海堂 尊 『ブレイズメス1990』 ― 2010/11/01
昨日は久しぶりに代官山に行ってきました。小さなかわいらしいお店がいっぱいで、ここに暮らすとお金がいくらあっても足りないなと思いました。
ちょうどハロウィンだったので、家にハロウィンの飾り付けがあったり、子供が仮装コステュームを着て歩いていました。やっぱり代官山は違うのね。私の暮らしている付近ではハロウィンなんてしてませんわ。
ちょうどハロウィンだったので、家にハロウィンの飾り付けがあったり、子供が仮装コステュームを着て歩いていました。やっぱり代官山は違うのね。私の暮らしている付近ではハロウィンなんてしてませんわ。

イタリア、ミラノにある食材店「EATALY イータリー」が代官山にお店をだしています(写真上)。その近くにあったイタリア料理店で食事をしたのですが、これが今一。普段はコックをしているような男性が食事を持ってきて、説明するのですが、声が小さくて何を言っているのかわからず、その上、料理もおいしくないし。「イータリー」のイートインで食べればよかったと、つくづく思いました。

○んこみたいなソーセージ。つけ合わせがまずい!
「イータリー」ではついつい散財をしてしまいました。美味しそうなオリーブオイルとバルサミコ酢(万単位のもあった!)、パスタ、パスタソース、ジャム、パン、生ハム・・・。

代官山には更地が結構あり、三菱、三井、NTTなどがマンションを建てるらしいです。でも、お値段的に手が出ませんわ。たまに行って遊ぶのがよさそうです。
さて、海堂尊の本ですが、これは『ブラックぺアン1988』の続きです。

外科研修医になった世良が、なぜだかわかりませんが、国際学会で発表をする垣田講師のお供としてモナコへ行くことになります。みんなからは「宝くじに当たったような超ラッキー」と言われていました。
しかし、世良には隠された任務があったのです。それはモンテカルロ・ハートセンターの天城雪彦に佐伯教授からの手紙を渡すという任務でした。
天城はダイレクト・アナストモーシス(直接吻合法)について発表することになっていました。世良はシンポジウムの会場で手紙を渡そうと思っていたのですが、天城は現れませんでした。
そこで、次の日、モンテカルロ・ハートセンターに行くのですが、これもまた空振り。受付嬢は天城に会いたければ、グラン・カジノに行くようにと言います。
世良がグラン・カジノで待っていると、天城が現れます。手紙を渡そうとする世良を天城は「ジュノ(青二才)」と呼び、賭けに勝てば手紙を読もうと約束します。
世良は運よく賭けに勝ちますが、手紙を読んだ天城はさらなる賭けをふっかけてきます。
自分を日本に連れて行きたければ、全財産の半分を賭けて勝てと。
佐伯病院長は天城を東城大に呼び、桜宮に心臓手術専門病院を創設するという計画を持っていました。これが佐伯の心臓外科と腹部外科を分離し、最先端医療に対応できる大学病院の外科学教室の未来像だったのです。
手術する患者を全財産の半分をルーレットで賭けさせて選ぶという天城のやり方は、様々な波紋を呼びます。
今回は医療における「カネ」と「命」という問題が取り上げられています。
まだまだ続く、東城大シリーズです。
二人の漫画家――鬼太郎とサザエさん ― 2010/11/02
NHKの朝のテレビ小説で人気があったのが、『ゲゲゲの女房』でしたね。仕事が休みの時に2,3回見たことがあります。のほほんとした美男美女が、昭和時代の平和な日常を演じていました。実際はどうなんでしょう。
普段はこういう本を読まないのですが、図書館にあったので、読んでみました。
普段はこういう本を読まないのですが、図書館にあったので、読んでみました。

