吉永南央 『その日まで』2012/11/19



コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の店主お草さんはライバル店の出現でちょっと憂鬱です。
というのも、このライバル店「つづら」の店主はことあるごとに「小蔵屋」を敵視するからです。
気にしないようにしているのですが、それでも色々な話は聞こえてきます。
「つづら」のやり方の汚さが、だんだんとわかってきます。
詐欺まがいの手口で土地や家屋を買いたたく業者グループがいて、どうもその一派が「つづら」の店主と繫がりがあるようなのです。
お草さんは調査に乗り出しますが・・・。

萩を揺らす雨』では老いの残酷さを感じる一方でお草さんの生き方にすがすがしさを感じました。しかし、この本では読んでいるうちに気分が悪くなってきます。人の邪悪さを見せつけられるからです。
いくら自分でまっとうに後ろ指をさされないように生きたとしても、それを邪魔する存在がでてくるのです。
それが人間社会なのさということは簡単ですが、それが嫌なら誰ともつき合わないようにして引き籠るしかないのでしょうね。
生きて行くという事はそういうもろもろの煩わしさを引き受けていくということなのでしょうね。