堂場瞬一 『棘の街』2009/11/10

私はあまり日本のミステリーを読まないのですが、今回は相棒がおもしろそうに読んでいたのと、「やっぱり(日本の)警察物はいいよな」なんて言っていたので、読んでみることにしました。
ちなみに相棒は外国物のミステリーは読みません。その理由は、名前が覚えられないからだとか。

一匹狼の刑事上条は上司の反対にもかかわらず、故郷の町の北嶺署への異動を申し出ます。
彼には苦い過去があります。
一年前、自分が高校生時代に関係を持っていた朋絵の息子が誘拐されます。
身代金受け渡しに行った時、上条がミスをしてしまい犯人を捕らえられず、息子も見つかりませんでした。
上条は三日後担当を外されてしまいました。
それから誘拐事件は暗礁に乗り上げてしまい、動きがありませんでした。
しかし、二ヶ月前に遺体が見つかったのです。
上条にはこの誘拐事件が自分の事件だ、事件を解決するのは自分だという確信がありました。

北嶺は上条の故郷ですが、彼は大学に行くのに町を出て以来戻っていませんでした。
家に出張でいつもいなかった父親に対する恨みのようなものがあって、素直になれなかったのです。
その父親も亡くなり、家と父が晩年やっていたレストラン、銀色のポルシェが残されました。
家とレストランは売ろうと思ったのですが、父親の仲間達に反対されたので、そのまま残すことにし、レストランは父の古い友人に貸すことにします。

北嶺に異動してすぐにレストランに行った帰りに、上条は数人の若者が誰かを囲んでいるのに遭遇します。
暴力を振るっていた若者は逃げ、一人の少年が残されました。
その少年は頭を殴られており、記憶喪失になったらしく、名前も住所も思い出せません。
仕方なく、上条は少年をアキラと呼ぶことにして父の家に住まわせ、レストランの手伝いをさせることにします。
実は上条は結婚していたことがあります。
妻の美歩は子供を生んだ後、すぐに亡くなってしまい、生まれた子は妻の実家に取り上げられたのでした。
アキラはちょうど自分の息子と同い年ぐらいでした。

上条はどう事件を捜査していくのでしょうか。アキラは一体誰なのでしょうか。

警察物として読むと、こんなに個人プレイしてもいいのかしら、と思えます。
あまりにも同僚を馬鹿にし過ぎです。
日本の刑事にはパートナーがいないのでしょうか?
外国の警察物ではパートナーとの関係がおもしろいのですがね。

ミステリーとしてではなく、家族の、父と子の物語として読むといいかもしれません。