言ってみれば、水木しげるの妻が自分たちの貧乏生活を赤裸々に(誇らしげに?)語ったという感じかな。
一昔前はああいう結婚が当たり前だったのでしょうね。
娘が鬼太郎の娘と言われるのが嫌で、学校で父のことを隠していたということは、よくわかります。女の子ですからね。男の子だったら自慢しまくりでしょう。
水木しげるは家族を大事にするらしく、家族が彼を支えていたようです。この様子は長谷川家と似ています。
感心したのは脚本家。よくこの本から、あれだけの内容にしましたね。一番の功労者です。
もう一冊は、日本を代表する家族を描いた長谷川町子の妹が書いた本です。これまた興味はなかったのですが、よく話をする司書さんが勧めるので読んでみました。

サラリーマン家庭を描いた長谷川町子ですが、実際は独身です。サザエさん一家は彼女の空想上の理想の家族なのでしょうね。
長女まり子(2歳上)、次女死亡、三女町子、四女洋子(1歳下)。この4人娘が長谷川家の子供でした。
町子は元気いっぱいのガキ大将。それなのに内弁慶。ひとつのことに集中しすぎるらしく、スリには合うし物は忘れるし。
父が亡くなった後、一家の長となった孟母が、町子に漫画を描かせるために他の姉妹にも協力させます。
挿絵画家だったまり子は画家を諦め、町子の本を出版する姉妹社の社長になり、洋子は病気で仕事を辞めていたのをいいことに、姉妹社を手伝わされます。
<串だんご>というほど仲のいい姉妹でした。
しかし、仲がよいとはいえ、同じように考え、行動し、同じ家に住んで生活しなければならないということが、洋子にとっては苦痛になってきたのです。
生涯独身であった町子や、結婚まもなく夫が出征し戦死したまり子とは違い、夫が若くで亡くなり、2人の子供を残された洋子には子どもとの家庭があります。
なんでも一緒にやらなきゃ我慢のならない母や姉たちの存在が精神的な負担になっていたのでしょう。
洋子が新しい家に一緒に住むのを拒否したことから母と姉たちとの溝は広がり、取り返しがつかなくなりました。
後に町子が亡くなった時も、まり子からは連絡がなかったそうです。
その上、本にははっきりと書かれていませんが、母や町子の遺産相続放棄を強制されたようです。
恐るべし、長谷川家。
何十億(すごい!!)という遺産をまり子はどうしたのでしょう?
そのお金で長谷川町子美術館を作り、運営資金にしているんでしょうか。
たぶん、そうなんでしょうね。
もし、母と姉が生きていたら、こんな本出せなかったんじゃないでしょうか。下手をすると訴えられますよね。
同じ漫画家家族でも、違いますね。
水木家の家族が協力したのは、自主的になんでしょうね。そうは思いたくないけれど、男と女の違いでしょうか?
描くものと人格は別物。そんなもんなのでしょうね。
ダイアン・デヴィッドソン 『クッキング・ママのダイエット』 ― 2010/11/03

このシリーズも15冊目。本音を申しますと、主人公でケータラーのゴルディの”げす野郎”元夫が亡くなってから、パワーが落ちました。やっぱり幸せと殺人は似合いません。
今回、ゴルディは結婚パーティのケータリングを引き受けています。ところが、お金になっても、花嫁とその親とのとてつもない我儘に悩まされることになります。
前に結婚プランナーのミステリーを読んだ時にわかったのですが、アメリカの結婚式&パーティはすごい!日本とは違いなんでも決めなきゃならないから、大変です。日本に生まれてよかったと思います。日本では結婚式の場所を決めると、自動的にもれなくプランがついてきます。そのプランから適当に選べばいいんですもの。まあ、わたしなんか、それでも面倒と思っちゃいましたから、アメリカに生まれなくてよかったとつくづく思います。
花嫁はちょっとお年(といっても30代中ごろ)のいったビリー。この人、ちょっと変。毎日電話攻撃。ゴルディが電話に出ないと、他の人に電話をしてゴルディに電話に出るようにと伝言させ、それでもダメなら探しに来る始末。ゴルディだって暇ではありません。他の人のケータリングをしている時には電話に出られるはずがないでしょう。それなのにビリーは私の電話にでないなんて許さないといいます。まったく異常です。
ホント、ケータラーじゃなくてよかったわ。
この異常女の結婚パーティのメニューは何回も変わるし、その上式直前にパーティ会場と出席人数まで変わっちゃったのです。
頭を悩ますゴルディ。
そんな時、殺人事件が起こります。地域の名医だったフィンが不可解な死を遂げたのです。そして、ゴルディが元夫との離婚で苦しんでいる時に助けになってくれた、名付け親のジャックまで殺されてしまいます。
夫で刑事のトムが嫌がるのを知りながら、ゴルディは事件に首を突っ込んでいきます。
なんで題名に「ダイエット」って入っていいるのかって。
それは殺人事件が”ダイエット道場”に関係してるからなんです。
あの、ダイエット嫌いの友達でゴージャスなマーラがゴルディの頼みを聞き入れ、ダイエット道場に潜入します。
美味しそうなレシピ付なので、いつか作ってみたいと思いながら、相変わらずチャレンジしない私です。
そろそろまじめにダイエットしなければならない私なので、ピッタリのミステリーでした。
末広英二 『ツイッター部長のおそれいりこだし』 ― 2010/11/05

