彼女に感化され、次の一歩を踏み出せるようになります。

軽く読めて、ほっこりできる本ですので、日常に疲れ、癒やされたい人にお勧めします。
私のようにスイーツ好きでもOK。お菓子が作りたくなりますよ。
レシピが載っているパウンドケーキ、今度作ってみようかしら…。

中山七里 『鑑定人 氏家京太郎』2022/03/07

中山さんの新刊です。
新しいシリーズの開幕です(たぶん)。


警視庁科学捜査研究所のOBで、今は民間の<氏家鑑定センター>の所長である氏家京太郎は、吉田弁護士の訪問を受ける。
連続通り魔事件の犯人、那智貴彦から直々に指名され、彼の弁護人となったというのだ。
那智は犯行態様が残酷で、稀代の殺人鬼という称号が与えられていた。
彼は三件の犯行を行ったと言われているが、三件目の犯行は否認しているという。
報道では現場に残留していた体液と那智のDNAが一致したとされていた。
吉田は氏家に現場から採取された体液のDNA鑑定を依頼していく。

検察側の提出したDNA鑑定結果は鑑定結果通知書一枚で、そこには『試料は全量消費した』と明記してあった。
鑑定結果通知書を書いたのは、氏家と同僚だった黒木で、彼とのことで氏家は科捜研を辞め、鑑定センターを立ち上げたのだった。
黒木が鑑定結果通知書一枚しか提出せず、試料を保存しておかなかったことに、氏家は違和感を覚える。

科捜研から試料を手に入れられないならばと、氏家はセンターの職員たちと死体が発見された現場に赴き、残留物を採取する。
その一方、被害者の司法解剖をした法医学教室に協力を求め、採取したサンプルを提供してもらう。
しかし、その後センターが荒らされサンプルが盗まれ、DNAを鑑定した職員も何者かに襲われる。

氏家は三件目のサンプルがどこかで入れ替わったのではないかと疑い、事件を担当した千葉県警に当たることにするが…。

氏家は私の記憶が定かではないのですが、他のシリーズに出ていたような…。
意外と若くて、中山さんの登場人物の中では珍しいぐらい性格がいい人です。
鑑定はなかなか地味で地道なお仕事ですが、一致したときの喜びは強いような気がします。下足痕で身長、体重、性別ぐらいはわかるとは思いましたが、歩き癖もわかり、人物の特徴が推測されるなんて、科学の進歩に驚きました。
他のシリーズの方々が出てきたので、嬉しかったです。
面白かったので、一気読みでしたが、すぐに犯人の目星がついてしまい、どんでん返しもなかったのが、ちょっと残念でした。


<今日のわんこ>これもシリーズ化しようかしらww。
弟がおもちゃで遊んでいるのが羨ましかったのか、兄が遊びに入ってきました。
弟ははしっこいので、すぐに兄からおもちゃを取ってしまいます。
ママは兄に加勢し、兄におもちゃを咥えさせました。


兄が弟に取ってみろよと言っています。
なかなか兄がおもちゃを離さず、弟が飽きてきたので、おやつの時間にしました。


兄は弟がおやつを探して食べているのを見ても、おもちゃを離そうとはしません。
弟を部屋に入れて、兄用に別のものを使って、おやつを隠しました。


それでもおもちゃを咥えています。食べられないじゃないですか。
おバカですねぇ。


やっとおもちゃを離して、おやつを探すようになりました、笑。

マイクル・コナリー 『警告』2022/03/08

『ザ・ポエット』、『スケアクロウ』に続く、ジャック・マカヴォイ・シリーズの三作目。
マカヴォイは58歳になっています。


ジャック・マカヴォイはLAタイムズを辞め、消費者保護を目的としたニュースサイト「フェアウォーニング」の記者になっていた。

ある日、ロス市警本部強盗殺人課の刑事の訪問を受ける。
最近起こった殺人事件の被害者が、マカヴォイが一年前に一夜だけ関係を持った女性、クリスティナ・ポルトレロで、彼女はデジタル・ストーキングされていたらしく、環椎後頭関節脱臼で亡くなったと言う。
殺害場所に犯人のDNAが残されていたというので、マカヴォイはみずからのDNA採取に応じる。

