南杏子 『ブラックウェルに憧れて』2020/08/16

某医科大学入試で、女子学生が何年にも渡って差別的取り扱いをされていたというニュースがあったのはいつだったでしょう?
それまでは大学入試は純粋に点数で合否が決まっているんだと思っていましたし、命を扱う医科大学でということにショックを受けました。
あれから入試は是正されたのでしょうか?


題名の「ブラックウェル」とは、アメリカで初めて医学校を卒業した女性です。
エリザベス・ブラックウェル(1821-1919)はイギリスのブリストルに生まれ、11歳の時にアメリカに移住します。
ブラックウェル家は熱心なクエーカー教徒で、男女の差別を嫌い、奴隷制に反対だったそうです。
教師として家族の生活を支えるために働いていた24歳の時に、子宮癌の友人が彼女にこう言いました。
「女性のお医者さんがいたら、恥ずかしい思いをしなくてすんだかもしれない」
「なぜ、あなたは医学を勉強しないの?」
この言葉を聞き、ブラックウェルは医師になることを決意します。
12の医学校に手紙を出しますが、ことごとく入学を拒否されますが、ただ1校、ニューヨーク州のジェネルヴァ医学校だけが彼女を受け入れてくれました。
しかし、入学してからも男女差別の壁が立ちはだかります。
1849年に首席で学位をえて卒業しますが、アメリカの病院は彼女を採用してくれませんでした。
仕方なくパリの産院で修行しますが、眼病で右目を失明し、外科医の道はたたれます。
それでもブラックウェルは諦めませんでした。
NYで診療所を開き、女性だけで運営する病院を開院し、女性医師養成学校を設立していきます。
(詳しくはこちらを参考にしてください)

ブラックウェルの意思は受け継がれ、沢山の女性医師が誕生しています。
彼女が受けた男女差別はもはや昔のことでしょうか?

2018年8月、中央医科大学の解剖学教室の教授・城之内泰子の元に『月刊証言者』の記者・原口久和がやってきます。
彼は「長年に渡る女性差別が露見した中で、医学部に入学し、卒業して医師となった女学生たちが、どのようなキャリアプランを掲げ、どのような思いで医療の道に踏み出し、それぞれに闘っているのか」を書きたいので、城之内自身のキャリアに関する話を取材したい。そして卒業生も紹介して欲しいというのです。
城之内は教授になって初めて解剖学実習を受け持った、4人の卒業生を紹介します。
解剖実習の班編制は成績順に決められますが、女性が班に2人になると、男性3人に女性1人となるように操作されていました。
城之内はそういう操作を行わないことにし、その結果として女性だけ4人の班ができました。
女性だけの班を止めるようにと言う圧力がかかりましたが、城之内は自分の辞任をかけて、突っぱねます。
そこには彼女の深い後悔の念があったのです。

長谷川仁美は眼科医になりました。
白内障の手術なら外科手術班の誰にも負けないという自信があります。
次の白内障オペチームのリーダーに自分が選ばれると思っていました。
しかし、思ってもみなかった人が選ばれます。
そしてその後、陰湿ないじめが起こり、彼女は自分のキャリアの変更まで考え始めます。

仁美の話を読んでいるとあまりにも辛くて、途中で読むのを止めて、一息ついてからまた読み始めました。
女性であるというだけでコミュニティーから外され、生理休暇を取るから、少しぐらいオペが上手くても、一回やらせれば手技を教えてもらえるし、いい加減、嫁にいけば・・・。
こういう言葉が心に刺さってきます。
南さんは医師ですから、こういうことを男性医師が実際に言う様々な場面に出会ってきたのでしょうね。
知性と品性は比例しないんですね。

板東早紀は検診医。
かつて母校の病院で循環器内科医として働いてきました。
学生だった頃に出産し、シングルマザーとして父の助けを借り、なんとか働いてきましたが、無理だと悟り、キャリアを捨てました。
市中病院の勤務医をした後、認知症の父の介護のためにアルバイトの検診医となったのです。
父の症状は進み、徘徊、妄想、失禁・・・と大変な毎日です。

椎名涼子は救急救命医でしたが、仕事中に倒れ、閑職に追いやられていました。
そんな彼女に持ちかけられたのが、エスコートドクター。
外務省医務官だった父親の都合で、海外滞在経験があったからです。
私生活では麻酔科医の夫は家を出ていき、離婚届を送ってきました。
まだ夫に未練があります。
エスコートドクターとして関わった人に言われた言葉に救われます。