この本も出版社さんからいただきました。ありがとうございます。またよろしくお願いいたします。
ツイッターのことは知っていた私ですが、ブログはやれてもツイッターは無理と思っていましたが・・・やっぱり無理です。
末広さんは仕事の一環とはいえ、勤務時間以外もやってらっしゃるんですよぉ。
私なんか、メールで何回も行き来していると、だんだんと面倒になって、早く終わりにしたいと思いますもの。
ツイッターって、その延長みたいなものでしょう?違うかしら・・・?
お作法もあるらしく、そんなの知らないわ。
ツイッターで何か言われたりしたら、生きていけませんわ。(ちょっと大げさ)
末広さんは、あの宣伝の歌が耳について離れない、加ト吉改めテーブルマーク社の広報部長さんです。
ちなみにどういう歌かというと、
「♪かっときっちゃんかときっちゃん、食べて美味しい加ト吉のぉぉ海老フライ~♪」
今でも歌が耳に木霊します。
加ト吉改めテーブルマークって、冷凍讃岐うどんで有名なんですってね。知らなかった。
その加ト吉の部長さんが、うどんコミュニティ作りと企業のブランディングの一環としてツイッターをやり始め、それがツイッター界に「カトキチ」旋風を巻き起こしたんだそうです。
その辺のことを詳しく書いてあるのが、この本。
ダジャレ好きなのが幸いして、ツイッターでの会話にいい味出してます。
つぶやく時は女性的に、なんて、会話では言い方とか雰囲気などできついこと言っても大丈夫なことが、メールだと直接的ですものね。
ツイッターと接客業に共通項が多いなんて、普通思いませんよね。
(本音を言うと、そんなに気をつかってまでツイッターはやりたくないですぅ)
さすが牛角やシャトレーゼで実績を上げた人です。着眼点が違う。
感心したのが、商売っ気を出すのを最小限にしていることです。
「テーブルマークのうどん置いてってスーパーに言ってよ」というのを、「魔法の言葉 置いて」で表現しちゃうなんて、上品でいいですね。
末広さんは楽しんでお仕事しているって感じです。
来年三月で末広さんはテーブルマークを辞めるらしいですが、次はどこでどんなおもしろいことしてくれるのでしょうか。
一番気に入った表現:麺類皆兄弟。う~ん、言いえて妙。
誉田哲也 『武士道シックスティーン』 ― 2010/11/06

