長岡弘樹 『殺人者の白い檻』2022/10/25



尾木敦也は優秀な脳外科医。刑務所の横という特殊な立地にある総合病院に勤めている。
しかし医師の仕事の価値を信じることができなく、スランプに陥り、医師を辞めようとまで思い詰めていた。
休暇を取り、家でやさぐれていた時に、緊急手術の依頼が来る。
同じ病院の看護師で敦也が手術の時に常に機械出しを担当する妹の菜々穂がやって来たため行かざるを得なくなる。

患者は刑務所からくも膜下出血で搬送されてきた男だった。
いつものように患者の顔も名前も見ずに手術をした敦也だったが、手術中にその患者が六年前に父母を殺害して死刑を宣告された定永宗吾だということがわかる。
菜々緒はそのことを知っていたのだ。
手術は成功するが、定永に後遺症が残り、リハビリをすることになる。
敦也は定永の主治医となる。
実は定永は判決後も一貫して犯行を否認していた。
定永は本当に父母を殺害した犯人なのかと疑問を持つ敦也。
定永のリハビリが始まる。

定永が冤罪かどうかは推理するまでもなくわかってしまいます。
ミステリーとしては今一かな。
それにしても普通なら被害者家族に犯人の手術をさせないし、主治医にもしませんよね。
それに家族経営じゃないのに、兄妹がいっしょに働くかしら?
40過ぎの兄妹としては仲良すぎじゃない。(キモいかも…笑)
被害者家族として、そして医師としての敦也の苦悩や葛藤などをもっと深く掘り下げて書いてもよかったのではないかしら。
などと色々と言いたいことがありましたが、最後まで読まさせられたのは作者の力でしょう。

そうそう、参考になるなと思ったのが、「か行健康法」です。

「か」……カッカしない。
「き」…‥キにかけない。
「く」……クヨクヨしない。
「け」……ケンカをしない。
「こ」……コセコセしない。

ネットで調べてみると出てきなかったので、長岡さんが考えたのでしょうか?
意外と使える健康法だと思います。