重松清 『幼な子われらに生まれ』2006/02/14

アメリカでは当たり前になっている、ステップファミリーを描いた作品です。

互いに離婚を経験し結婚した夫婦がいました。
一見幸せにくらしていたのだけれど、彼らの間に子供ができたことによりいろいろな行き違いが起こります。
その出来事を、父親の立場から書いた小説です。

父親には一緒にくらしていない娘がいて、その娘は誰でもかわいいと思う子。
年に4回会うことを楽しみにしています。
母親には二人娘がいて、その子ども達を連れて結婚しました。
上の子は前の父親を覚えていて、いつも斜に構えていて、かわいげのない子。
母親が妊娠したことから、自分の本当の父親に会いたい、もうあなたをパパとは思わないと言い出します。
下の子は小さすぎて、前の父親を覚えていないため、主人公を本当の父親だと思いなついています。

家族になるとはどういうことなのでしょう。
全く家庭環境の違うものでも、一緒に生活していくうちに、家族になれるのでしょうか。
血のつながりがなくたって、家族に慣れるだろうと思うのは、甘いのでしょうか。

息子が生まれたときに、父親は思います。
『幸せとは、一番近くにいる人を一番好きでいられることで、遠く離れてしまった人に「お帰り」と言えることで、助けを求められたらいつでもどこへでも駆けつけられること』だと。

父親になるとは、結構辛いことなのね、と思えるほど、主人公の気持ちが伝わってくる小説です。

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