馳月基也 『拙者、妹がおりまして 6~7』 ― 2025/06/28
シリーズの六巻と七巻。

『拙者、妹がおりまして 6』
千紘の手習いの師匠である井手口家の百登枝の孫で、井手口家の嫡男である悠之丞が千尋にご執心であると知り、龍治も兄の勇実も困惑するばかり。
初日の出を見ようと誘われ、千紘は勇実と龍治も誘い、井手口家を訪れる。
年が明け、文政六年(1823)の正月三日。
勇実のところに亀岡菊香の弟の貞次郎が現れ、見合いについてきてほしいという。その見合いは二人の姉妹のうちから一人を選ぶというもので、すぐに選べというものではないが、どうやら貞次郎の気持ちは決まっているようだ。
二月の庚申の日の夜、勇実たちは北町奉行の定町廻り同心、岡本達之進から頼まれ庚申強盗を捕らえるために出ばる。岡本によると同じ北町奉行所の同心、赤沢勘十郎から助勢を頼まれたという。
昨年の冬十月の火牛党に関わる騒動で赤沢の隠し子が殺され、それに関わった岡本へ赤沢が報復を企てているのではないかというのだ。
さて、強盗と火牛党の捕物はどうなるのか。
勇実は支配勘定の尾花琢磨から彼の兄の死の話を聞いていた。
その時、千紘は一人の男が矢島道場をのぞいているのを見かける。
つぎの日、勇実の筆子の白太がその男を捕まえたので、千紘は色々と尋ねてみる。
彼は燕助という琢磨を慕っている元役者で、明日、江戸をたち、里に戻るので、最後に一目琢磨を見たかったというのだ。
千紘と白太は一肌脱ぐことにする。
四月、千紘が家に帰って来たときに、梅屋敷の主、中田歳兵衛が矢島道場の若者たちとやわらの術の稽古をしていた。
稽古の後にお茶を飲んでいると、白瀧家に仕えるお吉が筍の漬物を持ってやって来る。なんと歳兵衛はお吉に一目惚れをしてしまう。
お吉が花のお礼に歳兵衛に会いに行く日、千紘は龍治を誘い、お節介にも二人の様子を見に行く。
『拙者、妹がおりまして 7』
矢島与一郎の昔馴染みの剣術家、佐伯欣十郎が箱根で道場を開いている。
彼の招きで、与一郎や師範代の龍治をはじめとした門下生たちに勇実や千紘、菊香が加わり、箱根の剣術道場へ武者修行をしに行くことになる。
交流試合と温泉、箱根権現のお参りなどの物見遊山の旅のはずだった。
しかし、箱根に”関八州を荒らし回る盗賊がお宝を狙って潜んでいる”という噂があり、その上、怪盗・鼠小僧もお宝を狙っているらしい。
不穏な出来事が次々と起こり、矢島道場の面々も巻き込まれ、大捕物へと発展していく。
勇実たち男たちは剣術の腕が立つのでいいのですが、千紘は気が強いだけのお馬鹿さんで、危ない目に遭っても学ばないのは何故でしょうか。
私って千紘風の女の子が嫌いだということがよくわかりました。
六巻でよかったのは、例のおえんがやっと落ち着きそうだということと、老いらくの恋です。お吉には幸せになって欲しいです。
それにしても若者たちの仲はなかなか進まず、周りの人たちはさっさと決まっていくのはなんででしょうね。
引き伸ばし過ぎじゃないですかぁ。
七巻は一休みという感じです。
このシリーズは若者たちの恋模様を描く以外に捕り物も書きたいという作者の希望のせいか話があちゃこちゃに行ってしまい、進まないですねぇ。
まあ、この時代の箱根がどんな感じか、私は知りたかったのでいいんですけどね。
菊香さんがちょっと心配です。
彼女の頑なな心を勇実は溶かすことができるのか。
次回のお楽しみということで。
このシリーズ、10巻で終わりなので、もう少しです。
馳月基也 『拙者、妹がおりまして 4&5』 ― 2025/06/25

