桜木紫乃 『谷から来た女』 ― 2024/07/12

赤城ミワはアイヌ紋様デザイナー。
母親が九州出身の日本人で父親がアイヌ人。
背中に父親が彫ったアイヌの紋様がある。
ミワと関わる大学教授やデザイン学校の同期の女、教育通信の記者、レストランシェフ、北海道テレビプロデューサー、そしてミワの父母の出会いを描いた六つの短編集。
桜木さんの本を読むたびに、私の無知を思い知らされます。
北海道で育ったというのに、全く北海道のことを知らないのです。
今までアイヌ人に会ったことはありませんし、学校でアイヌの歴史や文化について学んだことはありません。
アイヌ人に対する差別と言われても、はっきり言ってわかりません。
「あなたに見えない壁が、わたしには見えるんだ」
というミワの言葉が心に刺さります。
時系列にそってお話が並べられていないので、戸惑うこともありますが、不思議な魅力のあるお話です。
北海道出身のわたしとしては、ミワの凛とした生き方に魅了されますが、それ以上に自らの無知さを見せつけられ、ちゃんと知ろうとしなければと思わせられました。知らないではすまされませんよね。
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