アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム 『制裁』 ― 2022/07/06
スウェーデン・ミステリー。<グレーンス警部>シリーズ第一作目。
連続女児暴行・殺害の罪で服役していたベルント・ルンドが病院への護送中に脱走した。
ストックホルム市警の警部エーヴェルト・グレーンスたちはルンドの行方を追う。
作家のフレドリック・ステファンソンはテレビに映ったベルント・ルンドの顔を見て衝撃を受ける。
その男が娘のマリーが通う保育園の門の前のベンチに座っているのを見たのだ。
急いで恋人で保育園職員であるミカエラに電話をしてマリーを探して貰うが、マリーはどこにもいない。
しばらくして、森でマリーの遺体が見つかる。
ステファンソンはルンドがまた同じことを繰り返すと警察が確信し、保育園や学校を見張っていると聞き、秘かにルンドの個人情報を調べ、彼が個人タクシー会社をやっていたことを知り、警察を騙って送迎リストを手に入れる。
そして義父が持っているライフルを手に入れる。
ルンドの行方は依然としてわからず、捜査は行き詰まっていた。
そんな時に検察官のオーガスタムがエーヴェルトに手がかりを与える。
ルンドは自分の個人タクシー会社で保育園や学校への送迎の仕事をやっていたのではないか。もしそうなら、その保育園を狙う可能性があると。
やがてステファンソンはルンドを見つける…。
この本ではスウェーデンの社会問題を扱っています。
読み始めてすぐに、女児暴行のあまりの悲惨さから読むのを止めようと思いましたが、北欧最高の「ガラスの鍵」賞を受賞したというので、我慢して読み進めていきました。
グレーンス警部は癇癪持ちの変わった人で、警察署に寝泊まりし、マルムクヴィストという歌手の歌を大音量でずっと流し続け、警察関係者を罵倒しまくり、主人公なのに滅多に現れない上に、それほど活躍しません。
ルンドの事件はすぐに片付いてしまい、その後に続くタルバッカ村と刑務所のことで何とも言えない嫌~な感じを持ったまま、衝撃のラストを迎えます。
色々と考えさせられる内容ですが、胸くそが悪くなること請け合いです。
一作目がこれですから、次もこういう感じなのでしょうか。
あとがきによると、スウェーデンには死刑制度はなく、最高刑は無期懲役で、二十年前後で出所するのが通例だそうです。
刑務所では更生に向けたじゅうぶんなケアはされず、刑務所内の管理も甘いらしいです。
どれほど犯罪が多いかわかりませんが、犯罪人にとっていい国ですね。
だから幸福度が高いってわけではないでしょうが、笑。
ミステリーだと思って読むと面食らいますから、十分気持ちを整えて(?)読むようにしてください。
私はお口直しにこのシリーズよりも刑事ヴァランダー・シリーズの方を先に読むことにしますわ。
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