知り合いからフクロウの写真をもらいました。
北海道に住むカラフトフクロウではないかと思います。
可愛いですね。

『拙者、妹がおりまして 4』
4月に入り、白瀧家にとんでもないお客が訪れた。
それは勇実の昔の女、おえんだった。
おえんは勇実よりも一回り以上も年上の女で、六年前に千紘の手習いの師匠である井手口家の百登枝から紹介された書物問屋、翰学堂で写本の仕事を始めた時に出会った。
おえんは今、行くところがないから、白瀧家に置いてもらえないかと言う。
しかし、おえんと勇実のただならぬ関係に気づいた千紘は、おえんに対しひどい態度を取る。そのためおえんは二度と勇実の前に姿を見せないという言葉を残して去っていく。
六月になり、勇実の筆子の鞠千代が家の蔵から出てきた短刀の由来を知りたいと言ってくる。龍次が剣術仲間の伝手を使い、水心子正秀に目利きを頼んでやることにする。
その五日後、鞠千代は手習所からの帰り道で何者かに襲われ、かどわかされる。
その場に落ちていた手紙に左文字の短刀を寄越せと書いてあった。
勇実たちは鞠千代を助けに行く。
七月に入り菊香の弟の貞次郎が龍次と勇実のところにやって来る。
姉に五十過ぎの書院番士の男との縁談が来たと言うのだ。
菊香は縁談を受けると言っているらしい。
勇実はどうするのか。
『拙者、妹がおりまして 5』
千紘と将太が祝言を挙げたばかりの幼馴染みの梅之助とおちよに会いに行った時に、おえんが梅之助の家の質屋にやって来る。
千紘はこっそりとおえんの後を追い、おえんが沢姫屋という旅籠に勤めていて、長屋に拾い子と住んでいることを知る。
おえんが拾った子はひどい怪我をしていて、壱と名乗った。彼は龍次と勇実のことを知っているようだった。
ある日、おえんのところにやくざ者がやって来る。壱はその男を刺し殺し、浅草新鳥越町のおえんが前に勤めていた料理茶屋に向う。
おえんから頼まれ、山蔵親分が勇実たちを呼びに来る。
一体、壱とは誰で、茶屋で何をするつもりなのか・・・。
勇実も二十三歳なら女性と何かあってもおかしくないのですが、妹としては嫌なんでしょうねww。
千尋と龍次の間も、勇実と菊香の間も、何も進展がありません。
特に勇実と菊香は今のままで行くと、勇実が振られて終わりになりそうです。
菊香の心の中には伺いしれない暗闇があります。
それを勇実がどうにかできるのでしょうかね。
5巻目に実在する刀工の水心子正秀が出てきます。
私は刀剣女子でないので彼のことは知りませんでしたが、読んで彼と刀剣について少し知ることができました。
意外と(失礼)面白いので、10巻まで読もうと思います。
高瀬乃一 『往来絵巻 貸本屋おせん』 ― 2025/06/20
一作目の『貸本屋おせん』に続く二作目。

