小川洋子 『沈黙博物館』2015/08/05



『博士の愛した数式』とは全く違う、国も名前も、何もはっきりとはわからない不思議なお話です。

若い博物館技師はある村の老婆に博物館を作るために雇われます。
博物館に展示されるのは、死者の形見。
その形見は展示者自らが選び、持って(盗んで)こなければならないのです。

技師の「僕」と「老婆」、その養女の「少女」、「家政婦」とその夫「庭師」、そして、沈黙修道院の見習修道士の「少年」と数少ない登場人物が独特の世界を作り上げています。
この世界に起こるのが、爆破事件と連続猟奇殺人事件。
「僕」は図らずもこの事件と関わっていきます。

誰も訪れることのない沈黙博物館に囚われるように、どこにも行けない「僕」。

世の中には言葉があふれ、人は言葉によって支配されています。
人は沈黙によって深く沈んでいくことが必要なのではないのかしら。


外は暑く、兄は食欲がなく、水も飲まないので、家の中で遊ばせました。


格闘していても静かな弟と唸る兄。


兄は自らの優位を示します。


最後に弟が床に伏せをして終わり。
手の焼ける兄弟です。