安蘭恵子はNICU(新生児集中治療室)で働く小児科医。
限られた人数で24時間ケアをしており、ナースもドクターも限界の状態です。
彼女には夫と一人娘がいます。夫は脱サラし、自然派農場経営に手を出しますが、上手くいっていません。
そんな時に、体に異変が起こります。

医師になろうと思う人には真面目な人が多いと思います。
地道に勉強し続けるというのは真面目さが必要ですもの。
おまけに女性医師は仕事の過酷さの他に、職場や家庭での女性差別にも対処していかなければならないのですもの。
女性医師には優秀な人が多いと思っていましたが、艱難辛苦を乗り越える力があるからでしょうか。

まだまだ女性差別のなくならない日本社会ですが、働いている女性たちの一人一人がブラックウェルのようにあきらめずに、次の世代のために働き続けていってもらいたいです。

本の中で城之内教授が言っています。
「人間の脳には、男性脳も女性脳もないというのが解剖学の最新の知見」だと。
脳には性差がない、あるのは個人差だけ。
そう思うと、男はとか女はとか言うのが馬鹿らしくなりますね。
思い込みやステレオタイプの偏見を捨て、人間として生き易い社会を作っていくことができればと思います。

「もし社会が女性の自由な成長を認めないなら、社会の方が変わるべきなのです」

ブラックウェルのこの言葉を噛みしめながら、共に歩んでいきましょう。

M.C.Beaton 『Agatha Raisin and Love, Lies and Liquor』2020/07/23

シャープマスク、来ました。


50枚、こんなかわいい箱に入っています。


中を開けると25枚ずつ2つに包装されています。
右下にSHARPとロゴが入っています。
コロナ感染が広まっている現在、こういう日本製のマスクが買えて嬉しいです。
なにしろ安全ですものね。

順調に読み進んでいるアガサ・レーズン・シリーズの17作目です。


前作の最後に現れたのは、そうです、アガサの思い人のジェームズです。
とうとう夢の中でしか会えなかった彼がやってきて、アガサを休暇に行かないかと誘ってきたのです。
舞い上がっているアガサに友達のミセス・ブロクスビーは言います。
休暇はあなたの思うようなロマンチックものではなくて、ジェームズがしたいと思う休暇なのよと。
それを聞いてアガサは怒ってしまいます。
ミセス・グロクスビーの忠告にもかかわらず、アガサはロマンチックな海辺の休暇を期待し、それに合った服を買いまくります。

ジェームズがアガサを連れて行ったのは、彼が幼い頃に訪れたことのある、思い出の地、Snoth-on-Seaという海辺の町でしたが、今や昔の面影はありません。
天気は最悪、寒くて雨まで降っています。波まで荒いので、おちおち浜辺の散歩もできません。
泊まった海辺の近くのホテルは昔はよかったのでしょうが、今や町と同じように寂れています。
これだけでもガッカリなのに、ジェームズとは別の部屋に泊まるんですよ。
一体何のための休暇なんでしょうね。

夕食でレストランに行くと人影もまばらで、アガサがどんな人がいるかと見ていると変な女に絡まれます。
まずい料理を食べていると、先ほど言い合いになった女の息子が来て、母はハネムーンに来ていたのにアガサのせいで台無しになったと因縁をつけてきます。
その次の日、絡んできた女、Geraldine Jankersが浜辺で遺体となって見つかります。彼女はアガサのなくしたスカーフで首を絞められていました。
アガサは容疑者として警察で取り調べを受けることになります。

自分の無実を証明するために、アガサは探偵事務所のパトリックとハリーを呼び寄せ、ホテルにいた人たち―夫のMr Jankers、息子のWayne Weldonと妻のChelsea、家族の友達のMr Cyril Hammondと妻のDawn―と話をすることにします。
その中でアガサがレストランで落としたスカーフをGeraldineが拾い、がめていたことがわかり、アガサの無実は証明されました。