「第一話 らくがき落首」
地本問屋の南場屋の南喜がお縄になったと聞き、おせんは大急ぎで南場屋に駆けつける。小田切さまの落首(時事や人物を風刺した匿名の狂歌や狂句)を立てた科だという。
おせんは複数の貸本の中に落首らしき落書きを見つけ…。
「第二話 往来絵巻」
おおよそ一年をかけた大作、『文化六年巳年神田祭佐柄木町御雇祭絵巻』が完成した。しかし、子供狂言に従う底抜け屋台の囃子方は『十人』なのに絵には『九人』しか描かれていない。怒った町名主の佐柄木与左衛門は絵師に直接会い、描き直してもらいたい。それでなければ絵巻の代金を払うことはできないと言う。
たまたまその場にいたおせんは画工に引き合わしてもらうことを引き換えに、十人の囃子方が行列に繰り出していたかどうか確かめることになる。
「第三話 まさかの身投げ」
鈴屋の旦那が燕ノ舎に一枚絵を依頼し前金四両を手渡した。しかし、燕ノ舎は年明けに参和の訃報に気落ちし、絵が描けず、四両を返して絵の依頼を断った。
ところが鈴屋は一度人様に差し出した金を受け取るなんて、江戸っ子の名が廃るって金を突き返した。それからが大変で、おせんが燕ノ舎に頼まれ突き返された金を鈴屋まで持って行ったことから、鈴屋にまで頼まれることになり、おせんは燕ノ舎と鈴屋の間を行き来する始末。金は二十両にまでなっていた。
そんな頃、薬種問屋信濃屋の旦那ともめ、鑑札の差し止めを受けていた船宿奥川の吾平が芸者と川に身投げをし、重罪人として処罰された。
運航再開の申し立てをしようとするが、芸者と身投げしたことを理由に受け付けてもらえず、このままでは奥川は廃業だ。
実は芸者は信濃屋の情婦だったという。本当に吾平は芸者と身投げしたのだろうか。おせんは一肌脱ぐことにする。
「第四話 みつぞろえ」
植木屋の職人の信吉は女房と子どもがいるが、行きつけの飲み屋「まるふく」で貸本屋梅鉢屋のおせんと飲むのが楽しくてならない。このままおせんと・・・と思ったりもしている。
そんな時にセドリの隈八十という男に『艶道東国聴聞集 巻之人』を持っているはずなので、譲ってくれと言われる。まったく覚えがない信吉だが・・・。
「第五話 道楽本屋」
南場屋六根堂の主人の喜一郎は新春の目玉の読本が売り出しできずに困っていた。
『類板』の疑いありで、差し止めをくらったのだ。行事に訴えたのが、弁天堂というおせんも知らない本屋だ。気になったおせんは弁天堂のことを周りに訊いてみると・・・。
私はおせんと「貸しもの屋お庸」シリーズのお庸がゴチャマゼになっていました。
まったく違うキャラクターでした。
おせんの方が最初から落ち着いた頭のいい女性です。
絵師の燕ノ舎が亡くなってしまうのですが、一作目が三年ぐらい前なので内容を忘れてしまいました。おせんとどういう関係なのかしら?
おせんのお父さんが亡くなった時か貸本が燃えてしまった時に、おせんを助けた人なのかもしれないですね。
江戸の出版業界のことがわかるお話です。
次回の謎がどんなものか、期待して待ちましょう。
できればあまり時間を置かないで下さい。
私、忘れてしまいますwww。
馳月基矢 『拙者、妹がおりまして 2&3』 ― 2025/06/19
『拙者、妹がおりまして』の続き。

『拙者、妹がおりまして 2』
文政四年(1821年)九月、江戸に若い女性ばかりを狙って盗みをし、殺す女盗賊お七が現れる。
目明かしの山蔵親分が追っていたが、なかなか捕まらない。
困った山蔵は白瀧勇実と矢島龍治に助けを借りに来る。
山蔵は千紘に囮になってくれというが、勇実たちは反対する。
しかし、千紘はやる気満々。
たまたまそこに亀岡菊香とその弟の貞次郎がやって来た。
父親から剣術指南を受けていたという菊香が千紘と二人で囮になり協力することになる。
九月も終わりの雨の日、雨宿りをしていた千紘と菊香にお仙という女が話しかけてくる。
この女がお七だった。
捕らえてみると、盗みの罪は認めるが殺しの罪は認めなかった。
12月になり殺しをするお七が現れる。
お七は、盗みをするお七と盗みと殺しをするお七の二人いたのだ。
千紘はまた囮になると言うが、反対する龍治は千紘をコテンパンに負かし、自分が女の振りをして囮になるという。
果たしてお七を捕らえることができるのか・・・。
『拙者、妹がおりまして 3』
初日の出を見に行った千紘と龍治だったが、近所の剣術道場の連中に捕まり、龍治の告白は取り止めになる。
正月早々勇実たちは北町奉行所の定町廻り同心の岡本達之進から昨年捕らえたお七が牢を出たことを知らされる。
二月のある夜、お七が千紘に復讐しに来る。
勇実と龍治が気づき駆けつけるが、逃げられてしまう。
三月に入り、立ち合い稽古の後に行った勇実たち馴染みの湯屋で、勇実たちは板の間稼ぎに遭う。(「板の間稼ぎ」=「湯屋で着物を盗んでいく泥棒」)
盗むのは男の褌ばかりだという。
同心の岡本が調べることになるが、意外な犯人で・・・。
親友の龍治の千紘への思いを知った勇実は二人を見守ることにしましたが、いつ千紘が龍治の思いに気づくのでしょうね。
千紘もいらぬおせっかいをしている暇があったら自分のことを考えた方がいいんじゃないと言いたくなります。
兄の勇実は菊香が気になる存在になったようです。
菊香は過去のことがあるので、気をつけて接しなければならない人ですし、勇実も恋愛には奥手なので、どうなるのか心配です。
このシリーズは<龍治と千紘>&<勇実と菊香>の恋愛模様と勇実の将来決定が中心で付け足しのように捕り物があるというお話です。
時代小説初心者の方にぴったりだと思います。
江戸時代の仕事の話(文庫本) ― 2025/06/11
前から救急車のサイレンが外出するたびに聞こえると書いていましたが、この頃は救急車の姿を見かけるようになりました。
それも走っているのを遠目にちょこっと見るのではなくて、近頃はバッチリ鉢合わせするようになりました。
そのうち乗ることになりそうです(冗談ですぅwww)。