久しぶりにおもしろい、青春物を読みました。
言ってみれば、あさのあつこの『バッテリー』の少女版って感じかな。
剣道ってしたことないし、あまりおもしろいものとは思っていなかったのですが、これを読むと、剣道っておもしろそうと思えます。
剣道少女が増えるかもしれませんね。
主人公らしき少女は2名。
一人目は、父が警察官で剣道を教えていたので、その影響で剣道を始め、結構いい線いっている磯山香織。中三で全中準優勝というすばらしさ。
この香織が準優勝ということで、頭にきて、というのも彼女は自分が勝ったと思っているのです。ようするにちゃんと小手(だったと思うけど・・・)が入ってのに、三人いる審判のうち一人以外が見ていなかったので、負けたと思っているのです。
で、むしゃくしゃして、横浜市民秋季剣道大会に出ちゃうんです。それも中学名ではなく、道場名で。
この時に出会ったのが、2人目の主人公、西荻早苗。
早苗は幼いころから日本舞踊をやっていまいたが、父の会社が倒産し、お金がなくなったので仕方なく日本舞踊に似た(といっても全然似てないように思うけど)剣道をやり始めます。
そして、出たのが横浜市民秋季剣道大会。
この大会で二人は戦うことになるのですが、なんと、剣道をやり始めて2年ちょっとの早苗が香織に勝っちゃったのです。
香織は試合は勝つもの。相手は皆敵と思っている少女。なんてったって、彼女の愛読書はかの剣豪武蔵の『五輪の書』ですから。こんな少女実際にはいないよねぇ~。
香織は中三。剣道部のある全国の高校から引きがあったのですが、兄の敵と思っている岡巧のいる東松学園高校に入学することにします。
何故岡が兄の敵かというと、岡に負けた後、兄が剣道を止めちゃったんです。そんなわけで、単純な香織は岡を兄の敵と思っちゃったんですね。兄はもちろんそうは思っていませんよ。
東松学園には横浜市民秋季剣道大会で負けた相手、早苗がいました。
早苗も敵とみなしていたのですが、早苗は気にもせず、香織に話しかけてきます。早苗のあっけらかんとした様子に力んでいた香織も肩すかし。
二人は水と油。陰と陽・・・? あ、柔と剛か。
早苗は日本舞踊をやっていたせいか、型から入ることに抵抗がなく、素直になんでも受け入れちゃいます。だから、彼女の剣道は玄人受けするんです。
一方香織は、幼い頃から剣道をやっていたので、自分のスタイルがあり、勝たなきゃならないという意識が強く、がむしゃらな捨て身のギトギトした剣道です。貴様、昔の武士か!
この二人がいつしか友となり、固い絆を結びます。
そして、香織に転機が訪れます。
自分の剣風に迷いが生じたのです。
勝つための剣道をしてきたのが、ふと、空しくなったのです。このまま勝ち続けていった先には一体何があるのか・・・。
なんのために剣道をやるのか。
早苗にも悩みがありました。父親の仕事がうまくいかず、離婚していた父と母がよりを戻し、福岡にいくことになったのです。
せっかく香織と仲良くなったのに・・・。
さて、悩み多き二人はどうなるのか。
早苗のお父さんがいいこと言っているので、長いですが載せておきましょう。
「負ける不安はいつだってある。いや負けることが不安なんかじゃない。人の一生なんて、いつどうなるか分からない。不安だらけのものなんだよ・・・でもねお父さんは1つだけ、それに打ち勝つ方法を見つけたんだ」
「簡単なことさ。それが好きだっている気持ちを、自分の中に確かめるんだよ。その好きだって気持ちと、勝負の不安を天秤にかけるんだ。不安の方が重たかったら、それはやめといた方がいい。まず勝てないし、負けたら、ものすごく後悔するからね。でも、好きだって気持ちの方が重かったら・・・そのときはもう、やるしかないんだよ。負けたっていい。失敗したっていい。やるしかないんだ。だって好きなんだから」
「それよりも早苗・・・好きなものにめぐり合えない人生の方が、もっと悲しいし、つらいよ。だからお前は好きなものに出会えたことを、もっと喜ばなくちゃ。何かを好きになる、夢中になる、そういう気持ちが自分の中にあることを、もっと幸せに思わなくちゃ。それさえ、しっかり感じらえたら・・・もう勝負なんて、怖くなくなるはずだよ」
好きだってことに巡り合ってますか?
なんか日常生活に流されていると、一番大切なこと、好きだってことを忘れてしまいそうになりますね。
果てには、何が好きだったか忘れちゃったりして。
自分に喝を入れときましょう。
この本、映画になっているそうですが、どうなんでしょう。
本の方がずっとおもしろそうですが。
誉田哲也 『武士道セブンティーン』 ― 2010/11/07
今日は酉の市。
入谷カフェでお茶をしてから浅草鷲神社に行ってみました。
なんと行列が続いているのです。どこから続いているのでしょうか。
これでは1時間以上も待つこと確実。
へたれの私たちは諦めて帰ることにしました。
一応写真を撮りましたが、一眼レフは電池切れ(大馬鹿です)だったので、携帯のカメラになってしまいました。
へたれの私たちは諦めて帰ることにしました。
一応写真を撮りましたが、一眼レフは電池切れ(大馬鹿です)だったので、携帯のカメラになってしまいました。

