柚木麻子 『マジカルグランマ』 ― 2019/05/22

74歳(後で75歳になる)の正子のお話。
正子は女優にはなったけど、監督と結婚したため主婦として長年やってきていました。
その夫とはかれこれ4年以上も敷地内別居をしており、口もきいていません。
夫からのお金で暮らすことを拒否しているため、お金がなく、もう一度シニア俳優としてやっていこうと決心します。
現在も女優をしている友人のアドバイス通りにおばあちゃんらしくすると、あれよあれよという間に人気が出て「日本のおばあちゃんの顔」となってしまいます。
しかし、世の中、何が起こるかわかりません。
なんと、夫が死んでいたのです。
ついつい葬儀の時に夫への恨み辛みを言ってしまったため、一気に人気は大凋落。
夫には借金がありことが判明し、売ろうにも家も解体するのに費用がかかり・・・。
そんな中、夫のファンでツイッターを介した友人だという変な家出娘、杏奈が押しかけて来ます。
正子は彼女を使いメルカリで不要品を売り、自宅をお化け屋敷にすることを考えつく。
さて、「日本のおばあちゃん」は起死回生できるのか。
誰でも考える「優しいおばあちゃん」なんて、現実世界にはいないですよね。
自分だって、とてもじゃないけど「優しいおばあちゃん」にはなれませんもの。
これからは正子さんのように、自分に正直で、わがままいっぱいで、迷惑をかけるような老人がいっぱいいそうな気がします。
有名な映画監督なのに2000万の借金とか、老人ホームに入るのに貯金180万とか、桁が違っているのかと思うこともありましたし、家も解体料込みで安くしますと言えば売れそうだと思うけど・・・。
正子さんや杏奈の我の強さに辟易しながらも、次に何をやるのかが楽しみで読み進んでいきました。
最後がそうくるかという感じでした。
柚木さんらしい元気の出る作品です。
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