桜庭一樹 『私の男』2014/10/10

引越前に読んだので、内容があやふやかもしれませんが、一応書いておきます。
桜庭さんは『赤朽葉家の伝説』を書いた方で直木賞まで取っているんですね。


これは何とも言えない本です。
(ネタバレがあるので、知りたくない人はこれから先は読まないでね。)

時間がだんだんと昔へと遡っていきます。
場所も東京から北海道へと変わっていきます。

時系列的に内容を書くと、こうなります。
大地震により起こった津波で家族を亡くし孤児になった花は親戚の若い海上保安官の腐野淳悟に引き取られます。
いつしか花と淳悟は親子の一線を越えてしまいます。
それに気づいた親父さんを花は殺してしまい、彼らは北海道から東京へと転居しますが、彼らを追って田岡という刑事がやってきます。
一緒にいたいがために、彼らは田岡おも殺してしまいます。
花は短大を卒業し、派遣社員となり、派遣先の社員である美郎と結婚することになります。
淳悟は結婚式の後、花の前から姿を消します。

幼児の性的虐待あり、近親相姦ありの話です。
淳悟に対して嫌悪感を感じてしまうかもしれません。
何故、彼はああいうことをしてしまったのか。
彼があのようなことをしなければ、花は普通に育っていったかもしれないのに。

ふと思ったのですが、北欧と北海道は似ているかも。
厳しい冬は意外と淫靡な世界を想像させるものなのかもしれません。
実際は全然そんなことないですけど。
孤独な魂同士が惹かれあい、行きついた先がこういうことなんですね。
そこにはモラルというものは存在しません。
閉じた世界には二人しかいませんから。

淳悟がいなくなっても、花は彼を求めてさまようでしょう。
そして、彼らの最期は・・・。

男女の究極の愛を描いた作品かもしれませんね。
好きか嫌いかと言われたら、私は好きじゃないかも(笑)。