久坂部羊 『オカシナ記念病院』2020/09/20



研修医の新実一良は、初期研修を大学病院で学んだので、後期研修は離島の医療を学ぼうと思い、岡品記念病院にやってきました。
なんだか緩い感じで、院長も先輩医師も看護師もやる気が感じられません。
院長から言われた病院の方針が、「患者に満足を与えること」、「患者の気持ちは最大限、優先する」ことで「患者が求めていないのに、病気を治そうとするのは、医師の驕りだ」なんですから。

週2回、外来で患者を診ることになりましたが、患者は薬の処方も治療も自分の思いを通し、医師も特に患者が望まない治療や検査はやらないようです。
「放っておいて手遅れになる病気は、早期に見つけたって治らないのが多い」、「症状もないのに、あれこれ病気をさがすなんてのはよけいなことだ。医療は出過ぎたまねをしてはいけない」が岡品院長のモットー。
それだけじゃない、この病院では縮命という安楽死をやっています。

これでは後期研修は無駄になると思った一良は、在宅医療やがん検診、認知症外来などを積極的に取り入れようと奮闘します。
そうすると、今まで自分がやってきた医療に様々な矛盾を感じることになってしまいました。
岡品記念病院で研修を終えた一良はどんな道を歩むのでしょうか。

いい医療とはなんなのか、自分や家族の最期は、どういう風に迎えたいのかを考えさせられます。
久坂部羊さんが常々主張していることが、ブラックユーモアを交えて書かれた本です。
久坂部羊さんの考える望ましい医療を知りたい方は是非読んで見てください。

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