この事件に興味を持ったマカヴォイは、独自に調べ始める。
オンラインでクリスティナ・ポルトレロのことを検索し、SNSを調査し、世界中の検屍官がアクセスできるコーズオブデス・ドット・ネットに「環椎後頭関節脱臼(AOD)」に関する情報提供を要請した。
すると、同じような死因の事件が複数あることがわかった。
そしてどの被害者も自分のDNAをGT23社に送り、血縁者を探していたのだった。

マカヴォイは同僚のエミリー・アトウォーターと元FBI捜査官で、身元調査事務所を経営しているレイチェル・ウォリングの協力を得、事件を調べていくことに…。


コナリーは小説を書く時に相当調べているようで、いつも感心しています。
今回の本だけでも気になった言葉が、デジタル・ストーキング、ダークウェブ、依存症遺伝子、ミソジニスト、インセル、ポッドキャスト…等沢山あります。
なかなか着いていくには大変な世の中になっています。

とにかくSNSとかやる時は注意しなければなりません。
ようするに自分の個人情報がダダ漏れしているということですから。
遺伝子検査もどういう病気になる確立があるのかがわかるというので、やってみようかと思っていましたが、「遺伝子検査は、政府の目がほとんど届いていない、自己規制の業界だった」なんて書いてあるので、止めますわ。
遺伝子データでどこまでわかるのか、ホントのところはどうなんでしょうね。
この本に出ているように、性依存症などが本当にわかるのでしょうか。
日本ではそれほどではないですが、アメリカのように20ドルぐらいの安い値段で遺伝子検査が出来るとしたら、やる人も増えるかもしれませんね。
その時にどうなるのか、考えると怖くなります。
ひょっとしてこの小説のようなことはもはや行われているのかもしれませんね。

はっきり言って、マカヴォイのことはすっかり忘れていました。
前作は読んでいるような、いないような…(恥)。
それでもこの本は面白かったので、前作を読んでいない方でも楽しめると思います。

M・W・クレイヴン 『ブラックサマーの殺人』2022/03/09

キエフ・バレエが来日公演ができなかったので、今年の1月27日に現地ウクライナで収録された「白鳥の湖」全編を無料配信してくれました。
こちらでご覧ください。


ストーンサークルの殺人』に続く、ワシントン・ポー・シリーズの二作目。


国家犯罪対策庁(NCA)の重大犯罪分析課(SCAS)部長刑事、ワシントン・ポーは予算会議に出ている時にフリン警部から呼び出される。
カンブリア州警察のギャンブルが彼からの連絡を待っているというのだ。

カンブリア州警察本部に行くと、アンドルー・リグ刑事が6年前のエリザベス・キートン事件のことでいくつか質問があると言う。
六年前、三ツ星レルトランのオーナーシェフ・ジャレド・キートンの娘・エリザベスが行方不明になったとの通報があった。
鑑識が厨房を調べてみると、血痕が発見され、血液はエリザベスのものと一致。
殺人事件として捜査することになり、ジャレド・キートンが逮捕された。
ところが、三日前にエリザベス・キートンが図書館に現れたのだ。
彼女から採取した血液は検体と一致。
ポーは無実の男を刑務所に送ったのか。
ギャンブルはポーに現れた女性がエリザベス・キートンであると納得したいと言って、正式にSCASに捜査への参加を要請した。

事件の再捜査をしている間に、ポーはジャレド・キートンに刑務所まで呼びつけられ、エリザベス・キートンと思われる女性は行方をくらます。
キートンが釈放されると、ポーの立場はまずくなる。
ポーは分析官のティリー・ブラッドショーに協力を求める。

お待ちかねのティリーの登場。私、ティリーのファンですので、嬉しくなりました。ティリー、少し大人になりましたね。
前回に出てきたのか記憶にありませんが、病理学者のエステル・ドイルもいいキャラですね。死体にペティキュアをするなんて、変った趣味の女性ですww。
次回も彼女が出てきて欲しいです。
題名と表紙の絵が古風ですが、内容は今風です。
四作品が出版されていますが、今年の6月には五作目が出版される模様です。
三作目の翻訳が待たれます。

