マルゴ&ジャン・ル・モアル 『ブルターニュ料理は死への誘い』2024/02/11

フランスのコージーミステリの新シリーズ。


フランス、ブルターニュ地方のリゾート地ロクマリア村の住民たちは、村で最も金持ちの農場経営者、ジョルジュ・ラガデックが狙っていたケルブラ岬邸を誰が購入したかに興味津々。
屋敷を買ったのは、カトリーヌ・ヴァルトというアルザス地方出身の五十一歳のバツイチ女性。
妹亡き後、新しい土地で人生をやり直そうと思い、この村でアルザスの郷土料理のレストランを開くことにしていた。

カトリーヌは早々に村の人たちと親しくなる。
イギリス人でレストランの隣にある食料品店のオーナー、チャールズ・ハイベリーとは恋の予感。
ミニスーパーの店主ナターシャ・プリジャンはカトリーヌに嫉妬心丸出しだった。

カトリーヌはレストランで使う地元の高品質の食材を卸してくれる信用のおける生産者を探した。
問題はシェフだ。
困っていると、イヴォンヌ・ル・モアルが来て、彼女の孫のエルワンを雇ってくれと頼まれる。
エルワンはジョルジュ・ラガデックの息子で、父親とは上手くいっていない。

レストランの開店披露パーティの日にエルワンが行方不明になり、万事休すとなったが、親切な住民たちの助けでどうにかなる。
心を入れ替えたエルワンはシェフを続けることになり、レストランは順調だったが、とんでもないことが起る。
冷蔵庫が何者かに故意に壊されたのだ。
そしてその十日後、金曜日のシュークルートの夕べに、<皇帝風シュークルート>を食べた元町長ジャン=クロード・ケレとその子分のジョルジュ・ラガデック、ジョルジュの長男のマチュー・ラガデック、ケレの缶詰工場の元工場長マルク・デュブールの四人が吐き気を催す。
その翌日にケレが死亡し、遺体から強力な催吐剤が見つかる。

レストランは営業停止になる。
ナターシャはケレの親戚だったこともあり、ここぞとばかりにカトリーヌがケレを毒殺したと糾弾する。
他の住民たちは父親と兄に恨みを持っているエルワンが仕返しをした、ラガデック親子が村に迷惑をかけたことを根に持った誰かが代償を祓わせようとした、妻の浮気を知った男が復讐したなど色々と推察を言い合っている。
そんな中、<ウエスト・フランス>紙にロクマリア村の住民を侮辱するような記事が載る。

憲兵隊が捜査をする一方、カトリーヌたちの無罪を信じる<ウエストフランス>紙の記者ヤン・ルムールは独自に事件を調べ始めるが…。

コージーミステリというと、アメリカという感じで、フランスのは初めて読んだと思います。
そういえばフランスのミステリって、この頃読んでいないような…?
わたしが知らないだけかもしれませんが、あまり翻訳されていないのかしら?

このミステリは初めがとっても読みにくく、読むのを止めようかと思いました。
でも、ヒロインのカトリーヌが出てくる辺りから気にならなくなりますので、少しの我慢を。

アメリカのコージーミステリのヒロインって年をとっていてもせいぜい30代ぐらいですが、さすがフランス、ヒロインが50代です。
それに年下の女性に嫉妬されているんですから、アムールの国は違いますね。
何歳になっても恋に現役なんですね。
フランスというと、人は人と割り切っていて、あまり他人のことに首を突っ込まないような印象があったのですが、小さな村になるとどこもいっしょなんでしょうか。噂話がすごかったり、人間関係がややこしかったりしています。
いい人はもちろんいますが、あ~、やだ、こんな村には住みたくない、とわたしなんか思ってしまいますww。

シリーズ物ということなので、カトリーヌはこれからもナターシャに悩まされるのでしょうね。
記者のヤンとの関係の変化と彼女がどうやって屋敷を買えるほどの大金を稼いだのかが今のところ気になります。

そうそう、フランスの警察制度が変わっています。
都市部が内務省管轄下の国家警察で、地方は国防省管轄下の憲兵隊が担当しており、国家警察は文民警察官で、国家憲兵隊は軍人により構成されている。
コミューンは自治体警察を設置できる。
警察活動は司法警察活動と行政警察活動に分れている。
司法警察活動には犯罪被疑者の追跡と逮捕などがあり、司法警察活動を行うのは司法警察官と司法巡査、司法巡査補で、逮捕と捜査令状の執行は司法警察官だけが完全な権限を持ち、司法巡査はその補佐を行う。
日本とは違う制度ですね。

二巻目の『Une pilule difficile à avaler (飲み込むのが難しい錠剤) 』は、一巻の終わりからするとエルワンの過去が主となりそうなのですが、あらすじを読むと、カトリーヌが海岸に打ち上げられた死体を見つけるようです。麻薬と関係がありそうということは…。
フランスでは「プレッツェルと有塩バター」シリーズとなっていて、四巻まで出版されているようです。

コメント

_ ろき ― 2024/02/11 22時23分54秒

フランスのミステリというとベルナール・ミニエとかジャン-リュック・バナレック?あ、バナレックはドイツ人だった。英語圏にないヒネリがあって面白そうですね。
警察制度がずいぶん違う、複雑ですね。
ブルターニュに行って美味しい物(安全なやつねw)食べたい~。

_ coco ― 2024/02/12 10時06分49秒

ベルナール・ミニエの『氷結』と『姉妹殺し』は買ってあるけど読んでないわ。面白そうだから買ったのに、kindleだから入れとくになってます、笑。
コージーミステリだけでもアメリカとは違うので、フランス的な理詰めでくるミステリなんでしょうかね。なるべく早く読んでみます。

アルザス料理も美味しそうですよ。

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