あさのあつこ 「針と剣 縫箔屋事件帖」シリーズ1~3 ― 2025/05/30

『風を繍う 針と剣 縫箔屋事件帖』
おちえは十六歳の黒眸勝ちの眼と肌の美しい娘で、父親の仙助は三代続いた縫箔屋『丸仙』の主。
父親が縫箔師だというのに、おちえは針仕事が苦手で、唯一誇れるのが榊道場の道場主の榊一右衛門から「男であれば、比類なき剣士になったであろうと」言われた剣の腕だ。
母親のお滝は、おちよが十二歳の春に娘が殺される事件が続き、我が身を己で護る術を身につけさせようと、おちえを剣の道場に通わせてることにしたのだが、娘が剣才の持ち主だった知り、今では己の誤算を嘆いている。
ある日、『丸仙』に端正な顔立ちの侍がやって来る。
彼は吉澤一居といい、仙助に弟子入りしたいという。
榊道場で一居の剣を見たおちえは、何故一居が武士の身分を捨ててまで縫箔職人になることを切望するのか理解できなかった。
そんな頃に『丸仙』の職人の正造の娘が殺される。
五年前の娘殺しがまた現れたのか。
『風を結う 針と剣 縫箔屋事件帖』
町人となった一居は『丸仙』に弟子入りをする。
ある事件により榊道場は閉門となり、十七になったおちえは自分の行く末を決められず悩んでいた。
女だてらに竹刀を握っていられる年でも身分でもない。いいかげんに踏ん切りをつけなければならない。でも・・・。
ある日、おちえが気を失ったため、丸仙かかりつけの医者の井筒崇徳が呼ばれる。
お茶を持ってきた一居を見て、崇徳の顔色が変わる。
一居は崇徳とは会ったことがないというが、崇徳は一居を知っているのか。
その次の日、崇徳が部屋で毒を飲んで亡くなっているのが見つかる。
遺書はないが、自死なのか、殺されたのか。
『風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖』
おちえたちの奮闘の末に榊道場が再開される。
そんな頃に、不思議なこそ泥が現れる。夜中に二店でみみっちい盗みがあったのだ。それだけではなく、おちえの竹刀が盗まれる。おちえも一居も賊の気配に気づかなかった。
玄人の技と来し方を持つ、相当の手練れの盗人の仕業か。
これは大きな事件の前触れではないのか。
それからしばらくして、大和屋から小袖が盗まれる。
その小袖はおちえの父、仙助が花嫁のために渾身の縫箔を施した一枚だった。
大和屋から盗まれた小袖は、小さな寺の本堂裏で骸になった女に被せられていた。
女は誰で、大和屋と関わりがあるのか。
「縫箔屋」とは「金箔や銀箔を縫いつけたり、金糸・銀糸を用いた刺繍を商売とする家・人」のことです。
江戸の職人の生活に興味があるので、どんなものかと読んでみたのですが、1巻目で止めればよかったと思いました。
あさのあつこさんだからもっと面白くなるだろうと思って続けて読んでみたのです。
縫箔というと、「神田職人えにし譚」シリーズがありますが、ヒロインに関する限りでは、おちえよりも「神田職人えにし譚」シリーズのお咲の方が落ち着いた雰囲気で断然いいです。
まあ、十八になるおちえよりも二、三十代のお咲の方が酢いも甘いも噛み分けていますからねぇ。
おちえは自分の道を決めるまで、このままで行くのでしょうね。
グタグタ悩んでいる姿が幼過ぎて・・・。
事件帖というので、江戸で起こる事件がメインで、おちえと一居の二人で事件を追うのかと思ったら、違ってました。
おちえの悩み事が大部分で、事件がちょこっとって感じ。特に縫箔とは関係がありません。
格好いい岡っ引きの仙五朗がいるので、どうせなら彼と一居のイケオジ、イケメンの二人をメインにしてもらいたいものです。
あさのさんは「10代の少年少女が悩み、成長する姿を描く作品に定評がある」そうなので、このシリーズはある程度の年齢のいった人よりも、若い人向きの作品なのかもしれませんww。
初めて時代小説でも読んでみようかなと思ったら、読んでみるといいですね。
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