とても神社の境内には入れませんわ。
次回は19日金曜日なので、その時に行かれる方がいいと思います。
私も行かれたら行こうかと思っています。
帰りは好きなパン屋、グーテ・ルブレでパンを買ってきました。

さて、『武士道セブンティーン』。
おもしろいので、続けて読んでみました。
あ、ネタバレになっちゃうかもしれないので、嫌な人は読まないでね。
父親が福岡市内の大学の講師になった関係で、剣道の強豪、福岡南高校に編入学し、高校2年になった早苗です。
彼女、『武士道シックスティーン』の最後に、飛行場で剣道辞めるかもと口走ったのですが、実は違ったのです。
福岡南に入るということは、香織たち東松学園への裏切りと思われると思い、言えなかったのです。
福岡南高校剣道部は東松とは全然違い、勝つことだけが使命。部員も何十人もいて、大会ごとに出場メンバーを変えるというすごさ。
早苗は自分の目指す剣道と福岡南の剣道は違うと感じます。
ここで学べるものはあるのだろうか。
このまま福岡南にいていいのだろうか。
悩む早苗です。
福岡南に変った顧問がいました。吉野といい、インターハイ直前に木刀一本で30人を相手に大立ち回りをやり、そのため試合に出場停止になり、道場での他流試合を挑み四百戦無敗したという伝説の人です。
その彼、早苗の弱点が小手だと見抜き、練習で小手を誰にも取られなくなるまで「お前の苗字は「甲本」ではなくて「河本」だ」なんて。ひどい先生です。
あ、ネタバレになっちゃうかもしれないので、嫌な人は読まないでね。
父親が福岡市内の大学の講師になった関係で、剣道の強豪、福岡南高校に編入学し、高校2年になった早苗です。
彼女、『武士道シックスティーン』の最後に、飛行場で剣道辞めるかもと口走ったのですが、実は違ったのです。
福岡南に入るということは、香織たち東松学園への裏切りと思われると思い、言えなかったのです。
福岡南高校剣道部は東松とは全然違い、勝つことだけが使命。部員も何十人もいて、大会ごとに出場メンバーを変えるというすごさ。
早苗は自分の目指す剣道と福岡南の剣道は違うと感じます。
ここで学べるものはあるのだろうか。
このまま福岡南にいていいのだろうか。
悩む早苗です。
福岡南に変った顧問がいました。吉野といい、インターハイ直前に木刀一本で30人を相手に大立ち回りをやり、そのため試合に出場停止になり、道場での他流試合を挑み四百戦無敗したという伝説の人です。
その彼、早苗の弱点が小手だと見抜き、練習で小手を誰にも取られなくなるまで「お前の苗字は「甲本」ではなくて「河本」だ」なんて。ひどい先生です。
試合も「河本」でエントリーしちゃうんですからね。
今回は吉野先生の言う、「武士道」とは何かを載せてみますね。福岡弁?博多弁?なので読みずらいかもしれませんが。
「武士道相手の戦闘能力ば奪い、戦いを収める。そこが終着点。相手の命も自分の命と等しい、たった一つの命・・・。さらに言えば、試合や稽古で相手をしてくれるのは敵ではなか。常に同じ道を歩む、同志たい。やけん礼に始まり、礼に終わる。そういうこったい」
剣道の奥の深さを、ちょっぴり学びました。
そうそう香織にもいろいろあるのですが、本読んで下さいませ。
今回は吉野先生の言う、「武士道」とは何かを載せてみますね。福岡弁?博多弁?なので読みずらいかもしれませんが。
「武士道相手の戦闘能力ば奪い、戦いを収める。そこが終着点。相手の命も自分の命と等しい、たった一つの命・・・。さらに言えば、試合や稽古で相手をしてくれるのは敵ではなか。常に同じ道を歩む、同志たい。やけん礼に始まり、礼に終わる。そういうこったい」
剣道の奥の深さを、ちょっぴり学びました。
そうそう香織にもいろいろあるのですが、本読んで下さいませ。
誉田哲也 『武士道エイティーン』 ― 2010/11/09

