内藤了 『LAST 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』&『FIND 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』2022/11/28



「うら交番へ行った警察官は一年以内に命を落とす」という、その期限が迫ってきている。

そんな頃、恵平たちはうら交番の柏村巡査を取り巻く三件の未解決事件と柏村巡査が殉職した事件についての調書を取り寄せる。
警察官バラバラ殺人事件と刑事の失踪、雑誌記者惨殺事件とのつながりと、現代の死体抹消ビジネス組織・ターンボックスとのつながりを示唆する何かがみつかるかもしれないと思ったのだ。
そこでわかったのは、失踪した刑事・永田本人の死体は見つかっておらず、殺された雑誌記者の明野正一は明野正一本人ではなかったことだ。
柏村が残した毛髪と爪の結果を前に恵平たちは悩む。
過去からこちらへ来ているのは一人ではないのか。

そんな時に、マイクロバイオームの施設で見つかった人骨がすべてDNA鑑定に回されていなかったことがわかる。
見つかった骨片をすべて鑑定してもらうと、DNAは一つではなく、その中の一つのDNAが桃田が鑑定依頼した煙草の唾液と一致することがわかる。
明野は令和にやってきて、殺されたのだ。
彼を殺したのは、柏村が残した毛髪と爪の持ち主で、マイクロバイオーム施設のコントローラーに皮膚片を残した、柏村が「怪物」と言った人物…。

その夜、家で恵平は柏村殉職事件の資料『昭和三十五年八月十二日 丸の内地下街工事現場人質立てこもり事件及び崩落事故』を読む。

別の日、恵平は靴磨き職人のペイさんに靴を磨いてもらっていた時に、ペイさんが死体ビジネスについて言った言葉にひっかかる。
「潜って仕事なんかしていないんじゃないかと思うよね?大きな会社になっちゃって、立派な事業をしているのかもしれないよ」

月島署に合同捜査本部が立つ。
戒名は『中央区に於けるホームレス等失踪殺人事件』。
やっとマイクロバイオーム施設から出た人骨が事件として認識されたのだ。
マイクロバイオーム施設の経営母体が『廃棄物衛生研究所』であることがわかり、ペイさんの言葉が気になっていた恵平は研究所を調べてみることにする…。

いよいよ衝撃のラストです。
そういうことかと腑に落ち、ちょっと感動しました。
詳しくは書かないので、気になる人はできれば一作目の『MASK』から読んでください。

新しい部署に行った恵平ちゃんのことも書いて欲しいですね。
さて、恵平ちゃんの次に新しいヒロインが登場します。


神奈川県警刑事部捜査一課の木下清花警部補は班長をしている遣り手の女性刑事。
三十一歳で、警察事務員の夫と一人娘がいるが、一旦重大事件が起れば娘の世話は一緒に暮らしている義母に任せる。
夫は閑職への異動願いを出すべきだと言うが、積み重ねてきたキャリアをドブに捨てたくはない。

そんな時に清花が取り調べをした被疑者が留置場で自死する。
清花は自宅待機になり、その後左遷される。
家庭を犠牲にして頑張ってきたのに、その結果がこうかと落胆する清花。
悔しくてたまらない。
だがそういう時に夫から「俺は清花と結婚したんだ。刑事と結婚したわけじゃない」と告げられ、離婚届を渡される。

自宅待機があけると、出向辞令が発令された。
出向先はコールドケースを調査し、次の犯罪を未然に防ぐことを旨とする警察庁特命捜査係・地域潜入班。
当該部署へ挨拶に行こうとすると、指示された場所が横浜の日本郵船歴史博物館の隣の駐車場。
上司はキャンピングカーに乗るさえない中年男の土井火斗志。
清花は『サーちゃん』と呼ばれ、キャンピングカーでコーヒーを振る舞われる。
渡されたのが、『牡鹿沼山周辺・児童連続神隠し事件』のファイル。
どういう因縁なのか、自死した男が殺した妻が二十年前に行方不明になっていた女の子だったという。
なんとキャンピングカーがホームベースで、清花はレジャーに行くような服装をし、栃木県牡鹿沼山のキャンプ場に来るように指示される。

次の日、清花がキャンプ場に着くとすぐに管理人の阿久津に紹介される。しかも土井の姪として。
土井は公務員で、働き過ぎで不調になり、長期休暇を取ることになったというのに
、妻に家を追い出されたので、姪のサーちゃんが心配して様子を見に来たという設定だという。
土井がやることといったら、散歩して、草取りをして、昼食をご馳走になり、コーヒーを淹れて星を見て、朝になったら沢を眺めて…なんてことだけ。これで警察官が務まるのかとあきれる清花。

特捜地域潜入班の他のメンバーは、後方支援室通信官の万羽福子と連絡係兼生活安全局の指示待ち刑事、丸山勇の二人。
自称『令和の祭り男』の勇は村祭りの手伝いをしに来るという。

戸惑う清花に土井は言う。
「捜査の基本は、どうやって一般人の協力を仰ぐかってことだ。そこを間違えると見えてくる情報すら入手できない。特に閉鎖的な場所ではね、土地のやり方を大切にしないと」。

徐々に地元に溶け込み、少しずつ神隠しの謎に近付いていく土井たち。
清花は地域潜入班に馴染めるのか。

心に鎧をまとっていた清花が、土井や勇と接するうちにだんだんと変わっていきます。
ホラー文庫の一冊なんですが、全然怖くなくて、ほんわかした感じなんですけど、これから怖くなるのかしら?
次回に期待しましょう。


<昨日のわんこ>


どうやっても前を向いてくれないわんこたち。
おやつを見せないとダメみたい。


仕方ないので、落ち葉と一緒に撮りました。
兄犬は食いしん坊なので、落ち葉の中に食べられるものがないのか探しています。