しかしまたまたアガサの悪い癖が出てしまいます。
誰がGeraldineを殺したのかを自分で解決したくなったのです。
ジェームズはそんなことは警察に任せて、すぐにこの町を出て、フェリーでフランスに渡り、車で地中海に行って休暇をやり直そうと言いますが、アガサは残って犯人を捜すと言い張ります。
言い合いをしているうちに初めてアガサは自分本位のジェームズの本当の姿に気づき始めます。
結局ジェームズは一人でホテルを出て、B&Bをやっているマルセイユの友人のところに行くことにします。
アガサにはハガキを出し、マルセイユの住所を書き、彼女が喜んでやってくるのを待とうと思ったのです。
しかし、アガサはやって来ません。
ジェームズはマルセイユでも楽しめず、Carselyに戻りますが、何故アガサが来ないのか、その理由が全くわかりません。
よくある話ですが、女が男を崇めていると、男はそれが当たり前になり、いい気になって女をないがしろにし、そのうち女がそんな男に愛想を尽かし、去ろうとする。そうすると男が話が違うではないかと怒って大変なことになる・・・。
ジェームズは暴力的ではないのでいいのですけどね。

そんな頃、気ままなチャールズがCarselyにやってきます。
いるはずのアガサがいないので、ミセス・ブロクスビーにどこに行ったのか聞きに行きます。
不思議なのは、ジェームズのことをよく思っていないミセス・ブロクスビーが、チャールズもアガサにひどいことをしているのに、彼のことは好きなのです。
今回もチャールズはやってくれます。
アガサに会いにSnoth-on-Seaまでわざわざ行ったのに、友人が叔母の屋敷に遊びにやって来たからと、彼女に精神的な助けが必要な時だったのにもかかわらず、叔母が病気だと嘘を言って、また彼女を置いて行ってしまうのです。そんな嘘もすぐにばれましたけどね。
とうとうアガサはチャールズに愛想が尽き、その後、冷たい態度を取りますが、チャールズはそれを面白なく思い、アガサに仕返しをしようとします。
そんなチャールズですが、神はいました。ちゃんと彼は罰を受けます。
今回も肉食女性のすごさに辟易しちゃいましたけどね(笑)。
これに懲りてチャールズはアガサのことを正当に扱うでしょうね(たぶん)。

男たちは相変わらずのクソ(失礼)ですが、ミセス・ブロクスビーは心からアガサのことを思ってくれています。
前回はアガサが断ったので泊まりに行かなかったのですが、今回はアガサの窮地なので、夫が何を言おうが自分の意思を通し、アガサに会いに来てくれます。
それだけではなく、容疑者に会ってどういう人物か見極めてくれるのです。
ひょっとして彼女も探偵事務所に入るのかしら?(そんなことはないと思うけど)
彼女のような友達なら欲しいわ。

その後、息子のWayneとその妻が殺され、Geraldineの元夫たちを探っていくうちに色々なことが判明し、アガサはますます捜査にのめり込み、前回以上に危ない目にあいます。
アガサは恋愛と危険の依存症ですね。
愛はもはや尽きそうですが、危険とはまだ離れられないようです。

ハリー君はケンブリッジ大学に進学するので、そろそろ仕事を辞めそうですが、今回も事件解決に結びつくいい仕事をしてくれました。
刑事のビルがあまり出てこなくて残念。
彼もアガサも、ついでにロイも愛には縁がなくて可哀想ですが、そのうちいい縁がやってくるでしょう?

読みやすい英語なので、スイスイ読んでいけます。
問題は語彙ですが、辞書を引かなくてもkindleでは単語を指で押さえるだけで意味が出てきますから、便利でいいです。
読み上げ操作もできるらしいのですが、使えていません。
どうやるのか、そのうち調べてみます。

馳星周 『少年と犬』2020/07/19

図書館に村上春樹の新刊『一人称単数』文藝春秋社をリクエストしたら、予約画面ではアップダイクの『一人称単数』新潮社になっていました。
アレ?村上春樹の久々の短編集で話題になっているのですが・・・?


