久間十義 『ダブルフェイス』2010/08/12

  
 
沖縄旅行の時に本を持っていきませんでした。プールで暇なので読んだのが、たまたま相棒が持っていたこの本です。

東電OL殺人事件って知っていますか?
1997年3月、渋谷区円山町のアパートで東電に勤めるエリート女性が殺されて見つかった事件です。世間を騒がせたのは、彼女が夜の顔を持っていたことです。昼はOL、夜は売春婦。何故なのか?彼女の心の闇を探る、などと言って行き過ぎた報道があったようです。
この事件に触発されて本がいくつか書かれました。その中で私が読んだのは、佐野眞一著『東電OL殺人事件』(2000年)と桐野夏生『グロテスク』(2003年)です。やっぱり女性が女性を見る目は鋭いと思ったものです。
この『ダブルフェイス』も東電OL事件を参考に2000年に書かれていたんですね。知りませんでした。

円山町で外資系証券会社に勤めている女性が遺体で見つかりました。捜査していくうちに、彼女とタントラ修行者や政治家との関係が浮上し、事件は意外な方向へ。

この事件を担当している根本には証券会社に勤めている百合子という恋人がいます。彼女の会社には円山町で見つかったOLと同じように売春をやっている雅代がいました。雅代のもうひとつの仕事が同僚にバレてしまい、彼女は恐喝されていました。雅代を辞めさせたくない会社のために、百合子は一肌脱ぐことになってしまいます。
その一方、百合子はストーカー被害に会っていました。根本に相談せずに、自分でなんとかしようとするのですが…。

二つの事件が交差するのですが、別に事件を二つにする必要がなかったのではないでしょうか。本として読ませるには、OL殺人事件だけでよかったと思います。
二つの顔を持つ女性の心情も深みが感じられません。男の考える女と女から見た女との違いでしょうかね。
読まなくてもよい本でした(失礼)。