武士道シリーズ最終巻。
それぞれの人の過去が明かされています。
早苗の姉緑子の悲恋物語、桐谷道場の意外な過去、南福岡高校剣道部顧問、酔っ払い吉野先生の高校時代、後輩美緒の決心・・・。
私的には別にそんなにみんなの過去を明かさなくてもよかったのにとも思いますが・・・。
高校三年生になった早苗と香織。
結局、南福岡高校に残った早苗は香織との戦いを楽しみに稽古をしていました。しかし、日本舞踊から剣道に移ったため、日本舞踊の足捌きが残っていて、剣道をしている人にはありえない、内側側副靭帯損傷をしてしまいます。
顧問の吉野先生は、早苗と香織の仲に理解を示し、怪我をしているのに、インハイの団体戦に早苗を出すことにします。その上、香織がどこになるのかわざわざ電話をして聞き、オーダー(先鋒・次鋒・中堅・副将・大将と順番に試合をします)を変えてまでして、二人が戦えるようにするのです。
さて、香織と早苗との三度目の戦いはどうなるのか。そして、個人戦に出た香織は、南福岡高校のエース、レナとどう戦うのか。
なんていっても香織の成長が目覚ましいです。
一応の決着はありますが、それでも続く、武士道。
たとえ剣道を止めたとしても、人生は終わらないものね。
おもしろいです。是非、三巻そろえて読んでください。
近藤史恵 『サクリファイス』 ― 2010/11/10

前にランス・アームストロングの書いた『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』を読みました。ランスは自転車競技選手で癌から生還し、その後ツール・ド・フランスで七連覇をなしとげた人です。
本では前半で癌克服の過程、後半でツール・ド・フランスの様子が書いてあり、ツール・ド・フランスの過酷さを知りました。
今回、『サクリファイス』読み、『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』に書かれていなかった自転車競技の内幕がわかりました。
ランスは石尾と同じエースだったのですね。
彼がマスコミからたたかれていたらしいですが(詳しくは知りません)まあ、エースだから仕方がないと言えるのかもしれません。
とっても美しい、自転車ロードレースの本です。
陸上で期待されながら、18歳で自転車ロードレースに転向した白石誓は、アシストとして生きる道を選ぶ。
陸上競技で勝つために走ることに嫌気がさしていたのだ。
日本の自転車ロードレースのチーム<チーム・オッジ>に入り、誓がアシストするのはエース石尾。
彼には勝つためにはどんなことでもするという噂があった。
自分のライバルになりそうな奴を事故と見せかして潰したこともあるというのだ。
山が得意な誓はある大会でステージ優勝をし、チームのもう一人のエースになるのではと期待されるが、自分に淡々と接する石尾を見て、噂は嘘だと思いたい誓。
ヨーロッパのチームが、日本人を採用したがっているという噂を聞いた誓は、チャンスと思い、自分と同期でエースになりそうな伊庭にその話をする。
エースを勝たせるためにだけ存在するアシスト。
アシストの手を借りて勝つエース。
彼は「アシストたちの夢や嫉妬を喰らい、それを踏みつけてゴールゲートに飛び込んでいく」。
結局大会で名前が残るのは、エースだけ。
<チーム・オッジ>が海外遠征に出かけていた時、誓に別れた恋人が会い来る。
レース中に見た彼女の横には、車いすに乗った男がいた。
それは石尾に潰されたという男だった。
思いがけない悲劇が誓たちを襲う。
一応ミステリー仕立てなのですが、私はロードレースのすばらしさを感じるだけで満足してしまいました。
美学と言ってもいいぐらいです。
ジェフリー・ディーヴァー 『ロードサイド・クロス』 ― 2010/11/11