第163回直木三十五賞受賞作品。
一般に直木賞と言われていますが、正式名称は直木三十五賞なのです。
ちなみに芥川賞は芥川龍之介賞です。
私はこの年になるまで正式名称を知りませんでした(恥)。

シェパードと和犬の血が混じっている犬が駐車場にいました。
中垣和正はその犬のことが気になり、飼い主が見つからないと保健所に連れられていくことを聞き、自分で飼うことにします。
首輪のタグから犬は多聞という名であることがわかります。
多聞を認知症の母親に会わせると、母は多聞をカイトと呼びかけ、一緒に散歩にまで出かけました。
多聞は賢い犬で、和正は彼を守り神だと思うまでになります。
しかし、気づくと多聞はいつも南の方角に顔を向けています。
南の方になにかあるのか?
震災で職を失った和正は母と姉のために犯罪に手を染めていきます。
多聞はそんな和正のことを知ってか知らずか、すぐには南に行かずに和正のそばにいますが・・・。

それから多聞は様々な人たちに拾われます。
スラム育ちの強盗、男を殺した風俗嬢、心が離れた夫婦、末期癌の老人、そして震災で声を失った少年・・・。
釜石から熊本まで。
震災で飼い主を失った彼が目指すのはどこなのか。

犬は人間と一番近いペットかもしれませんね。
心が通いそうと思える何かがありますもの。
でも、多聞は守り神というよりも、死に神、は言い過ぎか、災いを招くもののような気がします。
だってねぇ・・・。(本を読むとわかります)
馳さんがハードボイルド作家だからかもしれませんが。

うちの犬たちはおバカなので、多聞のようにはなれませんわ。


「ママ、何か?僕たちは美味しいご飯をくれる人に着いていきます」

残念ながら読んでも感動はしませんでした。
私の読書傾向と賞とは合わないようです(笑)。

M.C.Beaton 『Agatha Raisin and the Deadly Dance』"2020/07/16

嬉しいことがありました。
あのシャープのマスクの当選メールが来たのです。
なかなか当たらないという噂だったのですが、うちが当たったということは、もうマスクはいらないという人が増えたからということですかね。
今になると三千円もするマスクは高いですが、記念に買っておきますわ。


アガサ・レーズン・シリーズは来年まで刊行されないということで、仕方なく英語で読んでみました。
アガサ、絶体絶命!

休暇でパリに行ったアガサはスリにあい、警察とのやり取りに頭にきて、さっさとイギリスに帰ってきてしまいました。
彼女の悪いところ(良いところ?)はカッとなるととんでもないことをやらかしてしまうことです。
警察よりも私の方が捜査はお手のものよ、と探偵事務所を開いてしまったのです。
なかなかよい秘書候補が現れずヤキモキしていた時に、アガサの家の隣に引っ越してきた67歳、未亡人のEmma Confreyがやって来ます。
彼女はなかなか図々しい性格のようで、面接中に猫を探してもらいに人がやって来たのをいいことに、その猫を探せたら雇うとアガサに約束させてしまいます。
その後、猫探しが上手くいったもんだから、しぶしぶアガサはエマを採用しますが、このことが後からとんでもないことになります。

猫の捜索や浮気捜査などに飽き飽きしていた頃、アガサの探偵事務所に友人のサー・チャールズ・フレイスから紹介されたというMrs Laggat-Brownがやって来ます。
明日の娘の21歳の誕生日パーティで婚約発表をする予定なのに、結婚すると殺害するぞという脅迫の手紙が来たと言うのです。
パーティに出席して怪しい者を捜してもらいたいと依頼されたので、アガサとエマはパーティに行きます。
花火が上がった時に、アガサは屋敷の窓から銃が発射されるのを見て、Mrs
 Laggat-Brownと娘、婚約者の三人をプールに突き落として助けました。
それなのにMrs Laggat-Brownはアガサがパーティを台無しにしたとカンカンになって怒ってしまいます。
しかし、アガサの友人でミルセスター警察の部長刑事・ビル・ウォンはアガサの言うことを信じ、銃が発射されたと見られる部屋を調べ、彼女が正しかったことを証明してくれました。
そのおかげでアガサは調査を続けられることになります。

アガサは50代前半、エマは60代後半ですが、イギリスの女性ってそんなに愛情に飢えているのかしら?
チャールズがエマをランチに2回誘っただけなのに、エマはその気になってしまうんですよ。チャールズは40代だったと思うけど、彼に対しストーカーまがいのことをやっちゃうんですから。
アガサの元同僚のロイなんかは30代なのに、エマは彼と私は恋人同士に見えるかしらなんて思ったりするんです。
エマもアガサのように結婚生活が不幸だったからかしら?
とにかくエマのアガサへの敵対心や上手くいかないのはすべてアガサのせいにするということには驚くばかりです。
エマは危ない人ですね。