横山起也 『お茶漬けざむらい』
妹尾未明のところにお蜜という芸者が相談を持ち込む。
連日宴の席にお蜜を呼ぶ角屋の義一との「舌試し」に勝つための料理を考えてくれというのだ。
何でおれがと思いつつ、友人の絵師、仁鶴に愚痴りに行くが、彼とモデルたちに海苔茶漬けを作って食べさせることになる。
仁鶴の作る茶漬けは、普段の『浮世』を忘れるような『芝居』を食わせるようなものだ。
お蜜の「舌試し」を発端に次々と難題が持ちかけられるが、仁鶴は茶漬けを使い解決していったので、やがて『お茶漬けざむらい』と言われるようになる。
そんな彼に膳奉行の長男・四条園城崋山が挑んでくる。
『編み物ざむらい』を書いた横山さんの新しいシリーズです。
妹尾未明は「舌の良さしか取り柄のない若き落ちこぼれ武士」とのこと。
緊張しいらしく、すぐこわばっちゃって、よく失敗をします。
その「こわばり」を取るのによかったのが、お蜜曰く「茶づる」こと、つまりお茶漬を食すことだったのです。
ちょっと風野真知雄さん風ですが、これから独自性を出して行くのでしょうね。
次回に期待します。
ア、未明の仕事はお茶漬じゃなかったわww。
坂井希久子 『星合いの空 江戸彩り見立て帖』
呉服屋「塚田屋」の三男坊・右近に色見立ての才を認められ、色見立て役として働いているお彩にライバル登場。七夕にちなんだ色合わせを競うことになる。
一難去ってまた一難。京都本店から長兄の蘇芳が偵察にやって来る。嫌味が趣味みたいな奴で、店の皆はピリピリしっぱなしだが、江戸っ子のお彩は彼の京風嫌味がわからない。お彩に迫る危機。
江戸彩り見立て帖シリーズの四作目です。
着物は着ませんし、持っていませんが、紋紗の着物が素敵で、着てみたくなりました。
京対江戸の戦いは、なんとか江戸の勝利で終わりましたが、未だに色々と文化の違いがあり、面白いです。
江戸の月見団子はまん丸で十五夜にちなんで十五個ですが、京の月見団子は里芋の形、しずく形で、十二の月を表し十二個(潤年は十三個)なんですって。今はこしあんや粒あんで包むようです。
月見団子って買ったり作ったりしませんが、京のは食べてみたいです。
<シリーズの順番>
①『色にいでにけり 江戸彩り見立て帖』
②『朱に交われば 江戸彩り見立て帖』
③『粋な色野暮な色 江戸彩り見立て帖』
④『星合いの空 江戸彩り見立て帖』(本書)
有馬美季子 『お葉の医心帖 きずなの百合』
弥生(三月)。道庵の診療所で働き始めてから一年が経ち、お葉は齢十八になる。
道庵のところに腰痛持ちの女絵師のお景が来る。道庵が彼女に鍼灸治療を施したのを見て、お葉は鍼灸に興味を持つ。お葉とお景は働く女同士として友となる。
卯月(四月)。二年前に怪我をした目が痛み出した元相撲取りの新太に、道庵の元弟子の源信が手術を施す。
皐月(五月)。道庵が咳き込み、熱を出す。お葉は診療所を休みにし、道庵を休ませ、お灸をしていると、お繁がやって来る。便秘がひどくなってしまったらしい。道庵はちょうどいい機会だからとお繁を稽古台にし、お葉に鍼灸を試させる。
水無月(六月)。高家旗本の奥様が駕籠に乗りやって来る。飲水病(糖尿病)で、壊死した足を切断するという手術を拒み、ある御典医を怒らせてしまい、他の御典医たちにも治療を断られたという。道庵は奥様の治療を引き受けることにするが、前途多難。
お葉と道庵は師匠と弟子ですが、父と娘みたいな感じでもあり、これからも上手くやっていけそうです。
源信とお葉の二人はこれからは道庵を支えていきたいと思っているようです。
いっしょになって診療所を継げばいいと思うのですが、どうなるのでしょうね。
出世を考えている源信ですから、いい縁談があったらそちらにいきますよね。
お葉は昔のこともふっきれ、いい医師になりそうです。
<シリーズの順番>
③『お葉の医心帖 わかれの冬牡丹』
④『お葉の医心帖 きずなの百合』(本書)
馳月基矢 『拙者、妹がおりまして ①』 ― 2025/06/09