前回同様に面白く読めたのですが、私はカンブリア州が気になりました。
古くはケルト系のカンブリア人がカンブリア語を話していたそうで、湖水地方もある、美しい土地みたいです。
カンブリア語ってどんな言葉かと思ったら、12世紀に消滅していました。
カンブリア州、いつか行ってみたいです。

<今日のわんこ>

相変わらず部屋を走り回っています。
この写真ではよくわかりませんが、また毛の色が変ってきました。
一時期背中が薄い色になっていたのですが、また黒くなってきています。
ヨーキーの毛の色は何回変るのでしょうね。

美味しい映画2022/03/10

スイーツの名前が題名に入っている映画を二作観ました。
と言っても、日本語の題名がですが。
とても美味しそうですww。

「昼下がりの甘いパイ」

英語の題名は「Same Time Next Week」。「来週同じ時間に」というのが、何故か「昼下がりの甘いパイ」になっています。
日本の映画会社の題名の付け方は面白いですね。

9ヶ月前に夫のスコットを癌で亡くしたサラ・コンラッドは、スコットが残した”死ぬまでにやりたいことリスト”を週に1つずつ挑戦しています。
まず最初は、PR会社を辞め、夫の夢の書店を義理の妹のマギーと一緒に開くことにします。

ある日、リストの1つ、「スクーターに乗る」を実行しますが、腕を折ってしまい、救急医療にかかります。
彼女を診察してくれたのが、医師のライアン・マコーミックで、彼もサラと同じように、1年前に妻のハーパーを交通事故で亡くしていました。

サラは毎週、墓地に行き、スコットにその週にあったことを報告していました。
ある日、サラとライアンは墓地で偶然再会します。
彼らはハーパーが好きだった、パイはうまいが、スタッフが皮肉を言うというカフェに行き、互いの配偶者のことを話します。
それから毎週日曜日にパイを食べながら話をすることにします。

その頃、義理の妹のマギーは書店の工事をしている恋人のテディからプロポーズされます。
嬉しいのですが、サラの気持ちを考えると、プロポーズのことを言えませんでした。

サラは次々とリストを実行していき、途中でライアンも手伝うことになります。
彼らはカラオケで一緒に「おおスザンナ」を歌い、次にサルサダンスを習うことにします。
レッスンの最終日の発表会で二人はダンスの成果を発表し、初めてキスをかわします。
その後、やっとサラは家に置いて置いたスコットの荷物を片付け始めます。
しかし、テディからプロポーズのことを聞き、マギーに何故秘密にしていたのかを聞いた時に、サラはスコットが亡くなってから一年も経っていないことに気づき、ライアンに別れを告げます…。

愛する人を亡くし、もう一度別の誰かと幸せになることに罪悪感を持ってはいけませんね。
ライアンが言うように、「next chapter」だと思えばいいんです。

皮肉を言うというカフェのスタッフがいいです。
傷心のライアンにパイを持って来て、たっぷり生クリームをのせて、「店のおごりよ」と言う場面が好きです。
そうそう、パイを食べる時にコーヒーとか飲み物も一緒に頼みませんか。
何故かこの映画ではパイしか頼まないのよ。
カナダ人はパイを食べる時はパイだけしか頼まないのか…?

心が温かくなる映画です。結構私、この映画好きです。

「しあわせのカップケーキ」

この映画の題名は「An Hour Behind」。日本語では「1時間遅れ」、サマータイムで時間が1時間ずれているという意味ですね。

「カップケーキ・パレス」というカップケーキ屋を経営しているトリシュは、昨年負けたカップケーキ大会で優勝するために、出品するカップケーキの試作に取り組んでいました。賞金で二号店を出したかったのです。
仕事に夢中な妹を心配した姉のクロエが、ブラインド・デートをお膳立てしてくれます。しかし、トリシュはその日からサマータイムだと言うことをすっかり忘れていました。
そのため1時間遅刻をしてしまい、会うはずのイケメン弁護士は帰ってしまったのですが、約束の緑色のシャツを着て座っていた救急救命士のパーカーをデート相手だと勘違いしてしまいます。
パーカーは訳がわからないままにトリシュとデートします。
(ここで、オイオイ、何で別人だと言わないんだと、疑問がわきますが、笑)

