楱野なな恵 『卒業式』 ― 2020/04/05
昨日パパとママと一緒に犬の散歩に行ってきました。
パパとママが一緒だと、二匹一緒に散歩でき、嬉しそうな兄犬です。
散歩していていてびっくりしたのは、平日よりも人が多いことです。
都心には行けないので、家の外に出ている人が多いようです。
残念なことに桜は葉桜へと変わってしまったようです。
来年、憂いなく花見ができることを願っています。
楱野なな恵さんの描く主人公の女の子は群れることなく、自分が正しいと思ったことをきちんと表明し、行動する人です。
『卒業式』は四編からなる短編読み切り漫画集です。
その中で特に印象的な「卒業式」と「早春賦」を紹介しましょう。
(ネタばれあり)
「卒業式」
中学3年生の清良は地元を支配しているある一族に反旗を翻そうと画策していました。
学校にはその一族の教師がおり、校長よりも大きい顔をしており、式の時には校長を差し置いて彼が話をしています。
彼には嫌な噂があり、清良はその噂の真偽を突き止め、卒業式の答辞で暴露しようとしていたのです。
信じていた教師に裏切られたりしますが、清良はめげずに卒業式に臨みます。
長い物には巻かれろというのが大人の処世術というようなのが世の中の主流ですが、楱野さんはそうではないと言っています。
「早春賦」
自立した女性を輩出する学校からいつしかお嬢様学校になった高校に通っている桐原は周りと違和感を持ちながらも周りに合わせて行動しており、そういう自分を「カメレオン」と称しています。
この学校は母親の出身校でした。
特別講義では母も習っていた神尾先生が講義をしていましたが、理想を語る彼女の言葉は生徒には届いていませんでした。
生徒たちには「社会のしくみもその限界も見えてくるから 与えられたわくの中でいきること それについて何の疑問も持たないことが得だってわかってしまっている」のです。
清良はその「賢さ」に違和感を持っていたのです。
やがて神尾先生は一部の後援者からの受験に即した授業をやるべきだという声に屈していくことになります。
彼女は生徒たちに「誇りを持って生きよ」、「傷を受けても自分を貫きなさい」と教えたかったのです。
神尾先生を「先生という肩書を取ったらただのみじめなバーサン」と言う同級生に桐原はきっぱりといいます。「私は17才のババアをしってるもの」と。
この時が彼女がカメレオンから脱した時でした。
色々な年代の方に読んでもらいたいお勧めの漫画です。
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