「第一話 つき屋始末」
亡父の跡を継ぎ、手習所の師匠を務めている白瀧勇実には、六つ下の妹の千紘がいる。
千紘は明るく活発でせっかちで、好奇心旺盛な性格。
一方、勇実は出不精で、温厚でのんびりしている。
千紘は現状で満足している兄をふがいなく思い、おせっかいを焼くが、勇実は勇実でそんな千紘を幸せにしてやらねばと思っている。
勇実の手習所は白瀧家と境を接した、剣術道場を営む矢島家の離れを使わせてもらっている。
白瀧家と矢島家は家ぐるみの親しい付き合いをしていて、勇実は矢島家の嫡男の龍治とは親友同士だ。
そんなある日、外出から帰った千紘が勇実と龍次に煮売屋のつき屋が十両用意しろと脅されているという話をする。
話を聞いたら最後、有無を言わせず、すぐに勇実と龍次は千尋につき屋に連れられて行き、つき屋のために一肌脱ぐことになる。
「第二話 恋心、川流れ」
勇実が千紘と龍次といっしょに両国の花火見物に行くと、武家の娘が船から落ちるのに遭遇する。
勇実は娘を助けに大川に飛び込み、千紘と龍次は船を出して、二人を船に引き上げる。
娘はしばらく白瀧家で預かることになるが、名が亀岡菊花ということはわかったが、何も話そうとはしない。
困った勇実は山蔵親分に素性を探るように頼む。
「第三話 神童問答」
勇実の手習所に母親に連れられて乙黒鞠千代という男の子がやって来る。
まだ七つで、他の手習所から幼いからと断られ続けているというが、母親は聡い次男坊の鞠千代を学問で身を立てさせてやりたいのだ。
勇実は断ろうとするが、話を盗み聞きしていた千紘が現れ、余計なことを言い出し、結局、引き受けることになる。
「第四話 道を問う者」
小普請組支配組頭の酒井孝右衛門が尾花琢馬を連れてやって来る。
勘定所で働いてから後に手習所の師匠になった勇実の父の源三郎が亡くなって三年が経つが、尾花は勇実に勘定所の仕事をしないかというのだ。
このことがきっかけとなり、勇実は己の行くべき道について考え始める。
一巻目なので、登場人物の紹介という感じです。
とにかく千紘が口喧しくて、何事にも首を突っ込んでくるという女性で、苦手なタイプです。兄妹というと、こういう感じにならざる得ないんでしょうか。
ステレオタイプではないですか。
それでも手習所の子供たちや勇実や龍次、尾花などの男性群が好印象なので、読み続けていけそうです。
<この頃のわんこたち>
兄犬はやっと胃腸の調子がよくなり、今は水でふやかしたドッグフードにトッピングで食べています。体重も3キロ台に戻りました。

トリミングが延期になったので、モジャモジャです。
近頃、スリッカーブラシを嫌がります。
次回から毛がからまないように、耳と尻尾、足の毛を短くしてもらうことにします。
未だにママのベッドの上で横になって寝ていますが、真ん中ではなくて足元の左端で寝るようになりました。

元気で変わり映えしないのがヨーキー弟。
アヒルちゃんがとうとう壊れてしまったので、新しいアヒルちゃんを買いました。
このアヒルちゃんはお値段のわりに(600円程度)長持ちします。
歯が丈夫で、すぐにおもちゃを鳴らなくしてしまうわんちゃんがいる方は試してみて下さい。
あさのあつこ 「針と剣 縫箔屋事件帖」シリーズ1~3 ― 2025/05/30