可哀想だったのがアガサです。
命を狙われ、誰かそばにいて欲しい時に、牧師の妻のミセス・ブロクスビーが電話をしてきて泊まりにいくわと言ってくれたのに、アガサのことが嫌いな彼女の夫がそばで文句を言うのを聞き、アガサは大丈夫だからと断るんです。
牧師なのに、人が助けが必要だというのに、好き嫌いで行動していいのかしら?
このアガサの遠慮して素直に人の助けを求められないところが、幸せを逃してしまう原因じゃないかしら。
真の友はミセス・ブロクスビー。彼女の言うことを素直に聞こうよ、アガサ。

エピローグのクリスマスパーティは笑わせてくれました。
アガサは手柄をすべて自分のものにして、手伝ってくれた友人のチャールズとロイをないがしろにしたため、彼らを怒らせてしまいました。
やっぱり友人がいないのは淋しいと思ったアガサは仲直りをしたいのですが、なかなか機会がありません。
ミセス・ブロクスビーに相談したところ、クリスマスパーティを開くように勧められます。
クリスマス料理なんて作ったこともないくせに、ミセス・ブロクスビーの手伝いを断って、自分で料理をすることにします。
こういう所がアガサの悪いところですね。
さすがチャールズはアガサのことをよ~く知っていますから、用意がよかったですけど(笑)。
もちろん散々なパーティになりました。
エピローグを読むだけでも読んだかいがあったというもんです。

このままシリーズを読み進んで行けそうです。

中山七里 『ヒポクラテスの試練』2020/07/10

法医学ミステリー、ヒポクラテス・シリーズの第三弾。
10周年記念・12ヶ月連続刊行の6月の本です。
2月と3月の本は図書館の予約待ちです。


浦和医大法医学教室に城都大付属病院の内科医・南条がやって来た。
前日に搬送された前都議会議員の権藤の死に問題がありそうなので、解剖を引き受けてくれないかというのだ。
権藤は9ヶ月前に受けた健康診断では何も問題がなかったのに、肝臓がんで急死したという。
死因に疑問があるということで、浦和医大法医学教室の教授・光崎藤治郎は急遽埼玉県警の刑事・古手川を呼びつけ捜査をさせる。
権藤の甥が事故米を使って毒殺を目論んだ証拠があがるが、解剖してみると死因は肝臓がんではなく、思わぬ感染症だった。
パンデミックの可能性があり、感染源を突き止めなければならない。

その5日後、同じ症状の患者が見つかるが、問い合わせをした前日に亡くなっていた。
この患者は都庁の職員で権藤とは関係がなさそうだった。
しかし、調べて行くと、何年か前に二人はアメリカへ視察旅行に行っていたことがわかる。
二人に同行した五人も判明したのだが、彼らは硬い口を開こうとはしない。
一体アメリカで何があったのか。

浦和医大法医学教室の新米助教・栂野真琴と准教授のイタリア系アメリカ人のキャッシーはアメリカに渡り、視察団が訪れたニューヨーク市検死局の助けを借り、感染源を探っていく。

今回は光崎教授が流石でした。医師とはこうあってもらいたいものです。
しかし、議員たちはクソッタレでした。日本の恥。なかなか口を割らないのもうなずけます。
視察団が行った場所のことを書いたら某国から難癖をつけられるのではないかと心配でしたが、杞憂でした。驚いたことに、本当にそんな場所があったんですね。
そこがNY市警に摘発されたという報道があったはずですが、全く覚えていません。
作家ってこういうことも覚えておいて、いつか使おうと思っているのかしら?

現代社会の病巣を描く、なかなかグロな内容でした。


<今日のわんこ>


マフィンを食べていると「ママちゃん、自分ばかり美味しいもの食べてないで、僕にもください」と兄犬が言ってきました。

兄犬はシニア用餌を食べなくなったので、半分、弟用の療養食を混ぜています。
弟の餌の方が美味しそうだと思ったのでしょう。
この頃はちゅーるをつけないと食べません。口の奢った犬です。


「ママ、僕は餌は何でも食べます。良い子だと褒めてください」
「ハイハイ、良い子ねぇ。足におしっこをつけないと、もっと良い子なんだけどねぇ」
「ママ、そういう褒め方は子供のやる気をそぎます。やめましょう」
弟に怒られてしまいました(恥)。