次の日、救急車で出動した後、パーカーはトリシュの店を見つけ、同僚と一緒に店に行ってみますが、パーカーがアダムではなかったことを知ったトリシュはお冠。
二人は言い合いをしてしまい、トリシュはパーカーを店から追い出します。
(自分の勘違いなのに、嘘を言ったと相手ばかり責めるトリシュは嫌な女だと思うのですが…)

クロエはなんとかしてトリシュをアダムに会わせようとします。
トリシュは姉の強引さに負け、アダムとデートします。
アダムはトリシュの話を全く聞いていないみたいです。
鮨は嫌いと言っているのに、鮨を食べにいくしね、笑。

一方トリシュのことが忘れられないパーカーは、店に行って説明を試み、チャンスをくれと言いますが、トリシュは私たちは元々出逢うはずじゃなかったと断ります。
しかしパーカーは諦めない。
お花、お菓子の道具にメモをつけ、そして再度お店におしかけて、デートに誘う。
やっとデートに応じてくれたトリシュ。でもアダムがいるので、お友達としてですって。(ホント、面倒な女ね、笑)

それでもパーカーは頑張ります。
オーブンを直し、トリシュがしたいと言っていた絵のレッスンに連れて行き…。
何とかいい雰囲気に。

そんな頃、トリシュは大会にどのカップケーキを出品しようか迷っていました。
思い立って、パーカーの職場にカップケーキを持っていき、パーカーと彼の同僚たちに食べてもらい、意見をもらおうとします。
喜んだパーカーが職場を案内してくれますが、トリシュは偶然、パーカーのロッカーンの中を見てしまいます。
そこには彼と妻の写真が…。
パーカーに嘘をつかれたと思ったトリシュは別れを告げます。
パーカーは何故自分の中で話を完結させるんだ、なんで最悪のことを考えるんだと言いますが、トリシュは聞く耳持たず…。

さて、二人はどうなるのでしょうか。

パーカーの同僚のマイロとトムがいい人です。
心からパーカーのことを心配しています。
彼らのような同僚が欲しいですわ。

どちらの映画もお暇な時に、あまり考えなくていいものを見たい時にどうぞ。
見終ると、パイとかカップケーキが食べたくなるかもねwww。

「風の電話」を観る2022/03/12

昨日は東日本大震災から11年目の日でした。
11年経っても、あの時のことは忘れられません。
私でさえそうですから…。


東日本大震災の時、大津波で両親を亡くし、広島に住む伯母の広子に引き取られた17歳の高校生、ハル。
未だ伯母に抱きしめてもらわないと、学校に出かけることができません。

ある日、学校から帰ると、広子が倒れていました。
広子は命は取り留めましたが、意識が戻りません。
人が次々といなくなることに堪えきれないハルは病院を出て、フラフラと土砂崩れの山道を歩いて行きました。
疲れ果て、道で寝そべっていると、公平という男がハルを見つけ、自宅に連れて行って、夕食を食べさせてくれます。
家には認知症のおばあさんがいて、原爆の話をしてくれました。
公平の妹は自殺をしていました。
次の日、公平は駅まで送ってくれ、「死ぬなよ。生き残ったもんは、食わなきゃな」と言って袋に入ったミカンを渡してくれます。

道路でヒッチハイクをしていると、妊婦とその弟の乗った車が止りました。
弟はハルのことを心配し、食事をご馳走してくれます。
姉はお腹がはるので、店の座敷で横にならせてもらいます。
43歳という高齢なので、子どもを産むことに反対されている。子どものお父さんはいないけれど、心の声を聞いて、子どもを産むことにしたというのです。
姉は「また会いに来てね」と、弟はお金をくれ、「返しに来い」と言って別れました。

ハルは道の駅の公衆トイレで服を着替え、パンを買って食べていました。
そこに柄の悪い男たちがやって来て、ハルを無理矢理車に乗せようとします。
ハルを助けてくれたのは森尾という男でした。
森尾はハルに食べ物をくれ、どこに行くのか尋ねます。
ハルは岩手県の大槌に帰りたいと告げます。
森尾は用事があって埼玉に行くから、そこまで乗せてくれることになります。

