佐竹アキノリ 『ホワイトルーキーズ2』2022/08/09

『空知総合病院』で働く、初期研修1年目の4人の研修医のお話。
『空知総合病院』に着任してすぐのことは『ホワイトルーキーズ』を読んでください。


初期研修に入ってから三ヶ月が経ちました。
研修は三ヶ月毎にローテートが組まれています。

清水涼子は産婦人科⇒外科⇒麻酔科。
産婦人科では初っぱなから超緊急帝王切開で、残念ながら取り上げられた小児は亡くなってしまいます。大変なこともあったけど、最後は産婦人科の醍醐味を知る清水でした。
不器用なので、次の外科では苦労します。でも根が真面目なので、遅くまで残って手技の練習をし、それが認められ、指導医から嬉しい一言が。
麻酔科では挿管に苦労し、風見がまた練習台になります。

風見司は小児科⇒精神科⇒内科。
風見は末っ子のため小さい子と遊んだこともがなく、最初はどう扱ったらいいのか戸惑います。しかし指導医の浜野は「交流を楽しめるようになるといいね」と温かい言葉をかけてくれます。
だんだんと子どもに慣れて、楽しめるようになる風見ですが、子どもが可愛くても、親が苦手で小児科医にならないという医師がいることを知ります。
精神科では高齢化が進み認知症が増えており、転院を待っているという状態の患者が多く、「住みなれた家に住むのが幸せなのか、施設に入所して面倒をみてもらうのがいいのか」と考え込む風見。
高齢の救急患者の対応をしている時、風見はコロナ患者と接してしまい、濃厚接触者となってしまいます。隔離期間中には仲間からの差し入れが届き、なんとかコロナに感染せずにすみます。

朝倉雄介は内科(六ヶ月)⇒小児科。
夜間の救急で老人相手に奮闘し、落ち着いたので帰ってもらおうとすると、家族のごり押しで入院させられ、愚痴も言いたくなります。
病院は「医療保険を使って九割引きで泊まれて、身の周りのこともやってくれるサービス満点なホテルってわけだ」。それに「スタッフに対する暴言、暴力は認知症があるから仕方ないと見逃されている」。そういう現実に悪態もつきたくなりますが、根は優しい朝倉は病棟から脱走した老女を見つけ、無事に病棟まで連れ帰ります。

沢井詩織は循環器内科⇒糖尿病内科⇒産婦人科。
ちょっと天然が入っている沢井は高齢患者からのセクハラやパワハラ、暴言、暴力で被害を受けます。しかし朝倉のおかげでなんとか留まります。
産婦人科はオペが辛くて、体力がない沢井には無理そうですが、指導医の馬塲の話を聞き、手術がある科もいいかもと思います。

四者四様に医師としての経験を積んでいます。
重い内容にも関わらず、暗くならないのがいいです。
空知地方では65歳以上が人口の四割にもなるなんて、すごいですね。道を歩くと二人に一人は老人ですか。(東京都は23.4%(2021年度))
認知症も増えるわけです。
医療や福祉の現場で働く人たちの苦労が偲ばれます。

本の中に出てきた北竜町に行ったことがあります。



私が行ったのは7月下旬でした。
千歳空港から約160キロ、旭川空港から約70キロです。
周りにこれといった観光地がないので、北海道は行き尽くしたという方は行ってもいいかも。