『スリーピング・ドール』に引き続き、カリフォルニア州捜査局捜査官で尋問の天才、キャサリン・ダンスの活躍するシリーズ第二弾です。
ハイウェイに不気味な十字架が突き立てられていました。そこにはある日付が書かれていました。
その日付の日、十七歳のタミーが拉致され、車のトランクに入れられ、浜辺に放置され、溺死しそうになりました。
ダンスがタミーに拉致犯の身元を知ろうと質問すると、嘘をついていることがわかります。
次に誰かが自分と同じように襲われるのではないかと心配しているようです。
調べてみると、タミーはあるブログで、[運転手]を中傷するコメントを書いていました。
[運転手]とは、高校生たちのパーティからの帰り道で、二人の少女が死んだという自動車事故が起きた時に、その自動車を運転していた少年のことです。彼はそのことで逮捕されていませんでした。
ブログには[運転手]を誹謗中傷するコメントがたくさん書かれていました。
この[運転手]がタミーの拉致犯で、彼をブログ上でけなした人たちに復讐を企てているのでしょうか。
ダンスたちは[運転手]をつきとめるのと共に、コメントを書いた人物を特定し、注意を促すことにします。
さてさて、ディーヴァーですから、いくつもどんでんがえしがあります。
前回のリンカーン・ライム・シリーズでもネット社会の恐怖を描いていましたが、今回も陰湿なネット上のいじめを扱っています。
何気なく書いたコメントでも、ひとたび文字になってしまうと一人歩きをしてしまいます。顔が見えないからこその恐ろしさを感じます。
ネットゲームも出てきますが、仮想世界が現実と同じような働きをしているということにびっくりしました。
ゲーム上で、日本の人がシベリアの人(どこでもいいんだけれど)と戦っている可能性があるということで、遠いようで狭い世界になりましたね。
それがいいんだか悪いんだか、わからなくなってきました。
とにかくブログ上には自分を特定されるような情報は載せないということを心がけなくてはと思いました。
今回はダンスの人柄にとっても興味が湧きました。
母親が安楽死を幇助したとして逮捕され、微妙な母親との関係が見え隠れします。
そして、同僚の刑事オニールとの関係。
二人でいると心地いいけれど、オニールには妻がいて・・・。
いくら人が何を考えているかがわかるダンスでも、自分のことはわからないんですね。
ちょっと安心しました。
ダンスのシリーズも続きそうです。
「ゴッホ展」@国立新美術館 ― 2010/11/12
ゴッホ展に行ってきました。
といいたいのですが、チラッとゴッホの絵を遠巻きに見て帰ってきたと言った方がいいですねぇ。
乃木坂駅を降りたところから、いつもより人が多いような、嫌~な感じがしました。
切符売り場には長い列が・・・。
入るのに並びはしませんでしたが、入ると絵に群がる沢山の人々がいました。
こりゃあ、いけません。
「日本美術応援団」団員、赤瀬川原平さんが、どこかの本で美術展を見るときは流して見ると言っていましたが、そんな感じになってしまいました。
こんなに絵が好きな人がいるのだろうか?
といつも感じる疑問を持ちつつ、会場を通り過ぎていく私でした、笑。
売店もすごい人です。
美術展限定品を買う人が多いと話している人がいましたが、私は買う気力も起こらず、通り過ぎました。
カフェに行っても、テーブルは空いていません。
ゴッホ展に行きそびれた人、もう行かない方がいいでしょう。
人ごみが気にならないのなら、別に行ってもいいですが・・・。
流し見で印象に残った絵の一部を紹介しますね。
まず、ゴッホの自画像で出迎えられます。
といいたいのですが、チラッとゴッホの絵を遠巻きに見て帰ってきたと言った方がいいですねぇ。
乃木坂駅を降りたところから、いつもより人が多いような、嫌~な感じがしました。
切符売り場には長い列が・・・。
入るのに並びはしませんでしたが、入ると絵に群がる沢山の人々がいました。
こりゃあ、いけません。
「日本美術応援団」団員、赤瀬川原平さんが、どこかの本で美術展を見るときは流して見ると言っていましたが、そんな感じになってしまいました。
こんなに絵が好きな人がいるのだろうか?
といつも感じる疑問を持ちつつ、会場を通り過ぎていく私でした、笑。
売店もすごい人です。
美術展限定品を買う人が多いと話している人がいましたが、私は買う気力も起こらず、通り過ぎました。
カフェに行っても、テーブルは空いていません。
ゴッホ展に行きそびれた人、もう行かない方がいいでしょう。
人ごみが気にならないのなら、別に行ってもいいですが・・・。
流し見で印象に残った絵の一部を紹介しますね。
まず、ゴッホの自画像で出迎えられます。