トリミングに行く2020/06/20

犬たちの毛が伸びすぎで、特に顔がひどいことになっています。


弟犬はおじいさん風になっています。
夫が午前中仕事に出かけたので、私一人でトリミングに二匹を連れていかなければならなくなりました。
二匹を一緒にリードで連れていくのは大変なので、カートを利用することにしました。
カートに乗せると、兄犬は何故か吠え続け、弟犬はカートから乗り出して落ちそうになります。
暑いかもしれないけれど、チャックをしめて閉じ込めました。
いつも乗せていないので慣れていないのね(汗)。

トリミングのお店でカートを預かってくれたので、帰りにパン屋に寄りました。
三ヶ月(?)ぶりのパンです♫
小さなお店なので、店の中には3人までしか入れません。
私の後に来たのは母娘二人。最初に母親が入って来たのですが、その後、娘が入ってきて話を始めました。
店主さんの視線が二人に突き刺さります。ここの店主さん、恐いんです。
お金を払ったら、「そこの右側でお待ちください」と言われたと思ったので、前の女性が待っていたところに行こうとすると、「外で待ってて下さい」と言われ、「そこ」ではなく「外」と言われたのだと気づきました(恥)。


ついつい沢山買ってしまいました。昼とおやつと明日の朝用です。(結局夫に食べられてしまい、朝食用はなくなりました)
久しぶりのエビカツサンドは美味しかったです。

トリミングのお店まで犬たちをお迎えにいきました。
カートに弟を先に入れると、後から兄は乗ろうとはしません。
弟が嫌いなのよね(笑)。弟はしつこく兄に絡んでくるんですもの。
5月に7月分の予約をしようとしたら一ヶ月先の予約しかできなくなったと言われたのに、今日二ヶ月先まで予約できると掲示されていました。
聞いてみると3日前に決まったそうです。
7月の予約をしようとしたらいっぱいで、二匹同時にできるのは8月までありません。
暑い最中、またボサボサのままでいなければならないようです。

トリミング後の兄。


いつもはぐったりしているのに、元気そうです。


玄関から部屋に連れて行こうと左側に兄、右側に弟を抱こうとすると、弟も左側に来てしまい大変でした。
左側が好きなのかしら?


新しいベッドでくつろぐ兄。


目やには少なくなったのですが、お口周りが汚いですね。
二匹共に元気そうだったのですが、こっそり覗いてみると・・・。


おねむでした。
この後、私に覗かれたのが嫌だったらしく・・・。


中に潜り込んでいました。
今日新しいベッドを買って置いておいたのですが、潜り込めないのがいやみたいで無視されたので、兄のお古を置いてみました。
そうすると早速その上で寝ていました。
結局新しいベッドは兄の元へ。兄は誕生日プレゼントに引き続き新しいベッドを手にいれました。


でも一番落ち着くのがキャリーのハウスのようです。

兄犬、8歳になる2020/06/12



兄犬が八歳になりました。人間では48歳前後です。
いつまでたっても幼く見えますが、立派な中年です。
7歳を過ぎた頃から寝ている時間が増えました。
グルメなので、餌がまずかったり、お腹がいっぱいだったりすると食べません。
散歩の時だけ元気です。

小さい時の写真がありました。


高い所に登るのが好きで、こういう風に小屋の屋根によく登っていました。


ボール遊びもしましたが、3歳を過ぎた頃からあまりしなくなりました。
モコモコでかわいいですね。


檻が嫌いらしく、いつも囓っていました。
私が仕事で日中いなかったので、寂しかったからかもしれません。


トリミングに行っていたのですが、いつもボサボサでした。
尻尾以外は今と同じですね。
小型犬は15歳ぐらいまで生きるそうなので、後7年。
一緒に楽しく暮らしていきます。

そういえば人間の赤ちゃんは6ヶ月でHalf Birthdayというものをやるそうですね。知りませんでした。
甥が送ってきた写真です。


男女の二卵性双生児です。
二人も世話をするのが大変そうです。
この前、お食い初めをしたそうで、立派な鯛のお頭付きでした。

ついでに家族が新型コロナウイルスにかかり、病院やホテルに滞在することになったら、犬をどこに預けるのかを考えてみました。

①ペット保険会社のアニコムに預ける。
感染者と濃厚接触していない人が犬を施設まで運ばなければなりません。
頼める人を決めておかなければなりません。
せっかくいいプロジェクトなのですから、犬を引き取りに来るところからやって欲しいです。