『風を繍う 針と剣 縫箔屋事件帖』
おちえは十六歳の黒眸勝ちの眼と肌の美しい娘で、父親の仙助は三代続いた縫箔屋『丸仙』の主。
父親が縫箔師だというのに、おちえは針仕事が苦手で、唯一誇れるのが榊道場の道場主の榊一右衛門から「男であれば、比類なき剣士になったであろうと」言われた剣の腕だ。
母親のお滝は、おちよが十二歳の春に娘が殺される事件が続き、我が身を己で護る術を身につけさせようと、おちえを剣の道場に通わせてることにしたのだが、娘が剣才の持ち主だった知り、今では己の誤算を嘆いている。
ある日、『丸仙』に端正な顔立ちの侍がやって来る。
彼は吉澤一居といい、仙助に弟子入りしたいという。
榊道場で一居の剣を見たおちえは、何故一居が武士の身分を捨ててまで縫箔職人になることを切望するのか理解できなかった。
そんな頃に『丸仙』の職人の正造の娘が殺される。
五年前の娘殺しがまた現れたのか。
『風を結う 針と剣 縫箔屋事件帖』
町人となった一居は『丸仙』に弟子入りをする。
ある事件により榊道場は閉門となり、十七になったおちえは自分の行く末を決められず悩んでいた。
女だてらに竹刀を握っていられる年でも身分でもない。いいかげんに踏ん切りをつけなければならない。でも・・・。
ある日、おちえが気を失ったため、丸仙かかりつけの医者の井筒崇徳が呼ばれる。
お茶を持ってきた一居を見て、崇徳の顔色が変わる。
一居は崇徳とは会ったことがないというが、崇徳は一居を知っているのか。
その次の日、崇徳が部屋で毒を飲んで亡くなっているのが見つかる。
遺書はないが、自死なのか、殺されたのか。
『風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖』
おちえたちの奮闘の末に榊道場が再開される。
そんな頃に、不思議なこそ泥が現れる。夜中に二店でみみっちい盗みがあったのだ。それだけではなく、おちえの竹刀が盗まれる。おちえも一居も賊の気配に気づかなかった。
玄人の技と来し方を持つ、相当の手練れの盗人の仕業か。
これは大きな事件の前触れではないのか。
それからしばらくして、大和屋から小袖が盗まれる。
その小袖はおちえの父、仙助が花嫁のために渾身の縫箔を施した一枚だった。
大和屋から盗まれた小袖は、小さな寺の本堂裏で骸になった女に被せられていた。
女は誰で、大和屋と関わりがあるのか。
「縫箔屋」とは「金箔や銀箔を縫いつけたり、金糸・銀糸を用いた刺繍を商売とする家・人」のことです。
江戸の職人の生活に興味があるので、どんなものかと読んでみたのですが、1巻目で止めればよかったと思いました。
あさのあつこさんだからもっと面白くなるだろうと思って続けて読んでみたのです。
縫箔というと、「神田職人えにし譚」シリーズがありますが、ヒロインに関する限りでは、おちえよりも「神田職人えにし譚」シリーズのお咲の方が落ち着いた雰囲気で断然いいです。
まあ、十八になるおちえよりも二、三十代のお咲の方が酢いも甘いも噛み分けていますからねぇ。
おちえは自分の道を決めるまで、このままで行くのでしょうね。
グタグタ悩んでいる姿が幼過ぎて・・・。
事件帖というので、江戸で起こる事件がメインで、おちえと一居の二人で事件を追うのかと思ったら、違ってました。
おちえの悩み事が大部分で、事件がちょこっとって感じ。特に縫箔とは関係がありません。
格好いい岡っ引きの仙五朗がいるので、どうせなら彼と一居のイケオジ、イケメンの二人をメインにしてもらいたいものです。
あさのさんは「10代の少年少女が悩み、成長する姿を描く作品に定評がある」そうなので、このシリーズはある程度の年齢のいった人よりも、若い人向きの作品なのかもしれませんww。
初めて時代小説でも読んでみようかなと思ったら、読んでみるといいですね。
歴史小説シリーズ ― 2025/05/23
シリーズ物はきりがないので、面白くなくなった物は読まないことにしようとは思いますが、なかなか止められません。
今回の三冊、面白さが盛り返してきています。

