ターシャ・アレクサンダー 『レディ・エミリーの事件帖 折れたアポロ像の鼻』2016/02/29



19世紀ロンドンの女性がまだ自由に生きられなかった時代の話。
母親からのよき夫をつかまえるのが正しい娘の進む道。
未婚女性として生きていくならお小遣いを減らすわよという脅しに、頭にきて、こんな生活してられないわと思った時に、たまたま求婚にやってきたのがアシュトン子爵のフィリップ。
勢いでエミリーはフィリップの求婚を受け入れてしまいます。
しかし、上手く行かないもので、夫は結婚式の半年後、アフリカで亡くなってしまいます。
あまりに短い結婚生活で夫のことをよく知らなかったことにエミリーは気づきます。
最初は夫の死を悲しめなくて罪悪感まで感じていたのですが、夫のことを知るにつれて、夫への思いを募らせていくことになります。
フィリップはただの狩り好きな人ではなく、古代ギリシャ・ローマに造詣が深く、大英博物館にひんぱんに通い、展示品の寄付もしていたのです。
しかし、あることをきっかけに夫の秘密に気づき、夫の真実の姿を探り始めます。

ヴィクトリア朝の女性って夫の喪に服すためにいろいろな決まりがあるので大変です。
夫が莫大な財産を残してくれれば、そんなこと気にしないで生きようと思えば生きられますが、人の噂は付きまといますからね。

エミリーはとても聡明な魅力的なヒロインなので、五月蠅い母親をどう追い払い、好きにいきていくのか楽しみです。
相手役が彼女よりも格下のようなのが気になりますが(笑)。