②知人に預ける。
犬を飼ったことがあり預けることのできそうな私の知人は千葉県にいます。
アニコムと同じように千葉県まで犬を連れて行ってくれる人を探さなければなりません。
夫の元同僚は柴犬を飼っていて、いつも柴犬と一緒にキャンピングカーで旅行に行っています。
頼めば家まで来てくれそうです。

③ペットホテルを利用している獣医に預ける。
獣医さんに聞いていませんが、ペットホテルで預かってくれそうです。

最初は獣医さんにペットホテルで預かってくれないかを聞き、駄目なら、夫の元同僚に犬をアニコムの施設まで運んでくれないか頼むというのが現実的ですね。


いつまでも元気でいて欲しいです。

みお 『極彩色の食卓 カルテットキッチン』2020/05/29



ちょっとボケていますが、弟犬がボールをくわえて走る写真です。
兄犬はポンポン弾むように走りますが、弟はもともとネズミを狩る犬なので、地面を流れるように走ります。
音に敏感で、暑くなり窓を開けていると色々な音が聞こえるので、吠えて五月蠅いことがあります。
特に二階の子供たちが走り回り、大声を出すのが気になるようです。(暗に迷惑と言ってますが)


カメラを向けるとポーズを取ってくれます。可愛く見えますが、困ったちゃんです。
獣医さんの薬のおかげで大腸炎も治ったようです。



『極彩色の食卓』の二作目。
親の期待の強さに潰され、自分の描く絵に絶望し、女から女へと渡り歩く生活を送っていた大島燕は、画家の律子に救われました。
彼女のアトリエに住み始めてから三年。
ふとした律子の言葉に触発され、音楽喫茶「カルテットキッチン」でアルバイトを始めます。

「カルテットキッチン」のバイト仲間は音楽高校に入学したばかりの桜。
彼女はピアニストを目指していましたが、ここ二週間ほど人前でピアノが弾けなくなっていました。
そんな桜に気づいた燕は律子に会う前の自分と桜の姿を重ね、そっと彼女を見守っていきます。
しかし、バイトも桜との出会いも偶然ではなかったのです。

前作では読むたびに色彩が溢れてくるような感じでしたが、今回は音です。
それにしても律子さんは不思議な魅力の人です。
彼女の過去を探ると色々とありそうです。

「私ね、空腹が一番嫌いなの。だってお腹が空くと寂しくて悲しいわ。
 だから、お腹が空いたらすぐご飯を食べることにしているの」

と言う律子さんの言葉は今一番必要なことを言い当てているように思います。
考えてもどうしようもないことは食べてから考えようってね。
希望はお腹がいっぱいの時に現れるものですものね。

「少年」から「青年」になった燕は次にいよいよ旅立つのでしょうか。

やっと噂のマスクが届く2020/05/27

巷の噂では小さいと言われている例のマスクが届きました。
住所などは書かれていないので郵便局員の方が一家族ごとにポストに入れていくのですね。
ご苦労様です。

さて、大きさを見てみましょう。


下のマスクは女性用の使い捨てマスクです。
縦の長さが布マスクの方があり、横の長さは使い捨てマスクの方がありますね。
寄付しようと思っているので取り出しませんが、触ってみると厚さはあります。
外から見ただけですが、汚れはないようです。

マスクをした総理大臣が画面に映るたびに情けなくなるのは私だけでしょうか。
奥さん、遊びに行く前に総理に布マスクを作ってあげてくださいと何度思ったことか、笑。
都知事のマスクは見るたびに違ったマスクで素敵です。
レースのマスクが私も欲しいわ。

自粛生活が終わったからと言うわけではないのですが、駅の方へ行ってみました。しばらくぶりに行った駅付近は自粛生活以前と同じように人が沢山いました。
こんなに人がいるのなら外でもマスクはした方がいいでしょうね。
もし感染していた場合を考え、人にうつさないようにすることが大事ですから。
暑いから、外だから、別にいいだろうと思う人(特に男性に多い)がいるようですが、他の人のことも考えましょうね。
マスクをしたくないならしなくていいですから、せめて人混みに行くのだけはやめてね。
私なんかメガネをかけているので、メガネが曇って大変です。
眼鏡屋で曇り止めを買おうとしたら、液体のは売り切れだそうです。(布製を持っていますが、効き目が今一です)
その上、顔が汗っかきなので、額とマスクの下は汗びっしょりでした(はずかしい)。
それでも我慢してマスクをします。
真夏になったらどうしましょう・・・。