知野みさき 『秘す歌加留多~上絵師 律の似面絵帖~』
シリーズの十三冊目。
葉茶屋・青陽堂の嫁で上絵師の律は再び懐妊した。前のようにならないように律も周りも気をつけている。
そんな時に、今井の手習い指南所で歌加留多の「い」の札がなくなり、歌加留多を新しくすることになり、律が絵を描くことになる。今の加留多の取札は律の父が描いたものだ。その他に律は独楽回しに贈る独楽の意匠の着物を頼まれる。
そんな中、律と慶太郎の周りに怪しい男が現れる。
岡っ引きになりたがっていたお嬢さまで世間知らずの綾乃が茶屋で働き始めます。
いつまで働き続けられるのか。
お上の似面絵を描いている律ですが、知り合いからも似面絵を頼まれるようになります。似面絵は写真みたいなものです。
今回のテーマの歌加留多にも色々な意味合いがあるんですね。
律はまた子どもを助けようとして、危ない目に遭います。懐妊している時はやめてほしいです。
次回に律が無事に出産できることを願っていますわ。
坂井希久子 『桜ちらし 花暦 居酒屋ぜんや』
シリーズの八作目。
升川屋の若様の千寿がお花に求婚した。それをたまたま目撃した、千寿のことが好きなおかやはお花に口をきかなくなり、嫌がらせまでやるようになる。
千寿が本気であることを知った熊吉はお花への思いを断ち切り、仕事に邁進することにする。
臨月のお妙が無事に出産できることを祈る皆だったが、いよいよお産が始まる。
薬種問屋に勤めている熊吉は同僚に恵まれていないようで、彼が大旦那に目をかけられているのが気に入らないのか、いつも足を引っ張られています。
大旦那はそんな熊吉に同輩からの嫌がらせすらさばけない者が番頭になっても、よその店が足を引っ張ってくるのに太刀打ちできない。人の上に立つにはもっと太い、胆力のようなものが必要で、熊吉の優しさは美点だが、欠点でもある。奉公人を辞めるか、と訊いてくる。熊吉は試されているんですね。
お花がぜんやを継ぐまでのお話かと思ったら、熊吉がメインになりそうな雲行きになってきました。
さて、お花は千寿と熊吉のどちらを選ぶのか、それともどちらも選ばないのか、わからなくなってきました。
風野真知雄 『ざまあみろ わるじい義剣帖(五)』
愛坂桃太郎と盟友の朝比奈留三郎は女絵師お貞とおぎん殺しの下手人である川内玄斎を捕らえるのに難儀していた。
玄斎を泥人形を使っておびき出すのが一番簡単だが、孫の桃子に危害を加えられる恐れがあるからだ。
桃太郎は玄斎を捕らえる忙しいのに、頼まれると嫌と言えず、銭湯で高い湯銭を払う男の謎や綿を置いていくじじい小僧の謎、毎朝馬を、夕方、牛を連れて行く武家の奉公人の謎、木札をつけた亀の謎を解いていく。
桃子の義父の雨宮に桃太郎の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいですわ。
雨宮みたいな奴ってどこにでもいますね。私は桃太郎派なので、雨宮がちょっと羨ましいです。
今回はいつもより桃太郎の桃子愛にジーンとくるお話です。
畠中恵 『ああうれしい』 ― 2025/05/15
まんまことシリーズの十作目。

江戸、神田の町名主の跡取り息子の高橋麻之助は町名主・西森金吾の娘・お和歌と結婚し、息子の宗吾を授かる。
だが、相談事は待ってはくれず、相も変わらずの生活をしている。
高利貸しの丸三から、お虎と夫婦になりたいが、お虎に妻になれないと言われたと相談され、猫探しをし、大店の主から”ああ嬉しい”と思わせて欲しいと頼まれ、縁談の相手探しとかんざしの盗人探しをし、最後は風邪をひいて一波乱。
いつになったら父のような町名主になれるのか。
麻之助の悩みは尽きない。
このシリーズも長く続いています。
シリーズ物をすべて読んでいくのは大変なので、麻之助も落ち着いたことですので、ここらで読むのを止めようと思います。
麻之助が父親の跡を継ぎ、いい町名主になれますように、これからも祈っていきますわww。
<シリーズの順番>
④『ときぐすり』
⑤『まったなし』
⑥『ひとめぼれ』
⑦『かわたれどき』
⑧『いわいごと』
⑨『おやごころ』
⑩『ああうれしい』(本書)
読んだ文庫本(時代小説) ― 2025/05/12