埼玉で森尾は、震災の時、ボランティアで来ていたトルコ人のメメットという男を捜します。
メメットは1年前に入管に捕まり、収容されているそうです。
彼の家族に会いに行くと、ご馳走をしてくれました。
ハルはそこに来ていたクルド人の女の子に家族の写真を見せ、二人は将来について語り合います。

車の中で森尾はハルに家族の写真を見せてもらいます。
ハルの家族がまだ見つかっていないことを聞き、自分のことを語り始めます。
彼は第一原発で働いていたのでした。
森尾はハルを連れて福島まで行くことにします。

森尾は一軒の家の前で車を止めます。そこは彼の家でした。
暮らしていた時のままの家の中…。
家族の幻を見るハル。ふと気がつくと、誰もいない…。

森尾は父と姉が住んでいる実家にハルを連れて行きます。
震災当時の話をする父。
ほとんでの人は帰ってこないことや、横浜の学校に転校した近所の子が差別を受けた話、森尾はメルトダウンのことを申し訳なく思っていることなど…。
森尾も妻と子を津波で亡くしていたのでした。

ハルは森尾に「死にたいと思ったことがある」と聞きます。
森尾は「あるよ。でも死ななかった」と答えます。
「ハル、お前が死んだらな、誰がお前の家族のことを思い出す。誰もいなくなっちゃうだろ。おれも福島に帰ろうかなぁ。もう車で寝るのもあきたしなぁ…」。

森尾はハルを大槌まで連れて行くことにします。
大槌駅の駐車場でハルは友人のアスカの母親に話しかけられます。
再会を喜ぶ二人。しかし、アスカは津波の犠牲者でした。
避難している途中にアスカの手を離してしまったことを詫びるハルに、「ありがとう、ハルちゃん、手をつないでくれてありがとう」と言ってアスカの母はハルを抱きしめるのでした。

ハルの家は土台だけしか残っていませんでした。
「ただいま」というハル。誰も返事をしてくれません。
「ただいま、返事してよ。なんで誰も返事をしてくれないの。帰ってきたんだよ。どこにいるの…」
横たわるハルを起こしてくれたのは森尾でした。

森尾はハルを駅まで送り、広島までのお金を渡してくれます。
「ちゃんと帰れよ」
「ハルカ、私の名前は春が香ると書いて春香」
「じゃあな、春香。大丈夫。大丈夫」と握手をして、森尾は車を出しました。

ホームにいる一人の少年がハルに話しかけてきます。
「浪板海岸行きはこっちでいいですか」
「そっちだよ」
「ありがとうございます」
ポケットから紙を出し、見ている少年。
「どこに行くの」
「風の電話に」
風の電話は亡くなった人と話のできる電話だというのです。
「聞いていい。誰と話したいの」
「お父さん。昨年、交通事故で。だからどうしても話したくて…」
「私も一緒に行っていい」
ハルは少年と風の電話まで行くことにします。

受話器を取り、ハルは「もしもし…」と呼びかけます…。

ヒッチハイクをしているハルが危ない目に遭いそうで、心配しながら観ていました。
ハルはいい人たちと出逢い、苦しんでいるのは自分だけではないことに気づき、いつしか悲しみを乗り越えていきます。
「死ぬなよ」、「大丈夫、大丈夫」という言葉が、これからの彼女を生かし続けていってくれるように思います。
そしてこの映画で一番私の心に残った言葉が「生き残ったもんは、食わなきゃな」です。
食べること=生きること、と言ってもいいんじゃないでしょうか。
明日のためにしっかり食べましょう。(私のように肥満になってはダメだけどねぇ、笑)

コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻、震災特集などの報道を見ていると鬱状態になりそうなこの頃ですが、希望だけは失わずにいたいですね。

森尾役が日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を取った西島秀俊さんです。
「ドライブ・マイ・カー」はアカデミー賞が取れるでしょうか。
3月27日を楽しみに待ちましょう。