「ママちゃん、夏になっても仕事しないでしょ。僕たちとクーラーの効いた部屋でまったりしましょうよ」
とつぶらな瞳でお願いされたら、ママはお仕事できないわ(嘘)。
パパのために冷感マスクを買わなくては。

読んだ漫画2020/05/23

10万円の給付金の郵送申請書類が届きましたけど、マスクはまだです。
マスクは出回っているのでもういらないです。その分のお金を別のところに回せないのかしら?


大腸炎の弟犬ですが、元気にワンワン吠えています。
ご飯にすり鉢ですった薬を混ぜ、上にちゅーるをのせてごまかしています。
そうするとご飯を残すようになりました。薬が苦いのでしょうね。
「ご飯がまずいのですが・・・」と訴えるような目で見てきます(笑)。
ご飯を取り上げようとすると、取られてはいけないと食べます。おなかは空いているようです。
ありがたいことに薬のおかげで●んちが硬くなっています。



小池田マヤ 『放浪の家政婦』、『ピリ辛な家政婦さん』
      『誰そ彼の家政婦さん』『颯爽な家政婦さん』
      『波飛沫せし家政婦さん』
家政婦さんシリーズ。
家政婦の里さんは身長が185センチ、顔はどちらかと言えばブスより。
でも家政婦としてはSランク。料理も洗濯も掃除も誰よりも完璧。
そして、仕事で関わった家族の問題を颯爽と解決していきます。
いけないことは何故かもててしまい、ついついお客様と体の関係を持ってしまうことです。
里さん、いいです。

小池田マヤ 『女と猫は呼ばない時にやってくる』
絵が上手いのか下手なのか?主人公の顔が今一。

関西から東京に転勤になった平理砂子はなかなか名前をちゃんと呼んでもらえません。「平 理砂子」なのに「平理 砂子」と読まれるのです。(ちょっと無理があるような気がしますけど)
みんなにはヒラリーと呼ばれています。
彼女の趣味は猫を見かけると詩を読むこと。このため猫嫌いだと勘違いされています。
高円寺に引越しをしてきたのですが、そこにあるサラダとお酒のお店のお客と知り合いになってしまいます。あまり深入りはしないつもりだったのですが、あまりにも個性的な人たちだったため・・・。

続きがあるようなので、読んで見る予定です。

Cuvie 『絢爛たるグランドセーヌ 15』
奏は一年間の予定で英国ロイヤル・バレエ・スクールへ。
寮は4人部屋ですが、上手く馴染むことができるのか。

取材をして描いているのでしょうね。
一日中、バレエに集中できるという環境がうらやましいです。
いつになったらバレエを舞台で見ることができるのでしょうか。

小山田いく 『風の宿 1~8』
東京で獣医として働いていた一成は雇い主を殴ってしまい、病院にはいられなくなり、信州の叔父夫妻の家で間借りして動物病院を営むことにします。
一成は逃げた妻の連れ子、諷子を育てていました。
やがて諷子も信州の自然と叔父夫婦、周りの人々の優しさにふれ、たくましく育っていきます。

小山田いく 『衆楽苑 1~3』
衆楽苑は上野駅横にある昭和3年創業の大衆食堂。
沢山の人々が上野駅に降り立ち、衆楽苑で食事をしました。
そんな衆楽苑に色々な思いを抱き訪れる人々がいました。

新幹線がなかった頃、上野駅は東北地方から来る汽車の終着駅でした。
夢を抱き、東京へと来た人がいたでしょうし、夢破れて故郷に帰った人もいたでしょう。
そんな頃をしらない私でも懐かし思いのする漫画です。

ツトム 『おじさんはカワイイものがお好き 1』
40歳バツイチのイケメン小路課長は実はカワイイキャラクターが好き。
部下たちにはもちろん秘密。しかし、それがバレそうに・・・。

猫好きのおじさんだったら好きだけど、キャラクター好きだったら私も引いてしまいそう。
パグ太郎そんなにかわいいかなぁ?