鷹井伶 『てきてき 浪華おなご医師と緒方洪庵』
亜弥の生家は下総の古河で薬種を商っていた。十三の時に姉の代わりに、大阪の高名な蘭学者の息子で今は遊学中の男との縁談で大阪に行く。
姑になる定は日本初の蘭和辞典を完成させた海上随鷗の娘で、蘭学にも医学にも通じ、長年医師として稼ぎ、夫の天游を支えていた。
定は息子の嫁にいずれ自分のような医者になってもらい、息子の嫁として手助けをさせたいと思っていた。
亜弥は学問好きで、父より本草や陰陽五行など本道の基本を教わっており、蘭学を学びたいと思っていたので、この縁談に飛びついた。
定は亜弥を緒方洪庵の適塾に入れる。
男のなりをして亜弥は適塾に通い始めるが、小ぼんをはじめとする他の男性塾生たちと親しく交わうようになる。
やがて洪庵にも認められ、往診の手伝いをするようになるが・・・。
1838年に緒方洪庵が開設した適塾ですが、女性の塾生は実際にはいなかったそうです。
いたらどうだったかと考えると、亜弥のようにはいかないように思います。
やっぱり男からの嫌がらせがあり、通えなくなったのではないでしょうか。
悪く考え過ぎですかね。
高田在子 『茶屋占い師がらん堂 狐祓い』
最福神社門前の茶屋「たまや」の一角で開かれている占い処「がらん堂」の占い師・一条宇之助のところに様々な悩みを持つお客がやって来る。
女遊びが趣味の男と所帯を持つことを躊躇している女、息子が嘘をつくようになり、狐に取り憑かれたのではないかと心配する母親、道場主を決める試合に勝てるかどうか占いに来た武士、役者と親しくなるにはどうしたらいいかを占いに来た男・・・。
宇乃助はどのお客にも全身全霊で話を聞き、「占った相手が幸せになるために、一歩踏み出す勇気を与える」ために助言を与えていく。
茶屋占い師がらん堂シリーズの四作目。
「たまや」の娘のすずが主人公で進むのかと思ったら、違いました。
宇乃助がメインで、すずはそばにいるだけです。
すずは人が嘘をついているかどうかわかるという能力を持っていますが、今のところ役に立っていません。
この後、どうなるのかちょっと心配ですが、題名が「がらん堂」ですから問題ないですよねww。
<シリーズの順番>
①~③『茶屋占い師がらん堂』、『茶屋占い師がらん堂 招き猫』、『茶屋占い師がらん堂 異国の皿』
風野真知雄 『魔食 味見方同心(四)おにぎり寿司は男か女か』
今回、南町奉行所味見方に属する隠密同心の月浦魚之進が扱う奇妙な食べ物は、「おにぎり寿司」と食べると子どもが授かるという「子どもうどん」、ゾウの鼻の「ゾウ煮」、どじょう屋の「怪獣椀」です。
魚之進、何やら会津藩と薩摩藩に関わる陰謀に巻き込まれそうです。
毎回言っていますが、よく考えつくと感心しています。
「おにぎり寿司」が1番食べたいかな。店主が殺されちゃうのがなんですがw。
「子どもうどん」はキノコ、タケノコ、カズノコ、タラコ、きな粉、卵が入っているんですって。きな粉はいらないけど、まずくはなさそう。
「ゾウ煮」と「怪獣椀」はいりません。
次はどんな料理が出るのか、楽しみです。
<ChatGPTで遊んでみる>
動物を人間にできると聞いて、わんこたちの写真を二枚使って一枚の写真にしてもらいました。
すると・・・。

アラ、美女二人!
犬はメスと決まっているのでしょうか。
次は別の二匹で写っている一枚の写真ではどうなるのかと再度やってもらうと・・・。

こっちの方が家のわんこたちらしいかな。
でも、ひょっとしてこの子たちも女の子なんではないでしょうか。
最後に二枚の写真を使って一枚の絵にしてもらいました。

↑これがもとになる写真です。

右側の弟がヨークシャテリアだとわかりませんね。
本物よりも育ちの良さそうなわんこですww。
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