喫茶店で謎解きするミステリ2025/01/26



板多波碧 『喫茶ひまわり 生活安全課防犯係』
昭嶋署生活安全課防犯係の巡査部長、森山尚美は事件を起こしそうな気配を漂わせている人に近付き、話を聞いて止めさせている。
彼女の相棒の久住達樹は、そんなお節介焼きの尚美にウンザリしている。
彼女が救った人は、娘の会社の上司を殺そうとした男、赤本を万引きした女子高校生とその友だち、夫を殺そうとした妻、侵入窃盗事件に関係しているらしい息子について無料法律相談に来た母親など。
そんな人たちを尚美は<喫茶ひまわり>に連れて行き、美味しい料理を食べさせる。
マスターは元判事で、喫茶店を経営する旁ら弁護士として無料法律相談をしている。
尚美が犯罪を未然に防ごうとするには深い事情があった。

事件を未然に防ぐのは非常に難しいですよね。
警察は事件が起らないと動かないと言われていますから。
尚美のような警官がいたら、どれほど安心できることかと思いますが、警察官の誰もが彼女のようにできるわけではないです。ほとんどの警察官には無理でしょう。
この頃、人が刺されるという事件が増えているような気がします。
こういう事件を未然に防ぐにはどうしたらいいんでしょうね。
ボーと道も歩けないです。


笛吹太郎 『コージーボーイス、あるいは消えた居酒屋の謎』
荻窪にあるカフェ<アンブル>では月に一度、出版関係者らが集まり、お茶とケーキを囲んでゆるゆるとミステリの話をするという≪コージーボーイズの集い≫が開催されている。
メンバーは作家の福来晶一、評論家にして古書店の二代目の伊佐山春嶽、同人誌の主幹の歌山ゆかり、編集者の夏川ツカサの四人。
この四人が、ゲストが持ち込む謎の推理合戦をする。
しかし、いつも謎を解き明かすのは、側で静かに話を聞いている<アンブル>の店長の茶畑さん。

さて、どんな謎が持ち込まれたのか。
①編集プロダクション経営者にして文芸評論家を自称する島村悦史が中荻窪の路上で殺された。彼と金銭トラブルがあった福来にはアリバイがなかった。
というのも、その夜、現場付近の中荻で飲み歩いていたのに、どの店に行ったのか覚えていないというのだ。どこの店に聞いても、福来は来ていないという。居酒屋はどこに消えたのか?
②漫画家の森田森夜のオフィスにナッツ類のアレルギーもちの子がいた。その子が、菓子作りが趣味の森田が作ったケーキでアレルギーを発症してしまった。
ケーキにはナッツなど入れていない。なのに何故?
③三十年前、大学教授でエッセイストの春野すみかの飼犬に誰かが毒を食べさせた。すみかは妹が犯人だと思っているが、本当にそうかどうか検証してもらいたいと頼まれる。
④都内の書店に勤める服部春子の十歳になる息子が宝物にしていたロボットをバラバラにした。何故なのか?
⑤バーテンダーでロックバンドのギタリストである川津の二つと年上の姉が、家族も親戚も死んでいないのに、友だちから仕事先に至るまで喪中はがきを出した。
なぜ出したのか?
⑥作家の二宮正樹が仕事場の机の引き出しに、封筒に五万三千円を入れてしまっていたが、いつの間にか十万円に増えていた。どうして?
⑦中央線の西側の歴史に詳しい郷土史家であり、画家、景浦巡のコレクターである鶴屋仙一はT美大に行っている孫と一緒に住んでいる。近頃、孫の先輩が二人、杉並の歴史について聞きたいと言って彼に会いにやって来た。そのついでに孫も聞きたいと言い出した。若者の間で郷土史がブームなのか?

四人と一緒に謎を解いてみるという楽しみがある本です。
是非挑戦してみてください。
私は…大分前に読んだので、覚えていませんが、あまり解けなかったと思います。

各話の最後に作者の笛吹さんの解説みたいなあとがきみたいなものがあります。
次に何を読もうかという参考になるかも。

二冊ともに軽いミステリなので、お暇な時に手に取ってみてください。