読んだ時代小説三冊 ― 2023/02/03

馳月基矢 『友 蛇杖院かけだし診療録』
シリーズの三作目。
ある日、蛇杖院に北町奉行所の定町廻り同心の大沢振十郎が現れる。
怪しげな薬で騒ぎを起こしている黒い暖簾の正体が蛇杖院の蘭方医・鶴谷登志蔵であるという投げ文があり、その証として大沢は帳面を持っていた。
登志蔵は見習い医の長山瑞之助に右のまぶたのあたりにやけどの痕がある男を見かけたら、気を許すなと告げた後、姿を消す。
一体誰が登志蔵を陥れようとしているのか。
登志蔵の隠された過去に関係があるようだった。
瑞之助は少しずつではありますが、医師として成長しています。
今回、先輩医師の登志蔵の過去が明かされます。
それにしても男の男に対する嫉妬は酷いと聞いたことがありますが、これほどとは思いませんでした。恐ろしいです。
和田はつ子 『小雪ずし 料理人季蔵捕物控』
時は師走。塩梅屋では小雪寿司が評判になっている。
北町奉行の烏谷が季蔵のところにやって来る。
金江藩主の息女伽耶姫と清水川藩主の三男龍之介との縁談が持ち上がり、龍之介の女関係を糊塗とすることになった。
しかしその中でただ一人、女絵師の清原彩香だけは示談に応じなかった。
彼女と龍之介は男女の仲ではなかったからだという。
困ったことに龍之介は片思いゆえの下心が窺える代物を彩香に贈っているという。
今回の季蔵の密命は、その贈った物を取り戻すことだった。
次の日の早朝、季蔵は松次親分に起こされる。
浮世絵師の喜多見国麿の骸を検めて欲しいというのだ。
助っ人として来た疾風小僧によると、お奉行からのお役目と喜多見国麿殺しは関わりがあるという。
季蔵は疾風小僧と共に彩香の家に行き、季蔵に化けた疾風小僧が彩香に小雪ずしの作り方を教えている間に季蔵が屋敷内を調べることにする。
いつも思うのですが、料理ネタが長すぎます。
料理のことをほどほどにすると、事件がもっと際立つと思いますけど…。
坂井希久子 『ねじり梅 花暦居酒屋ぜんや』
年の瀬となると、押し込み強盗が多く現れる。
狙われたのが、熊吉の奉公する俵屋。
何者かが熊吉を名乗り、女中に潜り戸をあけてくれないかと告げた。
熊吉と若旦那は居酒屋ぜんやの女将・お妙の父がかつて売っていた薬をもとに作られた「龍気補養丹」を上方で売るために旅立っており、そろそろ戻って来る頃合いだった。
女中の機転で俵屋は事なきを得ましたが、声や口調、喋る早さまで熊吉と似ていたと言う。
お花は宝屋に海苔を注文しに行った帰りに自分を捨てた母親と再会する。
母は堅気の男と所帯を持ち幸せそうだった。
母に自分と会ったことをお妙たちに内緒にすること、そして毎月一のつく日に会いたいと言われ、お花は断れなかった。
しかしこのことが後にぜんやにとんでもないことを招く。
とってもイライラするのがお花の言動です。
15歳ぐらいになればもっとしっかりしませんかね。
大事にならなかったからいいのですが、今のままでは心配です。
「花暦居酒屋ぜんや」シリーズになり、若い熊吉とお花たちの世代のことになってから、あまり面白くなくなりました。
私はお花のような性格の子が苦手なようです。
<きょうのわんこ>

相変わらず髪がボサボサの弟犬です。
彼はこの頃ソファに跳び乗れなくなりました。
勢いをつけて跳ぶのですが、胸をソファにぶつけてしまうのです。
懲りたのか今は階段を使ってソファの上にのります。
悲しいことに犬も人と同様に年を取って、だんだんと出来ないことが増えていくのですね。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2023/02/03/9560346/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。