新国立バレエ 「Ballet the Chic」を観る2009/03/27

用事がなくなり、行けるようになった公演です。行ってよかった。
振付師がそれぞれ、ロシア人、日本人、スペイン人、アメリカ人だからというわけでもないのでしょうが、各国の国民性が現れているダンスだったと思います。
それが目当てで作品を選んだのかもしれませんが。

まず、ロシア人のジョージ・バランシン振付、「セレナーデ」。
生オーケストラの演奏はこの作品だけでした。
チャイコフスキーのあの有名な「弦楽セレナード ハ長調 作品48」。
ロマンチック・チュチュ風の衣装を着た女性群舞が舞台に。
最初ちょっと合っていないかな・・・と思ったのですが、大丈夫。
スタイルが同じ女性ダンサーに新国立は恵まれているのですね。きれいです。(身長制限があって165cm以上じゃないと駄目とか。ホント?男性の方は175cm以上とかはないのね。)
やっぱりロシア人はロマンチック?
男性の衣装がちょっと私的にはきらいですが。
パンフレットを読むと、これはプロットをもたないアブストラクト仕立てだそうで、ようするに、チャイコフスキーの音楽に触発されて作った作品ということですね。
いろいろと意味を持たなくても、美しいものは美しいということで、好きな作品です。

井口裕之振付「空間の鳥」
日本人の作品が一番わかりずらかったです。
今日の朝日コムによると最初は女性ダンサー中心だったのですが、今回男性ダンサー中心にしたそうです。
「競争理念を感じさせるリズムを体現できるよう、男性ダンサーを中心にした構成に変えました。原始的生命力に満ちた音楽の魅力に負けない動きを出したい」 とのこと。(朝日コム
赤い袴のようなものをつけ、上半身裸の男性ダンサーが力強く踊ります。
その間をたった一人の女性ダンサーが。
ヘッセの『デミアン』の「鳥は卵の中からぬけ出そうと戦う。卵は世界だ・・・」という、この作品からインスパイアされたそうです。
残念ながら彼の狙いが私には難解すぎて、理解できませんでした。

スペイン人、ナチョ・ドゥアト振付「ポル・ヴォス・ムエロ」(写真)
題名は「あなたのために死ぬ」というスペイン語です。
15-16世紀のスペインの古楽を使い、同時代の詩人、ガルシラソ・デ・ラ・ベガの詩に触発されて作られた作品。
「15、16世紀のわが国(スペイン)においてダンスが果たしていた役割へのオマージを目指した」ということです。
なんとなくフラメンコ風なテーストを感じます。
スペイン人の血の中に入っているのでしょう。
スペイン国立ダンス・カンパニーを見に行けませんでしたが、このダンスを見ていると、わかるような気がしました。
「ロミオとジュリエット」など、結構情熱的なんじゃないでしょうかね。
あくまでも私の想像ですが。
一番好きなダンス作品です。

最後はアメリカ。
トワイラ・サープ振付
「プッシュ・カムズ・トゥ・ショブ(Push comes to Shove)」
古きよきアメリカのショウビズ時代の香りがする作品です。(何年の振付?)
ゲスト・ダンサーのデニス・マトヴィエンコが出演しています。
コミカルな場面が多い作品で、デニスさんの踊りはいいのですが、もっとはじけてもいいかなと思いました。
こういうのはアメリカ人ダンサーの方がうまいかも。
残念ながら、一番苦手なダンスでした。

4作品それぞれで、とてもおもしろかったです。
開演前に、背の高いスタイルのいい、派手な服を着た外国人男性が女性二人と一緒に写真を撮り、サインしているのを見ました。
絶対にダンサーだと思うのですが、どこかで見たような・・・。
他の人のブログを見ると、コールプがいたそうなので、彼かな・・・?
劇場も高低差が大きいので、見やすくていいですね。
他の劇場の時は前に座高の高い人(と髪の多い人?)が座らないようにと祈っちゃいますから。
新国立へは次回は「コッペリア」を見に行くことにしました。