描きかけのようですが、いい絵です。後で油絵の自画像(↓)もありましたが、こちら(↑)の方が好きです。

オランダ、アムステルダムにあるファン・ゴッホ美術館からの貸し出しが多いかと思っていたのですが、目にとまる絵はクレラー=ミュラー美術館からのでした。
ファン・ゴッホ美術館に行ったことのある私にはありがたかったです。
ファン・ゴッホ美術館では、私はゴッホの描く、生き生きとした花に引き付けられました。
今回の美術展では彼の描く自然と風景画に引き付けられました。
モネやシスレーなどと一緒に飾られていた「ヒバリの飛び立つ麦畑」などはキラキラとした光が美しく、まるで印象派です。
1886年2月にパリに移住した時の絵です。
ファン・ゴッホ美術館では、私はゴッホの描く、生き生きとした花に引き付けられました。
今回の美術展では彼の描く自然と風景画に引き付けられました。
モネやシスレーなどと一緒に飾られていた「ヒバリの飛び立つ麦畑」などはキラキラとした光が美しく、まるで印象派です。
1886年2月にパリに移住した時の絵です。

1887年 「ヒバリの飛び立つ麦畑」
この頃、ゴッホはパリにいて、健康的な絵を描いていたのですね。
1888年2月にアルルへゴッホは移ります。
10月から12月の9週間、ゴーギャンと過ごしました。
「ゴーギャンの椅子」という絵がありました。ゴーギャンがゴッホの元を去った後に描かれたようです。
一体ゴッホはどういう気持ちで、この絵を描いたのでしょうか。
彼の気持ちを考えるとせつなくなってきます。(だから私はゴーギャンが好きになれないのですが)
まあ、ゴッホと一緒に暮らしていける人はめったにいないのでしょうが・・・。
この頃、ゴッホはパリにいて、健康的な絵を描いていたのですね。
1888年2月にアルルへゴッホは移ります。
10月から12月の9週間、ゴーギャンと過ごしました。
「ゴーギャンの椅子」という絵がありました。ゴーギャンがゴッホの元を去った後に描かれたようです。
一体ゴッホはどういう気持ちで、この絵を描いたのでしょうか。
彼の気持ちを考えるとせつなくなってきます。(だから私はゴーギャンが好きになれないのですが)
まあ、ゴッホと一緒に暮らしていける人はめったにいないのでしょうが・・・。

1888年 「ゴーギャンの椅子」
1889年から1890年にかけてサン=レミ療養院で過ごしたゴッホの描く風景画は、静謐な美しさに満ちています。生の謳歌を感じます。

1889年 「サン=レミの療養院の庭」
気になったのが、額。
他の画家の額のように金ぴかだったり、装飾的ではないのです。
シンプルなすっきりしたデザインの木の額でした。
クレラー=ミュラー美術館がゴッホのために作った額なのでしょうか。
もっと人が少なかったらよかったのにと思わずにはいられません。
やっぱりゴッホはオランダで見るべきなのかもしれませんね。
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