シュツットガルト・バレエ団 「オネーギン」を観る2008/11/29

シュツットガルト・バレエ団の「オネーギン」を見てきました。
「オネーギン」はロシアの作家プーシキンの原作をバレエにしたものです。
世界初演が1965年ですから、新しいバレエです。
内容を見ると、こんなのがバレエに…と思うようなものです。
でも、ドラマチックなバレエでした。

    <キャスト>
   オネーギン:イリ・イェリネク
   タチヤーナ:アリシア・アマトリアン
   レンスキー:フリーデマン・フォーゲル
   オリガ:カーチャ・ヴュンシュ
   グレーミン公爵:ダミアーノ・ペテネッラ

(第1幕)
ラーリナ家の庭でラーリナ婦人とオリガ、乳母が、縫い物をしながらおしゃべりをしています。
ラーリナ婦人の娘タチヤーナは本の虫で、自分の「名の日」のパーティーが開かれるというのに、本に夢中です。
そこに、オリガの婚約者で詩人のレンスキーがやってきます。
彼はサンクトペテルブルクから来た友人のオネーギンを連れてきました。
なんとタチヤーナは近寄りがたい雰囲気をした(私にしたら、いけすかない苦虫を殺したような顔をした傲慢な)オネーギンに恋してしまうのです。
その夜、タチヤーナは夢を見ます。
夢の中で、鏡からオネーギンが現れ、二人でパ・ド・ドゥを踊ります。
鏡の中に戻っていくイリ君は素敵でした。
夢から目覚めたタチヤーナはオネーギンに恋文を書き、乳母に託します。
(第二幕)
タチヤーナの家でパーティが開かれています。
そこにオネーギンが現れ、退屈な様子を隠そうともしません。
オネーギンは人がいなくなった機会にタチヤーナに手紙を返そうとします。
なかなか受け取ろうとしないタチヤーナに、オネーギンは手紙を破いて渡します。
悲しみに沈んでいるタチヤーナを見て、オネーギンの荷立ちはつのり、なんとタチヤーナの妹オリガに言い寄ります。
オリガもオネーギンのちょっかいに乗ってしまい、レンスキーが激怒してしまいます。
そして、オネーギンの頬を手袋で殴ります。
決闘の申し込みです。
タチヤーナやオリガがとめても、レンスキーの決心は変わりません。
レンスキー役は「眠り・・・」の時の王子様だった人です。
彼は「眠り…」ではあまり印象がありませんでしたが、今回は嫉妬に燃える純情な青年役を上手く演じていました。
さて、決闘ですが、オネーギンはレンスキーを殺してしまいました…。
(第三幕)
月日がたち、ペテルブルクのグレミン公爵家では舞踏会が開かれています。
タチヤーナはグレミン公爵と結婚していました。
教養と奥深い人柄を秘めた彼女は、今や社交界の華になっていました。
ここで踊られるタチヤーナとグレミン公爵の踊りは結構好きです。
互いに尊敬し合っている様子がうかがえます。
グレミン公爵に連れられ、放浪の旅に出ていたオネーギンが登場します。
彼はタチヤーナに気づき、驚きます。
自分が棄てた少女が風格と気品に溢れた女性になっていたのですから。
自分が失ったものの価値を、彼は知るのでした。
タチヤーナとグレミン公爵の踊りを見ている彼は、まるでストーカー。
オネーギンはタチヤーナに会いたいと手紙を書きます。
タチヤーナはオネーギンには会うつもりがありませんが、タチヤーナの願いもむなしく、夫は出かけてしまいます。
そこにやってきたオネーギンはタチヤーナに愛の告白をします。
彼の告白に心が乱れるタチヤーナ。
この時の二人のパ・ド・ドゥは、タチヤーナに迫るオネーギンと、タチヤーナの揺れる気持ちをよく表しています。
最後にタチヤーナはオネーギンに対する愛を感じながらも、グレミン公爵を裏切ることができず、オネーギンの目の前で手紙を破き、出ていくようにと命ずるのでした。

感情と感情のぶつかり合いを、ダンサーがダイナミックに踊っています。
こんなバレエもあったんですね。
奥が深いなとつくづくと思いました。
今日も見たかったのですが、仕事が…。
来週はボリショイです。
また新しい発見があるでしょうか。楽しみ♪